表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第十五章 第四回イベントに参加しました・弐

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

351/577

15-31 幕間・策士の真価

「スティード、そのPACパックを抑えてて!!」

「イエス、マスター」

 フレイヤの指示を受け、彼女のPACパックであるスティードは【遥かなる旅路】のブラスカをマーク。同時にフレイヤは、ゲイルと共に【暗黒の使徒】のバーラ・ライカとの戦いを演じていた。

「良い雰囲気になってんじゃねーぞ、ゴルァッ!!」

「見せ付けてんのか!? オォ!? 美女と野獣気取ってんのかァ!?」

「ぐ……っ!! 本当、理不尽だな!! こいつらっ!! あと、野獣扱いすんなぁ!!」

 何故、【暗黒の使徒】対フレイヤ・ゲイルなのか。当然、二人が何か良い感じだからである。【桃園の誓い】参戦と同時にそれを察したバーラとライカは、鬼気迫る勢いで二人に向けて突撃をかまし……双方の仲間がどんどん倒れて行く中、この二対二の状況になった訳だ。


 その傍らでは、槍使いと直剣使いが激しい斬り合いに興じている。

「くっそ……やっぱ強いな、アンタ!!」

「アンタがそれ言うか!? 以前よりもキレが増してんじゃねーか!!」

 【桃園の誓い】のダイスと、【遥かなる旅路】のタイチ。その攻防戦は、互いのHPが徐々に減っていく事から見ても互角と見て良い。トッププレイヤー同士の戦いは、見る者の興奮を呼ぶ名勝負となっていた。


 そして、【森羅万象】の拠点中心に建つ建造物……その前に立つのはシンラとハルの姉妹と、四人のギルドメンバーだ。

「ハル、大丈夫?」

「うん!! お姉ちゃんが回復してくれているから、まだまだいけるよ!!」

 ハルを要とした、拠点防衛。そんなハルを前にしているのは、【桃園の誓い】のヒューゴ。そして【遥かなる旅路】のエルリアだ。

「くっそー、ほんっと強いなぁ……自分がまだまだだって、思い知らされている気分だよ……」

「これだけ撃っても、彼女のHPは然程減らない……やはりVITが高い。状態異常にしても、すぐに回復されるのも手痛い……大きいのを撃ちたいけど、周りの護衛がそれをさせてくれないし……」

 ヒューゴは【森羅万象】の難攻不落ぶりにぼやき、エルリアはどうすれば彼女達を落とせるかを必死に考えていた。エリアボスとの戦い、そして他ギルドとの戦い……連戦に次ぐ連戦で、仲間達や応援NPCも倒されてしまった。それが非常に、手痛い現状なのである。


―――――――――――――――――――――――――――――――

■拠点【森羅万象】


【桃園の誓い】(5人)

 ダイス・ヒューゴ・フレイヤ・ゲイル、PACパックスティード


【森羅万象】(6人)

 シンラ・ハル、プレイヤー4人


【遥かなる旅路】(3人)

 タイチ・エルリア、PACパックブラスカ


【暗黒の使徒】(2人)

 バーラ・ライカ

―――――――――――――――――――――――――――――――


「んー……そろそろかしら~?」

 ヒューゴとエルリア、ダイスとタイチ、ゲイル&フレイヤとバーラ&ライカ……その位置関係を見て、シンラは機を見計らう。

 拠点防衛は、同時に複数のギルドを相手にする場合がある。今回の戦いでも、それが苦戦の理由であった。しかし拠点での戦いは、利点もある。


「……ふふっ、それじゃあ終わりにしましょうか」

 シンラがそう言うと、拠点から【森羅万象】のプレイヤー達が姿を現した。

「増援!? 隠れていた伏兵か!?」

「いや……戦線復帰リスポーン組か!!」

 シンラは拠点防衛戦力として、リスポーンしたメンバーを拠点内に待機させていた。それは防衛線を突破された場合の、予備戦力として……同時に、襲撃者達の数が減った時の備えとしてだ。


