表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
373/573

短編 獅子と虎

 クリスマスパーティーが終わった後、俺はあるプレイヤーからの呼び出しを受けていた。

 これが女性だったら、もう少し心躍ったんだろうが……残念、相手は野郎だ。


 待ち合わせ場所は、始まりの町の南側の門。そこに向かえば、あいつは既にそこに居た。

 タイガ……今は【聖光の騎士団】のメンバーになった、俺の友人だ。


「待たせたか?」

 俺が声をかけると、タイガは視線をこちらに向けて片手を上げる。

「よぉレオン。今来た所だ……って、男相手にこんな台詞言わせんな、気持ち悪い」

「お前が勝手に言ったんだろ」

 相変わらず、こいつは口が悪い。しかし本気ではない事も解っているので、こちらも嫌気がさすような事でもない。


「で、聞きたい事ってのは?」

 夜も遅いし、手短にな。と付け加えた俺に、タイガは正面から向き合う。その顔は、真剣だ。

「レオン、何故【聖光】の誘いを蹴って【桃園】に行ったんだ?」


 俺はかつて、最前線のレイドパーティに参加していた。その事もあって、【聖光の騎士団】からもスカウトが来ていたのだ。タイガはその頃から、俺のダチだった。常につるんでいた訳じゃあないが……周りから見れば、コンビみたいに思われてたはずだ。名前もレオンとタイガで、獅子と虎って感じだしな。


 確かに【聖光の騎士団】は大規模ギルドであり、強豪ギルド。しかし、俺はその誘いを断った。その理由は……。

「なんつーかさ、こう……のびのびやりてぇんだよな、俺はさ」

「……まぁ、以前からお前はマイペースだよな」

「それなりに団体行動とかは嫌いって訳じゃないし、周りに人が居ても問題は無いんだが……まぁ、マイペースなのかもな」

 大規模ギルドとあっては、マイペースではいられまい。俺一人のせいで、全体に影響が出るのは申し訳無い。そうして周りに合わせてあくせくやっていたら、今度はこっちの息が詰まっちまう。


「……【桃園】は、違うと?」

「ん? あぁ、それなりにマイペースにやってるぜ」

 本当に? という視線が向けられる。しかし、本当にそうなのだ。

「常にのんびりしてる訳じゃねぇさ、当然。でも、仲間一人一人のペースとかを大事にする連中が揃ってるし。一緒に居て、リラックス出来るんだよなぁ」

 一時はピリピリしたけども。まぁ、あれは俺が至っていなかったせいだしな。今ではむしろ、それを指摘してくれたバヴェルさんに感謝してる。


「そうか……そういうものか」

「おう、そういうもんだ」

 寂しそうな顔しやがって、全く……。

「まぁ、今回のイベントで【聖光】とも繋がりが出来たしな。もし協力して事に当たるような事があれば、ゴールデンコンビの連携見せてやろうぜ」

「何だよ、ゴールデンコンビって。初めて聞いたぞ」

「今、適当に決めた」

「アホか」

 俺の適当な発言に、タイガは呆れた様にため息を吐く。しかし、それでいい。辛気臭い顔より、そっちの方がマシだ。


「それじゃ、そろそろ」

「あぁ……野郎二人でイヴを過ごすもんじゃねぇしな」

 全くだ。

「またな」

「おう、またな」

 やれやれ……色気もクソもないクリスマス・イヴだよ。

次回投稿予定日:2023/4/12(短編)


ウスイ……ホンガ、アツク……ナル……( ゜д゜)ハッ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] フレイヤさんこの二人です
[一言] 腐った女子が現れた タイガとレオンは逃げ出した しかし 逃げられない 腐った女子の攻撃 タイガとレオンは気絶した 腐った女子はタイガとレオンを入手した 数日後……… タイガとレ…
[一言] 嫌いじゃないわ〜 ………どこからか 叫び声がする 気のせいだと 思いたい(・。・;
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