16-01 相談をしました
クリスマスが終わり、年末年始が迫る十二月二十八日。既に冬休みの課題を半分以上終わらせている、真面目な少年少女達が居た。
「うん、これなら年末年始はゆっくり出来そうかな」
「英雄、後で解答を付き合わせしない? その方が確実でしょ」
「姫ちゃん、これ引っ掛けよね?」
「うん? えーと……あ、そうだね。これは引っ掛けだと思う!」
リビングで真面目に勉強をする、仁と姫乃のカップルに英雄と恋のカップル。その光景に、場所を提供した星波家の大黒柱は満足そうだ。
「勤勉で感心だ、本当に。今時、珍しいというか……」
大将とて、学生時代は真面目な学生だった。しかしながら、恋人との時間をこうして勉学に打ち込み過ごすというのは中々に覚えがない。
「皆ー、そろそろおやつにしましょうかー」
キッチンで作業を終えた聖がそう声を掛ければ、仁達はピタリと手を止める。そのメリハリの良さも、今時の若者とは思えないものだ。
……
聖の作ってくれたホットケーキを味わい、仁達は冬休みについて話し始める。
「仁は年末年始、家で過ごすんだっけ?」
「うん。姉さん達も来るし、少し出掛けるくらいかな」
「あ、私もご一緒したいです!」
「また、皆で集まれたら良いですね。皆の予定を聞いてみますか?」
勉強から離れ、和やかに会話する四人組。その様子に、大将は内心で「仲良い様で、何よりだな」と安心感を覚える。
ちなみにこのパパン、先日のクリスマスお泊りで我が娘が仁にグイグイ行ったことを知らない。
その時、恋の携帯端末が鳴り始める。メールの受信ではなく、通話着信の音である。
「あら? お兄様から?」
恋は一言断りを告げて、席を立って通話に応じる。
「はい、もしもし……はい、はい……今は、英雄さんと姫ちゃんの家でお勉強を……えぇ、そうです……」
恋とその兄の会話内容が気になってしまい、思わず全員が口を噤んでしまう。すると、恋が驚きの声を上げた。
「えっ……? あ、いえ……それはその、聞いてみないと解りませんが……はい、はい……」
その後、何度か会話を交わし、通話は終了したようだ。
「恋、大丈夫だった? お兄さんからの電話」
「えぇと、まぁ……お兄様から、ちょっとした提案がありまして……」
恋の兄からの、提案。そう言われて、その場の全員が内容を気にし始める。
困惑が抜け切らぬまま、恋はその提案内容について切り出し始めた。
「冬休みの間、皆さんを温泉旅行に招待しないか……と」
「「「「「……えっ?」」」」」
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その日の夜、ギルド【七色の橋】のギルドホーム……通称[虹の麓]。そこに集まったのは、【七色の橋】と【桃園の誓い】フルメンバーである。
「……と、いう事ですね」
レンの説明に、集まったメンバーは十人十色の反応を見せた。
まず、既に説明されていたジン・ヒメノ・ヒイロの三人。困惑する面々に、だよね~という表情だ。
純粋に喜びの表情を浮かべているのはハヤテ・ミモリ・センヤと、イリス・ゼクス・マール・ヒューゴ。
お言葉に甘えてもいいのかな? といった様子なのがアイネ・ネオン・ヒビキと、ケイン・ダイス・フレイヤ・ゲイル・チナリ。
予定があり参加できない……とぼやくのは、ゼクトとバヴェルだ。二人は家庭持ちらしく、家族での予定があるのだという。
そして、気後れしているのはカノン・レオン・ヴィヴィアン……そして、転生した彼である。
「レンさんが初音家の人で、ファーストインテリジェンスの関係者とは聞いてましたけど……まさか、温泉施設まで建てるなんて」
黒髪に紅い瞳を持つ、大人しそうな印象を与える少年。【七色の橋】の誇るセンヤデザインの和装を身に着けた、柔和そうな顔立ちである。
「そっか……【ナタク】さんは夏休みには、まだ出会っていませんでしたよね」
