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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第十六章 冬休み始まりました
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16-12 着替えて集合しました

糖度温泉(謎概念)

 準備を終えて、温泉エリアの入り口に集まった仁達。いよいよ最新の温泉施設に入館すると、まずは男女に別れて更衣室へ向かう。

 更衣室は部屋自体が広い上、ロッカーも大きめで使いやすい。空調も適温で、この真冬でも水着になろうと支障は無さそうだった。


「……うわ、仁君の筋肉やっべぇ」

 着替え中に言都也がそう言うと、その場にいる面々の視線が仁に向いた。今は上だけを脱ぎ去った状態で、仁の上半身が露わになっているのだ。

 細身ながらも鍛え抜かれた仁の身体は、アスリートらしいがっしりとしたものである。これには男性陣全員から、感嘆の声が零れ出る。


「いやぁ、素晴らしいね。相当鍛えたんだろうなぁ」

「ひぇ、流石としか言いようが無い……」

「こういうのを、引き締まった身体って言うんだろうなぁ……」

「やべぇな、腹筋バッキバキじゃん」

「陸上選手と聞いていたけれど、これ程とは……!!」

「いやはや、なんとも……」

「どれだけ鍛えれば、そうなるんだい……?」

「仁さん、夏の時も思いましたけど……現役じゃないのに凄いですよね」

「いや、本当に……格好良いなぁ……」

 全員から注目されて、仁としては何とも居た堪れない。ボディビルダーでも何でもないので、己の身体を誇示するつもりなど無いのだ。


 それにこの後、下を着替えたら……右足に残る傷痕で、この空気の意味合いがガラリと変わってしまう。陸上を諦めざるを得なくなった、あの事故によってついた傷跡……その痕跡は、右足に残ってしまっているのだ。

 仁がどうしたものかと思っていると、苦笑気味の英雄・隼が皆に呼び掛けた。

「まぁまぁ、そんなに注視されると仁が着替えにくいですよ」

「そそ。それにもたついてると、女性陣を待たせちゃうッス!」


――折角の旅行で、仁が心から楽しめないなんてあってはならないからな。

――どちらにせよ傷跡は見る事になるけど、今のこの空気はお互いに居た堪れなくなるッスからね。


 二人にそう促されて「それもそうか」と、着替えに戻る面々。

「……ありがとう英雄、隼」

「あぁ」

「このくらい、当然ッス!」

 気不味い空気になるのを回避してくれた二人に、仁が感謝の言葉を向ければ二人は笑って返すのだった。


************************************************************


 そうして着替えを済ませ、仁達は更衣室の先へ。そこに広がるのは、本当に大きな温泉施設だった。

「食堂から見た時も、大きいと思ったけど……」

「実際に入ってみると、印象が変わるなぁ」

 左利と勝利……愛の父【巡音めぐりね 勝利かつとし】がそう言うと、全員がその言葉に賛同する。先程は視界の影になっていて解らなかったが、施設内には軽食を食べられるフードコートの様なエリアまであった。

「うぉ、あれは砂風呂か?」

「あのチューブになっているスライダー、よくよく見たら結構長いね……」

 改めて施設の充実ぶりに驚いているその時、女性用の更衣室から女性陣が出て来た。


「お待たせー」

「あら、やっぱり男性陣の方が早かったわね」

 最初に出て来たのは、各家庭の母親達。既に子供を産み育てて来たが故か、水着姿でも恥じらう様子はあまり無かった。

「撫子、見てくれよあそこ。フードコートまであるぞ」

「あら、本当ねぇ」

「満君、やっぱり最近お腹周りが弛んできてない?」

「うっ、解ってる……解ってるよ……」

「あらあら……あなたの水着姿は久し振りに見るけど、やっぱり素敵だわぁ」

「そ、そうか……? 聖こそ、良く似合っているよ」

「やぁ乙姫、待っていたよ」

「えぇ、お待たせしました秀頼さん」

 この一大温泉レジャー施設の見事さ故か、また温泉旅行という雰囲気故なのか。父親勢を前にした母勢は、母親の顔よりも女性の顔をしていた。子供の前という事を忘れてはいないだろうが、旦那とこの温泉を楽しむ気満々なのだろう。


