短編 聖夜の一幕
シリアスだったりバトルだったりで満載だった14章と15章が終わりましたね。
どうも、作者です。
作者は現在、クリスマスパーティーの裏側、あの人達、あのカップルのあれやこれ、そしてクリスマス当日のあんなのやこんなのを描きたい!!
作者はとにかく、気が済むまであんなのやこんなのを描きたいのだ!!
色々と捗って仕方がないので、しばし短編をお届けする次第。
文章の総文字数が少ない事もあり、短編はハイペースでお送りします。
まずは皆様が期待なさっていた、彼等からw
始まりの町[バース]には、ある有名なギルドが居る。
「貴様らぁ!! リア充だな!!」
「げっ……!!」
「【暗黒】……!?」
決闘PK専門ギルド【暗黒の使徒】……リア充の敵である。
「クリスマス・イヴを満喫するリア充め……!! 貴様らに決闘を申し込む!!」
ビシィッ!! と指を突き付けて、宣言するのはギルドマスターのダリルである。その背後に、ビスマルクや他のメンバーが五人ほど。
「多勢に無勢とか、本当にPKerは……」
「いいや、勘違いするな!! お前達が二人で来るならこちらも二人!! 男一人で応じるならば、俺一人で決闘だ!!」
「あ、そこは常識的なんだ」
「当然だ!!」
「それなら、受けてやっても良いけど。【ミナ】はどうする? 嫌なら俺一人で邪魔者を追っ払うよ」
「じゃあ【アルス】の格好いいところ、後ろで応援してるね」
いちゃつき出す二人の様子に、ダリル達は舌打ちした。
……
「くそ……っ!! 強ぇ……っ!?」
「ふん、良い格好になったじゃないか」
決闘開始から、数分。アルス青年はダリルに手も足も出せず、HPゲージを全て削られて倒れていた。それも何だか、情けない格好である。
その様子を見守っていたミナは、あまりにも情けない格好のアルスに何とも言えない表情である。
「撲滅完了!! リア充爆発しろ!!」
「「「「「リア充爆発しろ!!」」」」」
もう用は無いとばかりに、ダリル達はその場を立ち去る。ミナは蘇生猶予時間が終わってアルスがホームに転送されるまで、無言で立ち尽くすのだった。
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「ちっ、奴等は何処に居るんだ……」
忌々しそうにダリルは、周囲に視線を巡らせる。彼等が探しているのは、当然リア充だ。リア充の中でも有名な存在、リア充の中のリア充である。
「【七色の橋】の連中は、何処に居る!!」
「ホームに居るかと思ったが、全く灯りがついていなかったです!!」
「だとしたら、デート中!! これは爆発チャンスだ!!」
「勝てる保証は無いですけどね」
「しかし殴らずにはいられん!! それが俺達だ!!」
その情熱をもっと別のところに向ければ……と思わなくもない。が、彼等はリア充に殴り掛かるのを止められない。そういう方針なのだ、彼等は。
そんな時だった。
――あ、あーん……です……ジ、ジン……くん。
とある場所でお姫様の口から、そんな台詞が放たれた。その時彼等の身体に、電流走る。アバターだけどね。
「ぬぉっ!?」
「こ、これはっ!?」
「この波動……!! 間違いない、リア充の波動だ!!」
「それも生半可なものではない……!!」
何言ってんの、こいつら。
「あぁ、リア充・オブ・ザ・リア充・オブ・ザ・リア充の波動!!」
「愛しさと切なさと心強さがいい塩梅でミックスされた波動……!!」
「それでいて不純物の無い、純度千パーセントの波動だ!!」
本当に何言ってんの。
「見付けたぞ……ッ!! こっちか!!」
確信を抱いて駆け出したダリル。その後ろに、他のメンバーも迷う事無く続いた。ちなみに方向はバッチリ合っています、距離は結構離れているけどね。だからこそ、色々とこいつらおかしい。
そしてダリル達が、某イベントホールの前に到着する。そこには、分散してリア充撲滅活動に勤しんでいた仲間達がいた。
「ギルマス!! そちらもアレを感じたんですね!!」
こいつらも同じくリア充センサーを搭載している、いろんな意味でおかしい奴等らしい。
「うむ!! 間違いない、ここに奴等が居るはずだ!!」
「それだけじゃない……あのとんでも無い波動に埋もれてはいるが、他にもいろんなリア充の気配がする……!!」
え、なんて?
「あぁ、これは互いを信頼し合い高め合うカップルの波動? それに、一つずつ積み重ねていく純愛カップルの波動もある……!!」
「あとは、長い年月を共にして来た幼馴染カップル……待て、今にもくっついてカップル成立待ったなしの波動を感じるぞ!!」
「こ、これは……ついにくっ付いた、なりたてほやほやの新鮮なカップルの波動ッ!!」
「くっ……更に他の波動も、感じるぞ……これはまさか、単身赴任している夫を信じて待つ妻と、そんな妻に全力で応える夫婦の……っ!?」
「むぅ……!! まだ互いに自覚していない、しかし確実にお互いを想っている……実にむず痒くなる波動を感じる……!!」
「まだだ、それだけじゃない!! これは……いよいよ告白するぞと意気込んでいる、両片思いの波動ッ!!」
「む……この波動は我等が宿敵!! しかし、パワーアップしている……大切な幼馴染を想う男と、無自覚ながらそんな幼馴染を誰よりも信頼している……それなんてギャルゲだっ!!」
「なんだ、この既に孫までいるレベルの、静かで穏やかな深みを感じるリア充の波動は……!!」
「これは大仕事になりそうだ……!!」
高性能にして高感度、更には成分分析までバッチリ。本当に何なんだろうね、こいつらのリア充センサー。
ちなみに許可の無いプレイヤーは、貸し切り中のイベントホールには入れない。なので、彼等はここで出待ちするしかない。
尚、パーティーが終わって後片付けをした、クリスマスパーティーの参加者達。彼等はその場でログアウトするか、ホール内に設置されているポータル・オブジェクトを使用してマイルームに転移する。
その為、ここで待っていても一人として出てくる事は無いのだが……彼等がそれに気付くのは、ずっと後の話。
リア充センサーやべぇ。
皆さんはどれがどれか解りましたか? と言いたい所ですが、これ描いてた作者は「あ、これはあのカップリングだな」と気付かれるんだろうなと思って執筆していました。
なので、あんまりひねってません(笑)
次回投稿予定日:2023/4/4(短編)
短編は文章量が本編より低下しますので、更新ペースを上げてのお届けとなります!
二日に一話でいきますので、どうぞ宜しくお願い致します!
糖度警報発令? あるよ。
あ、ちなみに四月は既に短編集で予約埋まりましたわ。(3/20現在)
この状態を継続できれば、投稿ペースを元に戻せるかもしれません。