「そうだね。でもまぁ、過ぎた事は仕方がないね」
ネオンと和やかに会話する少年【ナタク】。彼こそマキナから転生した、名井家拓真の新たなアバターだ。
名字の”名”に名前の”拓”を合わせて、ナタクにしたらしい。また、封神演義の登場人物である哪吒にも掛けている様だ。
現在はレベリングに精を出しており、既にレベルは30を超えている。これは当然、ジン達の協力によるものだ。
低レベルのプレイヤーを、高レベルプレイヤーが手伝いレベルアップさせる……通称・養殖プレイ。これが嫌われるのは、レベルアップの過程で覚えていくプレイヤースキルなどが身に付かないのが大半を占める。
逆に言うと、プレイヤースキルが身に付いている場合は、多少のパワーレベリングは良くない? と、【七色の橋】【桃園の誓い】は考えた。そして適正レベルのダンジョンでレベリングを敢行し、既に第三エリアに到達まで行ったのだった。
マキナのアバターと違うのは見た目もそうだが、第一エリアのボスであるドラゴン’sの素材で作成したアイテム……≪ユージンの付け髪≫がある点だ。黒髪にオレンジ色のメッシュが入って、他のメンバーとの統一性も出ている。
それはさておき、話は温泉旅行について。
「えぇと、その……宿泊費とかは、如何程で……」
ヴィヴィアンがそう問い掛けると、レンはにっこりと笑って答えた。
「宿泊代は無料ですし、旅費についてもご招待する以上こちらで負担しますよ」
宿泊無料の上に旅費も負担と言われて、【桃園の誓い】は目を丸くする。そんなうまい話があるのか? と不安そうな大学生組を見て、レンは苦笑してしまう。
「というより、皆さんをお招きするのは……その温泉施設がオープンする前に、ご協力頂きたいというものでして」
レンによると、その温泉施設は春からオープンする施設だそうだ。
施設自体はファーストインテリジェンスの系列会社が建設し、既に竣工済みである。経営や施設管理もファーストインテリジェンスやその系列会社にて行うらしく、完全な初音ブランドの温泉施設となるらしい。
そして今回の旅行のお誘いの目的……それは施設のオープンを前に、モニターをしてくれる外部の人間を招き、感想を聞いて改善点を洗い出したいというものである。
関係各所の視察は済んでいるわけだが、実際に施設を利用する客視点での意見が聞きたいという事だそうだ。
そんなレンの説明に、アイネが苦笑しながら自分の考えを口にする。
「言っちゃいけないかもだけど、それって建前だよね?」
「間違いなく、建前ですね」
アイネの言葉を否定するどころか、レンも即座に肯定する。初音家がレンに甘いのは、夏の旅行に参加した面々は身に染みるほど感じていたのだ。
「私の大切な友人に仲間、信頼する人達、そして旦那様ですからね。夏の別荘の時にはお兄様は参加出来ませんでしたし、機を伺っていたに違いありません」
最後にしれっと惚気を入れたものの、大切と言われたジン達は表情を緩め、信頼されていると明言された【桃園の誓い】は柔らかな笑みを浮かべる。
誰もが”旦那様”に突っ込まないのは、言うだけ野暮だからだ。ヒイロも何か言いたげにしつつ、その点について言及すればレンのペースに乗せられるからか黙っていた。
「ですが、モニターをして欲しいというのは事実ですね。お姉様とお義兄様にも、確認しましたし」
建前は建前として、モニター自体は本当に必要な事だとレンは言う。そんなレンに、シオンも補足説明を付け加えた。
「はい。今回立ち上げる温泉施設は、初音家としても力を入れているプロジェクトです。特に家族連れや、学生がターゲットなのは間違いではございません」
「へぇ……家族連れはともかく、学生がターゲットになるのは何故かしら?」
フレイヤの疑問に、他の面々も確かに……と、思う。それに対する返答は、レンから語られた。
「入館料や宿泊施設の値段は、別段お高いという訳では無いのです。なので、学生の旅行先として利用して貰おうという意図があるんですよ」