 その後に姿を見せる、女性陣……先頭は朱実と美和、そして千夜と舞子だ。

 朱実は黒と紺色のツートンカラーの、ビキニタイプの水着である。大人の色香を纏った水着姿で、彼女によく似合っている。

 対する美和はモノキニタイプの水着で、黒地に紫色の模様が描かれたものだ。妖艶なイメージを感じさせる彼女らしく、色気が凄まじい。

「あらま、水着姿の良い男がお揃いで」

「何だか不思議な感じね、日頃よく会う面々で揃って水着姿っての」


 そんな大人二人と共に姿を見せた中高生コンビは、明るく弾ける様な笑顔である。

 千夜は夏の海で着ていた物と同じ、タンキニ水着である。流石に海水浴シーズンを外れているからか、新しい水着を新調するとまではいかなかったらしい。

 そんな彼女の横に居る舞子は、ピンク色の水着であった。胸元で肩紐ストラップをクロスさせたトップスに、ボトムは横部分で結んで止めるタイサイド型の水着だ。

「おっとやー! お待たせー!」

「おー、皆さん水着姿格好良いですね! って……」

 舞子が仁の右足の傷に気付いて、言葉を失う。無論、それは朱実と美和も……そして、先に出て来た母親達も同様だ。


――仁さんが陸上を辞めた理由は、前々から聞いていたけど……これは、あまりにも……。


 仁としても、こうなるのは予想出来ていた。なので、何でもないとばかりに表情を取り繕ってみせる。

「大丈夫ですよ、舞子さん。傷跡は残ってますけど、染みたりとかは無いですから」

 時折痛むし、後遺症で思う様に動かせない。しかし楽しいはずの温泉旅行を、台無しにしたくはない。なので、仁は虚勢を張る。

「いや、でも…………いえ、はい……仁さんがそう言うなら、その、ごめんなさい」

「いやいや、驚かれるとは思ってましたし。こっちこそ、申し訳ない」

 舞子に悪気など無いのは、百も承知だ。なので気にしないで欲しいと、仁は努めて笑顔で応える。


 そんな微妙な空気が流れ始めた所で、彼女がやって来た。

「仁くん、お待たせしました!」

「あ、姫…………ぅぁ」

 姫乃の声に反応し、視線を向けて……目の当たりにした光景に、変な声が口から漏れた。


 姫乃の水着も、夏の旅行で着ていたものと同じ赤いビキニだ。しかしながら、夏の時とは髪型を変えている。温泉……つまり入浴するからなのか、髪をまとめ上げていた。

 いつもと違う姫乃の姿は、仁としてもかなりクるものがあるらしい。

 そして相変わらずの、中学生とは思えないボディライン。男であれば思わず目を向けてしまう程に、魅力的な水着姿なのだった。

「仁くん、どうかしましたか?」

 仁の近くに歩み寄り、顔を覗き込むように見上げる姫乃。その仕草と角度から、彼女の豊かな胸元が視界に入り込む。


――これは、駄目だ……可愛過ぎて、駄目なやつ!!


 仁は自分が羽織っていたラッシュガードのファスナーを下ろし、それを脱ぐと姫乃の肩から掛ける。

「え、えーと……?」

「……それを着ていて欲しいんだ。その、独占欲が強いと思われるかもだけど……」

 仁がそう言うと、姫乃も彼の意図を察した。要するに、姫乃の水着姿を他の誰かに見られたくないという意味である。

「は、はい……」

 顔を赤く染めてはにかみながら、俯く姫乃。そんな二人のやり取りに、周囲の視線は微笑ましそうなものに変わる。

 しかしそこで、姫乃は気付いた。俯き気味になった事で、彼女の視線は仁の顔から下に移り……ある要素が気になってくる。


――仁くん……こ、このカッコ良さは、カッコ良過ぎて駄目です!!


