16-08 新年のご挨拶でした
初詣や星波家での団欒を終えた仁は、入浴やら何やらを済ませてVRドライバーに向かった。
この仮想現実世界へと誘ってくれるアイテムのお陰で、仁の世界は広がった。両親には本当に、感謝しかないだろう。
今年もあの異世界オンラインで、仲間達と一緒に……騒がしくも楽しい日々を送れるに違いない。そんな予感を抱きつつ、仁はシートに腰掛ける。
電源ボタンを押してドライバーを立ち上げ、AWOのソフトを起動する。準備を済ませたらフルダイブを開始させる接続ボタンを押して、仁の意識が仮想現実世界へと入り込んだ。
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接続が完了し、目を開けるとそこには見慣れたマイルームだ。
ジンとヒメノの新婚部屋は、一階と二階に分かれている。一階部分は寛ぐスペースとなっており、二階部分は二人のプライベートルームとなっていた。最もゲーム内で睡眠を必要とするほど、ジン達は長時間ログインをしないので今のところ出番は無い。
ジンは窓に歩み寄り、外の天気を確認しようと視線を外に向け……そこで、異変に気付いた。
「何だ……あれ……」
意味が解らないものの、明らかに異常な状況に気付いたジン。彼は慌ててシステム・ウィンドウを操作し、仲間達のログイン状況を確認する。
結果として、【七色の橋】はまだ自分しかログインしていない。いつもは一番乗りがヒメノなのだが、彼女は今日振袖を着た上にメイクもしていた。恐らくメイクを落とし、今日の疲れを癒す為に入浴中なのだろう。
「……どうする?」
この状況は、宜しくない。このまま放置する訳にはいかないが、今動けるのは自分だけだ。
迷ったものの、ジンはマイルームを出てホームの玄関口へと向かう。
外に出れば、天候はすこぶる快晴。新年の始まりを祝福するかのような、雲一つない青空だ。しかしジンの心模様は、空とは真逆である。
溜息を一つ吐いて、庭園の先にある門に向かい……木製の門を開ける。
「うおっ!?」
「忍者さんだ!!」
「ジンさんが出て来るとは……新年早々、めでたいな!!」
何がめでたいのかと、文句の一つでも言いたい所だが……ジンはそれをグッと堪えて、ギルドホームの前に集まるプレイヤー達に呼び掛ける。
「これは一体、何の騒ぎでゴザル?」
視線の先には、数えるのも億劫になる程のプレイヤー達が列をなしていた。本当に何の騒ぎなんだろう。
……
門の前に居たプレイヤーに話を聞いて、ジンは頭を抱えていた。
「えーと、つまり……AWOにおける和風建築である拙者達のギルドホームを神社に見立てて、初詣をしようと……」
最初は一組のパーティが、ほんの一瞬だったら迷惑にならないんじゃないかな? と思い、それを実行に移したらしい。そうしたら興味を持ったプレイヤー達が集まり、こうして現実の神社もかくやという程の人数が集まったのだった。
「新年早々、何やっているでゴザルか……というか、普通に現実で神社に行けば良いのでは?」
呆れた感情を隠さずにジンがそう言うと、一人のプレイヤーが苦笑気味に内心を吐露する。
「いやぁ……【七色の橋】のギルドホームなら、何かご利益でもありそうだなと」
そんな彼の発言に、集まったプレイヤー達が我が意を得たり!! といった様子で、声を上げる。
「正直、【七色の橋】の武運にあやかりたい!!」
「いや、そこは恋愛運だろう!!」
「ガチャ運を是非!! 何卒っ!!」
「イベントで好成績を残したいっ!!」
「今年こそ、可愛い彼女が出来ますように!!」
「お願いします、神様忍者様お姫様に将軍様レン様っ!!」
「いや、そこは自分で努力するでゴザルよ」
本気なのか、ふざけているのか。口々に勝手な事を言い出すプレイヤー達に、ジンは本気で呆れ返ってしまう。