「あー、卒業旅行とか?」
「はい。一般的な高校生が旅行計画を立てるとして、十分利用可能なグレードになりますね」
ファーストインテリジェンスは高額商品や高級サービスよりも、リーズナブルな値段でより良い商品やサービスを提供する……という方針だ。それを考えると、レンの説明も納得だろう。
「ちなみに、温泉といっても水着着用が可能です。アミューズメント等も充実している様ですし、温泉と温水プールの複合施設……といった感じでしょうか。もちろん家族で楽しめる貸切温泉や、ちゃんとした露天風呂なんかもありますよ」
レンがまだ一般に出回っていない、パンフレットの画像をシステム・ウィンドウに表示する。そこには完成予想図ではあるものの、実に楽しそうな温泉施設の画像があった。
「おぉ、サウナもあるのか! 俺は行けねぇから、残念過ぎるなぁ……いつか、家族連れて行きてぇもんだ」
「その際はお声を掛けて下さい、割引券などをご用意できると思いますし」
そこでヒイロが、ヒメノに視線を向ける。温泉やプールは魅力的だが、愛妹の事情を考えるとどうしたものか……と思ったのだ。しかしヒイロの懸念など、レンは勿論お見通しである。
「ヒメちゃんについては、心配無用です。試作品ではありますが、VRギアの温泉対応モデルの用意がありますから。今回の温泉施設の全てのお湯に五時間浸しても、動作に問題は無かったそうですよ?」
「温泉対応モデル……初音家の本気度がエグい」
センヤの言葉に、レンとシオン以外の全員が「確かに」と頷く。
ヒメノのハンデ……全盲に対する対策として、現状有効なのはVRゴーグルかVRギアだけだ。それを実現する為に、ファーストインテリジェンスはVRギアの更なるバージョンアップを実行に移したらしい。
それが用意されたのが、レンの親友であるヒメノの為だという事は言わずとも明らかである。後々、多くの人の役に立つのは間違いないだろう。だがその発端が、この【七色の橋】の御姫様だというのも事実である。
「ちなみに、うちの親は既に陥落済みだよ。レンにおねだりされたから」
ヒイロがそう言い、ヒメノが苦笑する。その場に居たジンは、無理もないよなぁと頷いていた。
「未来のお義父様お義母様と、御一緒出来たら嬉しいのですが……なんて言われたら、多分うちの親も敵わないね」
「伝家の宝刀を初っ端で抜いたのか、レンさん」
「こんな可愛い娘にそれ言われたら、私もイチコロになる自信があるわぁ……未婚だけど」
ジン・ゼクス・マールの言葉にも、レンはうふふとたおやかな笑みを浮かべているだけだ。この小悪魔、強い。
「うちの両親には、もう話はしてあるよ。ちょっと考えさせてほしいとは言っていたけど、あの分だと間違いなく参加する気がする」
星波家だけでなく、この分だと寺野家も参戦確定になりそうらしい、勿論、レンとしては是非参加して欲しかった。その理由は……。
「未来の義弟のご実家ですし、是非に」
「そのネタ、久し振りに引っ張り出して来たね!?」
そんなジンとレンのやり取りに、笑いが起きる。こういう和気藹々とした雰囲気も、この二つの姉妹ギルドの魅力だろう。
ちなみに勿論の事、レンは本気で言っていたりする。
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ともあれ【七色の橋】は家族に相談、それ次第でミモリ・カノンも参加するかどうかを決めるという事に。
そして【桃園の誓い】は、ゼクトとバヴェル以外は参加する方向で話が進んだ。既に社会人であるケイン・イリス・ゼクス・ゲイル・チナリ・レオン・マールは、自身の判断で参加するかどうかを決められる。ダイスとヒューゴは独り暮らしであり、わざわざ親の許可は必要無い。ヴィヴィアンは実家暮らしだが、恐らく反対はされないだろうとの事だ。