 この夫婦カップル、心の中で考える事まで似て来よった。

「いえ……やっぱりこれは、返します」

「え、何で!?」

 姫乃の視線は、仁の身体に注がれている。ラッシュガードを脱いだ事で、仁の鍛え上げられた身体が見えるのだ。

「仁くんはその、身体すっごく鍛えてて、格好良いので駄目です。他の人に見せるのは……何と言うか……嫌、です」

「えぇぇ……僕は男だよ? 興味持つ人とか、居ないでしょ……」

 仁はそう言いながら視線を巡らせると……お母様方やお姉様方、そして舞子の視線が集中していた。

「……」

「ね? だから仁くんが着ていて下さい」

「いや、でもそれだと姫の水着姿が」

「……」

「だからさ、ね?」

「ですが……」

 そんなやり取りを開始した二人に、寺野夫妻と星波夫妻はやれやれと苦笑い。他の面々はあらあらまあまあと、微笑ましげである。ちなみに独り身の男性陣からは、イチャつくなら見えないトコでやってくれないかな……という顔をしている。顔に書いてある。


 そんな二人のやり取りに割って入るのは、恋と愛だ。

「この二人、最近バカップル度が増してないかしら……」

「ナチュラルにラブラブするよねぇ」

 二人もやはり、水着の新調は無し。代わりに姫乃同様、髪型を変えて勝負に来ていた。勝敗条件? 彼氏を魅了できるか否かである。

「仁さん。あちらの方に、売店がありますよ。そこではレンタルも可能ですし、ラッシュガードもありますが」

「天の助け!!」

「そこまで言います!?」

 恋のアドバイスに過剰反応する仁だが、彼にとっては死活問題だ。

 ちなみに恋と愛はラッシュガードを用意していたらしく、ファスナーは開けているもののちゃんと着ている。


 仁・姫乃と入れ替わる様に、英雄と隼が二人に歩み寄る。

「待ってたよ、恋。やっぱりその水着、とても良く似合ってるね」

「ふふ、本当は新しい水着に挑戦しようかと思ったのですが……」

「それはまぁ……次のシーズン待ちだね」

「えぇ、今年の夏には期待していて下さいね?」

 仁と姫乃の事を何と言っていたのやら、英雄と恋は笑顔でそんなやり取りを始めた。

「夏に隼君に見せてるから、どうかな……って聞くのは、微妙だね」

「何度でも、言ってくれて良いよ。凄く可愛いし、綺麗だから」

「うふふ、ありがとう。隼君も素敵だよ……仁さんにも負けてないと思う」

「それは恋人の贔屓目が入り過ぎでない? でも、ありがとッス」

 こちらもこちらで、甘やかな二人の世界を構築し始めている。糖分・ザ・ワールドかな。


「あれ見てると、彼女欲しくなるんだけど」

「解る、それな」

 蔵頼と言都也は、カップルや夫婦によって飛び交う甘い空気にあてられ気味である。独り身にとって、この空気感は辛い様だ。

 しかしながら、まだまだ終わりではない訳で。


「お待たせ! ごめんなさい、ちょっと時間が……あら、姫乃ちゃんは?」

「仁君も居ないみたいですね……」

 輝乃と千尋、【桃園の誓い】彼氏持ちコンビの襲来である。

 ちなみに遅れた理由は、某お姫様のスタイルの良さに打ちひしがれていたからだ。

 そんな二人に続くのは、優と鏡美である。

「優ちゃん、髪の毛やってくれてありがとねー!」

「いえ、鏡美お姉さんこそありがとうございます! 可愛い髪型にして頂けて嬉しいです♪」

 二人はすっかり、仲良くなったらしい。その様子に修は、思う所が無いわけではないのだが……特に「お姉さん」呼びな所を。

 しかしながら、優からの痛烈な一言を受けるのを恐れてしまい何も言えない。もう「お父さん嫌い」は、二度と喰らいたくないらしい。


「拓真さん、お待たせしました♪ その……ど、どうですか?」

 拓真を視認すると、優はにっこりと笑って彼に手を振る。はにかんだ様子もあって、非常に可愛らしい。

 その上、拓真は初めて優の水着姿を見るのだ。当然、色々と精神的に揺り動かされるものがある。

「う……うん……! そ、その……水着、可愛い……です、凄く……!!」