もしや先日の、ホームを一部開放した装備販売の影響か? などと思いつつ、ジンはハッキリ言わないと駄目だなと判断した。
新年という事もあって、お祭り騒ぎをしたいだけの連中なのだろう。彼等から感じられるのは悪意では無く、ただ単純に楽しみたい……ついでに【七色の橋】のメンバーを見られれば、ラッキー程度の考えだ。
それはジンも解らなくもないが、無関係の他人に迷惑をかけて良い理由にはならない。締める所は、きちんと締めるべきである。
「悪意があるとか、嫌がらせとかで無いのは理解したでゴザル……が、それでもこちらとしては迷惑な事に変わりは無いのも事実。悪いようにはしないと約束するので、ここらでお引き取り願うでゴザルよ」
迷惑とハッキリ言い切るのも、忘れてはならないだろう。スパイ騒動の時とは意味合いの違った騒動だが、ジン達としては静かに過ごさせて欲しいというのが本音だ。
半分以上のプレイヤーは、悪ノリし過ぎたか……と申し訳無さそうにしつつ、立ち去ろうとする。しかしながら、まだ不満そうなプレイヤーは少なくなかった。
「「「「えー……」」」」
「いや、不満そうにされても」
そんな混沌としたホーム前に、燃料が投下されないはずがない。
「ジンくん? どうかしました?」
「あ……姫」
ヒメノが門から、チラッと顔を出した。ジンがログインしているのは解ったが、マイルームに姿が無かった。それを不思議に思ったらしく、様子を見に来たヒメノだったが……それは火に油を注ぐ結果となったらしい。
その瞬間[虹の麓]から引き上げようとしていたプレイヤー達まで、一緒になって沸き上がる。
「うぉぉ! ヒメノちゃんだぁっ!!」
「キタコレ!!」
「大吉キター!!」
「可愛いー!!」
「新年一発目の姫様だぁっ!!」
「そうだ!! よく考えたら、ヒメノちゃんの服は巫女服だよね!?」
「AWOの巫女さんだぁっ!!」
その盛り上がりは、凄まじい。例えるならばライブ会場の本番、主役がステージに上がった時の様な歓声である。
「うるさっ……!?」
「えっ!? えっ……!?」
状況が呑み込めず、困惑するヒメノ。しかしそんな顔も可愛らしいので、集まったプレイヤー達の興奮は中々冷めやらない。
「これ、どうしたんですか?」
「それがかくかくしかじかで……」
「はぁ……普通、そうはならないと思うんですが……」
「拙者もそう思いたいが、実際になってるんでゴザルよなぁ……はい、そこ! 柏手打たない!」
事情を把握したヒメノは、困ったなぁという顔を浮かべる。このままでは、何をするにしても彼等が気になって仕方がない。
そこでヒメノは息を吸い込み、後ろの方に居るプレイヤーにも聞こえるように呼び掛けた。
「あのー、私達もお正月をゆっくり過ごしたいです。なので、騒がれるのは困ります。お願いなので、解散してくれませんか?」
「いや、さっき拙者も呼び掛けたでゴザルが……」
「「「「「「「「はーいっ!!」」」」」」」」
「……解せぬ!!」
これには流石のジンも、こめかみがピクピクしてしまう。可愛い女の子のお願いが強いのは解るが、現金過ぎるだろう。
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「それは明確な、迷惑行為ですね。通報しても良い案件では?」
「しかしあれもこれもと退けると、ギルドのイメージも閉鎖的と捉われかねないしなぁ……」
仲間達が集合して、新年の挨拶を終えた後。ジンとヒメノは先程の、参拝騒動について報告した。レンはバッサリと切り捨てるが、ナタクはむむむ……と唸る。
「参拝お断りとでも、立て看板を出すか?」
「普通、ギルドホーム前にそんな看板は出さないっスけど……まぁ、ひとまずそれで様子見するのも良いッスね」
ヒイロが取りあえずの措置を提言すると、ハヤテはそれに賛成の様だ。