「本当は【魔弾の射手】も、と思ったんですけどね。あちらはあちらで、仲間で旅行の予定があるそうです」
「あー……まぁ、彼等も身内勢なんだよね? それなら、そういう話があっても仕方ないかぁ」
ヒューゴの言う通り、【魔弾の射手】はリアルでの繋がりも深い仲間同士だ。皆で旅行という話があっても、決して不思議ではない。
「ユージンさんは予定があるそうですし、リリィさんは芸能活動で参加は出来ないと……コヨミさんはご家族に相談するそうですが、まだ返答が来てません」
レンがそう言うと、お茶を楽しんでいたハヤテが苦笑気味に補足する。
「まぁ、リリィさんはダメ元ッスけどね」
「そうですね。ですがご連絡させて頂いたら、思いの外申し訳なさそうに謝られてしまいました。なので、こちらも非常に申し訳なく思ってしまいまして……」
バッサリ断られるかと思っていたのだが、リリィは非常に残念そうにしていた。それこそ、こちらが申し訳ないと思うくらいにだ。
ちなみにその時の発言がこちら。
「済みません……出発の日に、遠方でロケがありまして……!! お仕事が無ければ、お忍びででもご一緒出来たかもしれないんですが……残念です」
その事からも彼女が【七色の橋】に対して、強い信頼を寄せているのがよく解る。
「で、カノンさん?」
「うん? 何、かな……レンちゃん」
「クベラさんもお誘いしたいのですが、カノンさんから声を掛けて頂けますか?」
その役割は、カノンが最適だろう。レンはそう思って言ったのだが、カノンはその発言を受けて顔を真っ赤にした。初心な彼女なので、無理もないだろう。
「まぁ、クベラさんも仲間だしな」
「そうだね。居てくれたら、俺達も嬉しい」
ゲイルとケインがそう言うと、他の面々も頷いてみせる。そんな様子に、カノンは「が、頑張り……ます……」と言うしかなかった。
そこで、フレイヤが「あっ、そうだ!」と声を上げた。どうしたのか? と【七色の橋】が視線を向けるが、【桃園の誓い】のメンバーはフレイヤの話に予測が付いている様子だ。
「クベラさんで思い出したわ。今、【七色の橋】は和風装備の販売を再開したんだったわよね?」
「えぇ。例の不正疑惑も、もう下火になりましたから」
アイネの返答に、フレイヤも頷いてみせる。
「それは本当に良かったわよねぇ、一安心。それで、実は……私達も中華風の装備を販売しようかと思うのよ」
彼女の宣言を受けた【七色の橋】は驚きと同時に、喜びの色を表情に含ませた。
「おぉ!」
「それは良いですね~!」
「はい、素敵です!」
ジン達【七色の橋】が販売している和風装備と同様に、西洋風ファンタジーの世界観であるAWOには中華風の装備は用意されていない。少なくとも、今の所はという但し書きが付くが。
その為、中華風の衣装や武器・防具を手に入れるには、プレイヤーメイドの生産品を手に入れるしか無いのである。
これまで数多くのプレイヤーがそれに手を付けていたのだが、このゲームにおいて元祖・中華風といえば【桃園の誓い】。それは、ゲーム内での共通認識だ。
そんなフレイヤの言葉を引き継ぐのは、やはりギルドマスターを務めるケインだった。
「第三回で、皆と一緒に生産のノウハウを覚えられただろう? そして第四回では、実用に耐え得る物が作れると実証できたからね。販売に踏切っても、問題は無いかと判断したんだ」
第三回の生産イベント……魔王への誕生日プレゼントを製作するという、生産職向けのイベント。その時【七色の橋】と【桃園の誓い】は合同で参戦し、優秀な成績を収めた。
そして第四回、GvGサバイバル……そこで新メンバーを迎えた彼等だが、今回は自分達で装備の生産を試みた。結果として、その試みは大成功。あの激しい戦いを、最後まで戦い抜けるだけの性能を発揮したのだ。
「で、クベラさんに相談出来たらなって事になってさ」