 顔を真っ赤に染め上げて、それでも何とか感想を伝えられた拓真。彼の中では、既にいっぱいいっぱいだ。

「良かった……そう言って貰えると嬉しいです。その……夏に着る水着は、拓真さんの好みに合わせたいな……と思ってるんですけど」

「げ、現時点でもう、最高なんだけど……!?」


 初々しさ満載の拓真と優のやり取りを見ていた鏡美は、苦笑いを浮かべつつも温かい視線で二人を見守る。すっかり応援する側に立っていらっしゃる。 

「アオハルだねぇ、お二人さんや……いやぁ冬なのに、あっついわぁ」

 そんな事を言いながら二人を見守る鏡美は、赤チェック柄のセパレートタイプの水着だ。所々にリボンがあしらわれており、可愛らしいと感じさせるものである。


 優と拓真がそんなやり取りをしている間に、輝乃は左利の隣に立った。

「やっほ、お待たせ」

「あぁ、待ってたよ。良いな、その水着……輝乃によく似合ってる」

 輝乃に素直な感想を伝える左利だが、そんな彼の言葉に今更照れる輝乃ではなかった。

「ふふん、でしょ?」

 得意気にドヤ顔をしてみせる輝乃。

 白と赤のワンピースタイプの水着には、赤い紐の編み込みが所々に入っている。それは彼女のAWOでのチャイナ服と同じ色調であり、左利にとってしっくり来るものだった。ちなみに胸のボリュームが……とは、絶対に言ってはならない。


「遅かったな。何かあったか?」

 悪意ゼロでそう告げた十也だが、千尋としてはあまり触れて欲しくない部分である。彼女は輝乃よりはあるのだが、そこまで大きいという訳ではない。

「何でも無いの、気にしないで」

 ちょっと不機嫌そうに言う千尋は、無意識に胸元に手を当てた。白地に黄色の柄が入ったハイネックホルタービキニの胸元は、レースで大人っぽさを演出した一品である。

 そんな千尋の仕草に、十也も何があったのかをある程度察し……そして笑った。

「そういう事か。そんな気にする程、小さくないだ……いってぇ!?」

「十也、口は災いの元って言葉知ってるかなー?」

 脛に容赦の無いローキックを打ち込まれ、痛みで呻く十也だが……千尋はそれでも、許すつもりはないらしい。

 ちなみにこのやり取りは、胸と腹回りの話題に触れた時に頻繁に起きるイベントらしい。【桃園の誓い】はもう慣れたもので、止める気配は一切無い。


 そして、最後にやって来るのは……と思いきや、来ない。残る四人はどうしたのか? と、数名が視線を女子更衣室の出口側に向ける。

「皆待ってるわよ、ほら!」

「か、和美ちゃん容赦ないぃ……」

「紀子様、そろそろ」

「で、でも……」

 どうやら紀子と里子が、恥ずかしがって中々出て来られない様だ。内気な二人なので、無理もないといった所か。

 しばらくすったもんだしつつ、鳴子と和美に促されてようやく姿を見せた二人。上半身はラッシュガードで隠れており、トップスはどんな物かは定かではない。ボトムは紀子がショートパンツタイプで、里子はスカート付きのものである。露出は抑えられているはずなのだが、二人的にはそれでも恥ずかしいらしい。


「はいはい、そこのお兄さん! 可愛い恋人のお届け物ですよ!」

「ひぇ、ちょ、和美ぃ!?」

 勝守を見るや否や、和美は紀子の背を押して彼の前へと向かわせる……強引に。

「へい毎度!」

 そのまま紀子を勝守の前に立たせて、和美は鳴子・里子の居る方へと向かう。この行動は当然、恋人同士で仲良くやりなさいという意味合いだろう。

「うぅ……」

「あー……麻盛さんに、気を使わせちゃったかな? その、髪型も服も、似合ってるよ」

「う……そ、そう……ですか……?」

 ラッシュガードは薄紫色のもので、少しスポーティーなデザインだ。それを着込んだ紀子は、髪をローテールで纏めている。いつもと違った印象で、実際に可愛いと言って良いだろう。


――ほ、本当は……勝守さんに見て欲しい気持ちもあるけど……も、もうちょっと、時間が欲しい……!!