新年の挨拶の為に来ていたクベラが、木工のスキルを保有していたため立て看板を作成。それを皆で、ギルドホーム前に立てて一息といった所で……ギルドホーム入口のポータル・オブジェクトが光を放つ。それは、プレイヤーが転移する事を示す合図だ。
ポータル・オブジェクトから光の球が飛び出すと、それが更に光を放って人の輪郭を成していく。そうして現れたのは、二人のプレイヤーだった。
「やぁ、皆。あけましておめでとう」
「新年あけましておめでとうございます……あら?」
漆黒のコート……ではなく、お馴染みのアロハシャツを着込んだ男性・ユージンと、戦闘用の装備ではなくノースリーブのニットセーターにロングスカートを装備したケリィ。何だかリラックスモードではあるが、超人夫婦の来訪であった。
二人が事前連絡もなく転移して来たのは、最初から今日この時間に訪問すると約束を取り付けていたからだ。そういった場合、手間を省く為に訪問時の連絡は省くのである。
「ユージンさん、ケリィさん。新年あけましておめでとうございます」
「今年もよろしくね、皆……それで、その立て看板は?」
木製の立て看板には、『参拝はご遠慮下さい』と書かれている。よく考えたら意味不明なのだが、ケリィはどうやら察したようだ。
「プレイヤーの皆さんが、初詣代わりにここに訪れたといったところでしょうか?」
「よく分かりますね、ケリィさん」
アイネが驚いた顔をすると、ケリィはクスッと上品に笑う。
「【七色の橋】の女性陣の和装は、巫女さんのそれをイメージさせますものね。悪乗りしたプレイヤーが、そこそこ居たんでしょうね」
その現場を見ていないケリィは、そこまでの大人数では無いと思ったのだろう。しかしながら、その程度で済む数では無かった。
「いえ……そこそこどころか、かなり」
「あらまぁ……」
実際に応対したジンがげんなりしているので、ケリィも苦笑しかできない。
そんなジンの様子を見て、ネオンはある事を思いついた。
「AWOも、年始の期間中は神社を設置するとかすれば良いかもしれないですよね」
「ふむ、意外といい案かもしれないね。運営に要望でも出してみようか」
「はい。今年は無理でも、来年は実現するかもしれませんね」
ネオンと超人夫婦がそんな事を話すので、レンは割と真面目に考えて……それはアリかもしれない、と思う。
「……それ、やってみますか」
その声には、割と切実な感情が込められていた。
……
その後【桃園の誓い】とコヨミが、新年の挨拶の為に来訪した。これで親しくしているプレイヤーは、リリィと【魔弾の射手】となる訳だが……両者は都合がつかず、今日はログインしていない。
ともあれ結構な大人数になるので、今日はホームの中ではなく和風庭園でのんびりと過ごす事にした。
「こういったベンチとかも、この庭園に合いそうだと思って作ってみたんだ。ご用命とあれば、追加で作るよ?」
「これは良いですね、流石です」
「でもお高いんでしょう?」
「今ならお得意様限定で、出血大サービスのこの値段」
「あら、お買い得ですね」
「買った!!」
「おっと、そういうおもろそうな事、ワイを無視せんといて!!」
気心知れた仲である為、会話も終始和やかだ。居心地の良い雰囲気で、先の騒動を思考の隅に追いやって、ジンは隣に座るヒメノに視線を向ける。ヒメノはジンの視線に気付き、ふにゃりと微笑んでみせた。
「【魔弾】の皆さんは、もうご旅行らしいですね」
「うん。で、何でも新メンバーが加入したって話だけど……どんな人だろうね?」
それはジェミーから届いた、年末の挨拶のメールで知った情報だ。丁寧な挨拶文の最後に、記載されていた一文。
『次に会う時は年明けだと思うけど、その時は新しいメンバーを紹介するね! 皆も旅行を楽しんで来てね☆』
そんな文面からはジェミーの人柄と、【七色の橋】に対する感情が伺える。実際にイベントでは激戦を繰り広げたが、【魔弾の射手】はやはり【桃園の誓い】同様に……仲間や同盟という感覚が強い。