クベラは【七色の橋】と懇意の間柄であり、和装装備販売窓口として提携している。そんな名の売れている商人・クベラは、姉妹ギルドである【桃園の誓い】とも親しい間柄だ。販売にあたり、自分達も彼と提携したいと考えるのは当然の帰結である。
「成程……それは良いですね。我々の和風装備と並べる事で、私達が姉妹ギルドとして強い繋がりを持つ事がアピール出来ますし」
「はい。それにクベラ様にとっても、商売の幅が広がりますね」
反対される事は無いだろうと思っていた、【桃園の誓い】の面々。しかしこうして賛同を得られると同時に、姉妹ギルドとして信頼を得られている事を明言されたのだ。嬉しくないはずが無い。
「それと、今後について色々と考えがあるんですよね」
「ほほう? 面白そうだね……それ、俺達も一枚噛ませてもらえたりしないかな」
ヒイロが切り出した、今後について。ケインはそれに興味を示した。
「一緒に……ですか」
「あぁ、一緒にだ。俺達としても、色々と考える事があってね」
ニッと笑い、そんな事を言うケイン。ヒイロが視線で先を促せば、ケインは一つ頷いて説明を始めた。
これまで数々のプレイヤーやギルドを、散々驚かせてきた【七色の橋】の事だ。そんな彼等が何かをするなら、それは確実に面白く……そして、話題になる事だろう。
姉妹ギルドでとしては、彼等の活躍を間近で見守り……そして手を貸したい。
それに先のスパイ騒動の事を鑑みて、彼等を離れた場所から見守るというスタンスでは後手に回る事もある。ならば自分達は、最も近い場所で彼等を守る立ち回りが最適解ではないのか……と考えた。
ならば彼等の展望に一枚噛み、行動を共にする。これは彼等をサポートすると同時に、自分達のゲームプレイにも良い影響を及ぼすだろう。
「つまるところ、姉妹ギルドとしてはさ……君達ともっと、同じ時間や経験を共有したいんだよ。良い事も悪い事も、一緒にね」
「……本当に、ケインさん達が居てくれて良かったです」
ヒイロの返答に、【桃園の誓い】の面々は穏やかな表情で頷いた。初期メンバーだけではなく、新規メンバーの面々も……すっかり【七色の橋】に対し、心を寄せているのがよく解る。
しんみりとした空気が流れるが、そこでゼクスが口を挟む。
「まぁ、後はダイスだな? シオンさんと一緒に居たいだろうしよ!」
そう言って、ダイスの背を勢い良く叩く。シオンとの事を言われて、顔を赤くするダイスであった。
「おま……っ!! 否定はしねぇけど、俺をオチにすんなよ!!」
「否定はしないんだな」
「うっ……そりゃ、事実だからな……」
仲が良さそうで、何よりだ。そんな空気が、全体に満ちていく。ちなみにシオンさん、クールなふりをしているがほっぺが赤いご様子。
こうして話が一区切り付いた所で、レオンが二期メンバーに視線を巡らせる。彼の心の内を察した面々は、任せたと言わんばかりに頷いてみせた。
「俺等はまださ……ケイン達ほど、付き合いが長くないだろう?」
彼等が加入したのは、第四回イベントの前。共闘したのは、スパイを追い詰め討伐する戦いしかまだ無い。
クリスマスパーティーでその距離を縮められはしたが、ケイン達ほどの信頼を得ているとは思っていなかった。
「だからまぁ、俺等としては……君達と一緒に色々と体験して、お互いの信頼関係を深めていきたいと思ってるんだ。その機会が貰えたら、嬉しい限りって事だ」
レオンの言葉を聞いた【七色の橋】のメンバーは、顔を見合わせ……そして、頷き合う。
信頼するのは、当然だろう。彼等はあの戦いで、【桃園の誓い】の理念について……自らの口で、示してくれたのだから。
しかしながら、彼等の人となりを知っていくのは良い事だ。ならばその言葉に対する返答は、最早一つしかあるまい。
「それじゃあ……共同事業という形になりますね。それじゃあ今後の展望について、相談しちゃいましょうか」
次回投稿予定日:2023/5/10(本編)
温泉回は作品の華って、私のゴーストが囁くもので……。