 そんな紀子を彼氏直送した和美は、夏の時とは異なる水着であった。レースアップビキニという、編み込みで色気を演出する水着。トップスこそ隠していないが、ボトムの上に水泳用のショートパンツを履いている。

 これは、夏の時とは事情が違うからである。


――夏の海は全員彼女持ちだったけど、今回はお一人様が多いし……それにカップル成立手前の人も居るし。大人しめの方が良いはずよね。


 朱美が治を意識しており、逆もまた然り。その事を察している和美は、今回は控えめの水着を用意していた。この辺りを意識するのは、彼女が日頃から仲間全員に気を配っている事……それと同時に、仲間内の和を保とうという考えからである。


「お疲れ様です、和美様」

「いいえー。あ、鳴子さんも行っときます?」

 彼氏直送便をご所望か? といったニュアンスではあるが、和美は鳴子を良く知っている。自立した大人である彼女であるから、自分が背中を押さなくても大丈夫だろう……と。

 それでもこう言ったのは、単に鳴子とのじゃれ合いに過ぎない。その証拠に、鳴子は苦笑してその申し出を辞退する。

「いえ、ご心配なく。自分で参りますので……和美様、里子様、また後程」

 そう言って歩き出す鳴子も、今回はシンプルなコバルトグリーンのビキニ水着だ。それでも彼女の成熟した身体を覆い隠せていない為、腰にパレオを巻いている。

「お待たせ」

「お、おう……凄く似合ってるな、その水着……」

「ふふっ、そう? ありがとう、気に入ってくれたなら嬉しいわ」

 素の表情で笑う鳴子にドキリとさせられつつ、真守は他の……主に独り身の男性陣から、鳴子を遮る様な立ち位置に立つ。


――ガキっぽい独占欲と思われるかもしれねーけど、鳴子のこの姿を可能な限り見せたくねぇ……。


 そんな真守の内心に、鳴子も当然気が付いている。なので、彼のしたいようにさせようと心に決めた。ついでに、自分も後程したい様にさせて貰うつもりであるが。


************************************************************


 そんなこんなで、ようやく全員が揃った。ちなみに姫乃は、真新しいラッシュガードを着用済みである。

「では皆様お揃いですので、本施設のメインである温泉についてご紹介させて頂きます」

 ここで賢がこの施設の紹介をする訳なのだが……彼の服装に、何となく仁達はある人物を思い出してしまう。


――アロハシャツを見ると、どうしても()()()を思い出す……!!


 変装をやめた今でも、彼は普段アロハシャツを着用し続けている。黒コート姿になるのは、仁達の前では戦闘時くらいなのだ。

 ちなみにアロハシャツは売店に売っており、仁はそれを見た瞬間に一瞬「買ってみようか……?」と考えて断念した。別に着る分には構わないと思われるだろうが、彼にとってアロハシャツはユージンのイメージが強いのだ。しかしながら、仁は仁で結構似合いそうではある。

 彼との付き合いが長くなればなる程、謎が深まる不思議な人物。その全容を知る日が来るのだろうかなどと、仁は思ってしまう。


 仁がそんな事を考えている内に、賢の施設紹介は一通り終わっていた。

「では、ここからは実際に体験して頂く事に致しましょうか」

 ここから仁達は、いよいよ最新の温泉施設……スパリゾート・フロンティアを楽しむ事になる。

次回投稿予定日:2023/6/20(本編)

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― 新着の感想 ―
[良い点] メープルシロップ源泉かけ流しかな? 胸囲の敗北者は相手が悪かったんや…。 カップル未満や初々しいカップル含めて糖度に溢れた空間ですわぁw
[良い点] 忍♡姫 ここでも 全方位MAPラブ臭 炸裂中!! 他の面々も ラブ臭 大展開!! [気になる点] 忍者に対して 上下で他の方々の印象が……… やはり……というべきか 女性陣 …
[良い点] 親世代子世代老若男女問わず糖度をばら撒いておられますな。これは糖度温泉というより糖度ハザードではなかろうかw [一言] 男の裸体に興味がないと仰る仁君甘い糖度温泉より甘い姫ちゃん達もお年頃…
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