「気になるよな。あの【魔弾】だし」
「えぇ……まぁ新メンバーの方も、従来のメンバー同様に良い人なのだろうけど」
ダイスとシオンがそう言うが、異を唱える者はいない。
レーナ達【魔弾の射手】の面々は、人柄も良く信頼に値するメンバーばかりだ。そんな彼等が迎え入れる相手ならば、きっと良い人なのだろうと想像するのは容易い。
「まぁ、そうだろうねぇ」
「えぇ、そうでしょうねぇ」
ユージンとケリィが、そんな相槌を打ちながら茶を啜る。この夫婦、何かを知っている様だ。しかし残念な事に、二人の様子を気にする者はいなかった。
「俺はどんな武器を使うのかが、気になるッスね! 同じ銃使い的に!」
「ハヤテ君、【魔弾】の方と銃談義するもんね~」
「俺は主武装じゃなく、サブウェポンにしてるからなぁ。ハヤテと【魔弾】の、コアな話題には対応出来ないんだよな」
ゼクス……そしてケインは、それぞれサブウェポンに銃を所持している。だからといって、銃に詳しいという訳ではなかった。とはいえケインとゼクス、ユージンが作ってくれた銃について調べるくらいはちゃんとしているのだが。
そんな訳で銃について話して盛り上がるのは、ハヤテと【魔弾の射手】の面々になるのだ。
「おや? メッセージ……これは、シンラさんか」
ヒイロのシステム・ウィンドウに、メッセージが届いたらしい。差出人は、【森羅万象】のギルドマスターであるシンラだ。
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【七色の橋】の皆さん、新年あけましておめでとうございます。
昨年中は大変お世話になりました。
我々【森羅万象】としましては、今まで以上に皆さんとの友好を深められたらと思っております。
本年もどうぞ、宜しくお願い申し上げます。
P.S. 今度、都合が良い時にでもホームに遊びに行って良いかしら〜?
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めちゃくちゃ丁寧な、年賀状代わりのメッセージである。こういった締める所はきっちり締めるところも、シンラらしいと感じさせる。
「シンラさんからのメッセージ、皆にも転送しとくね。返事は俺が代表して……っと、またメッセージ。今度は……カイさんか」
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新年のご挨拶を謹んで申し上げます。
【七色の橋】の皆様におかれましては、お揃いで新春をお迎えの事と存じます。
昨年中は大変お世話になり、ギルド一同心より感謝申し上げます。
本年も何卒、宜しくお願い申し上げます。
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「カイさんも、こういう所は流石って感じだよなぁ」
「あ、俺の方にもシンラさんからのメッセ来たな」
「RAINの年賀メッセみたいねぇ……」
「た、多分……あちらも、そんな感覚……かも」
「ジン兄、【ふぁんくらぶ】からは?」
「ログインした時にはもう来てたから、返しといたよ」
むしろ、日付が変わった瞬間に送信されていた。
そうこうしていると、更にアークやヒューズからのメッセージを受信。続いてクリムゾン、セシリア、フィオレ、アナスタシア……クリスマスパーティーで友好関係を築いたプレイヤーから、続々とメッセージが届いた。
「レン、一緒に文面考えて貰える?」
「えぇ、お任せを♪」
頼られるのが嬉しいのか、ヒイロのお願いを上機嫌で引き受けるレン。
そうしていると、今度はアイネがメッセージを受信した。
「あら? これは……アリアスさんからメッセージ! ふふっ、ありがたいなぁ」
すると続いて、コヨミにもメッセージが届く。
「あ、私にもフィオレさんから来た!? コ、コラボ配信の件も……? ふぉぉ、本当にやってくれるんだ……!!」
更には他の面々にも、メッセージが送られて来た。
「お? タイガのやつか……マメだな、相変わらず……」
「おや僕にも……」
「あら、私にまで……」
「これは……最前線時代の人だったかしら?」
「おっ、あいつからか……へぇ、ギルドに加入したんだなぁ」
「おっ、アーサー殿からあけおめメッセージでゴザルな」
「私も、ハルさんから頂きました♪」
「うわっ! シルフィさんからメッセージ来てんだけど!?」
「ぼ、僕にもだよセンヤちゃん!! マジか!?」
更には個人単位にもあけおめメッセージが届き、気付けば誰もがシステム・ウィンドウでメッセージに対する返信作業に移行した。
AWOで送る初めての正月は、他ギルドや交流のあるプレイヤーへの対応で時間が流れていく。
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そうして、メッセージの返事が落ち着いた頃の事だった。[虹の麓]に、来訪者が現れたのだ……それも予想外というか、予想の斜め上の相手が。
「よぉ、あけましておめでとさん」
片手を上げて挨拶をするのは、黒ずくめの青年。【漆黒の旅団】のギルドマスター・グレイヴである。
その後ろには、【漆黒の旅団】に所属するPKer達が立っている。ギルド総出で、[虹の麓]に来たらしい。
「プ、PKer!?」
「新年早々、PK目的かしら……!!」
ケイン達が、新年早々戦闘かと警戒心を高める。しかしジン・ヒメノ夫婦と、コヨミは警戒心を抱かない……というか、抱けない。
「いやぁ……多分、違うと思いますよ……」
コヨミの発言を肯定するように、グレイヴが笑って両手を上げる。それは、戦う意志は無い……という意思表示だろう。
「安心しろ、喧嘩売りに来た訳じゃねぇよ。単なる、新年の挨拶だ。フレ登録もしてねぇから、メッセも送れねぇしな」
グレイヴがそう言うと、エリザ・アッドも会話に参加する。
「そそ。ウチの元ギルマスを放逐出来たのは、アンタ達のお陰だしね。そのお礼も兼ねてのご挨拶よ」
「まぁ、相手してくれるなら喜んでやるが……君達としても、そういう気分では無いだろう?」
そんな彼等の言葉に、直接の被害者だったハヤテとアイネも目を丸くしてしまう。
「はー、これが掲示板で騒がれてた、マトモなPKerッスか」
「本当に、あの時の【漆黒】とは雲泥の差だよね……」
そうしているとリーパーが、喜色満面でコヨミに声を掛ける。
「あら! コヨミちゃんじゃない! あけおめー! 次の配信いつ? 楽しみにしてるんだよねー!」
「あはは……リーパーさん、あけおめです。多分、六日くらいには出来ると思いますよ」
「おっけー! お頭、お頭! その日私、休んでいい!?」
「好きにしな。プライベートに口出す程、俺ァ野暮じゃねぇよ」
「さっすがー!!」
そんなやり取りに、ヒイロ達は言葉を失ってしまう。
ジンやヒメノから話は聞いていたが、本当にそんなPKerが居るのか? と半信半疑だったのだ。
そして、実際に目の当たりにして、本当にマトモなPKerなんだなぁ……と実感させられるのだった。
次回投稿予定日:2023/6/5(本編)
おまけ
「そうだ。忍者にギルマス……それに【桃園】のギルマスも。フレンド登録しねぇか。嫌なら構わねぇが」
「それは望む所でゴザルよ」
「……俺も構わないけど」
「ふむ、一応理由を聞いても?」
「お前等と戦り合いてぇ時は、事前に連絡してやった方が良いだろ? 昔のクズ共みてぇな、待ち伏せは俺等の趣味じゃねぇんだよ」
「……姫やコヨミ殿とはしないでゴザルか? 面識はある訳だし」
「姫さんはお前の嫁だし、お嬢ちゃんは配信者だろうが。俺みてぇなのがフレンド登録とか、碌な事になんねーだろ」
「「「あんた、本当に何でPKerなんてやってんですか」」」