 更に、シンラの狙いはそれだけではなかった。

「こ、こいつらいつの間に!!」

「囲まれた……!?」

 他の戦場で戦闘不能になった面々は、建物の裏側から出て回り込んでいた。全ては、シンラの策の為に。

 囲まれた状態で攻撃を受け、じりじりと追い遣られる【桃園の誓い】【遥かなる旅路】【暗黒の使徒】。逆に【森羅万象】側は、反撃などに警戒して深追いをしないように徹している。

 傍から見れば、気付けただろう……彼等が【森羅万象】によって、誘導されている事に。


「今よ、ハル!!」

「了解っ!!」

 シンラの合図を受け、ハルが単身駆け出した。

「ん? 防衛を捨てるのかしら?」

「……違う、これは……っ!!」

 戦線復帰した【森羅万象】のメンバーによって、彼等はハルの進路にまとめられていた……それも、一列に。

 ハルはこれまで、≪反逆者の大盾≫のスキルを使用せずにいた。過去のイベントで、彼女の大盾の性能についてもおおよその予想は立てられている。それは『受けたダメージ値を攻撃力に変換する』という予想であり、事実それは的を射ている。

 ハルが拠点防衛の戦いで受けて来た攻撃のダメージ値は、相当なものになっている。それを解放した場合、一撃で戦闘不能になる大ダメージを受けるのは間違いないだろう。


「決めるよ……っ!! 【チャリオットバッシュ】!!」

 ある程度距離を詰めた所で、ハルは【チャリオットバッシュ】を発動。そして、溜めに溜めた力をここで解放する。

「【リヴェンジ】!!」

 赤黒いオーラを纏った大盾を使った、突進攻撃。それに触れた瞬間……まずエルリアとヒューゴの身体アバターが、大きく吹き飛んだ。次いでゲイルとフレイヤが、バーラとライカが……そしてスティードとブラスカ、最後にダイスとタイチが吹き飛ばされる。

 地面に倒れた彼等を見つつ、ハルは右手で小さいガッツポーズを取る。ここまで堪えに堪えて貯めた力を一気に発揮しての、強力な攻撃だったのだ……気分が高揚していても、不思議ではあるまい。


 そして何より……ここまで打った布石が噛み合い、一気に強敵を殲滅する策を用意していたシンラ。彼女の顔から緊張の色が消え、柔らかい笑みが浮かび上がる。

「ハル、それに皆……頑張ってくれて、ありがとう」

 穏やかな声色で響き渡るその言葉を耳にして、【森羅万象】の面々は勝鬨の声を上げた。


 【森羅万象】、拠点防衛成功。

次回投稿予定日:2023/1/10(本編)


本来であれば本編で描ける名勝負なのですが、【森羅万象】の拠点がマップの端にある為に案外人が集中しませんでした。

そうする事も出来たのですが、そうするとコレどうなるんだ? みたいな展開になったものでして……物語の構想には、今も絶賛頭を悩ませていたりします。文才が欲しい。


でも、シンラさんとハルちゃんの活躍を描きたいと思いまして、幕間としてお届けした次第です。作者はこの姉妹結構お気に入りです。


読者の皆様は、特にお気に入りの登場人物はいらっしゃるでしょうか?

ご感想等でお声を頂けたら、何かしらの形で活躍を描くのも良いかなと思っています。端的に言うとネタが欲しい←


次回はあの場所でのバトルです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今回のイベントは 広域に多種多様な人物が 展開しているので こういった場面も存在します その上で 場を利用し 作戦を実行した結果 勝利を収めた 流石です [一言] 次回イベン…
[良い点] 【暗黒】!その野獣先生苛めたらそれなりに幅広い児童達から白い目で見られるぞ!!(多分先生の教えにより手も口も出さない。 広域殲滅スキル使えるタンクと、ヒーラーに指揮官揃ってた【森羅万象】…
[良い点] ハルちゃん防衛に敵殲滅に大活躍。此にはアーサーもニッコリきっとハルちゃんに惚れ直す事でしょうwシンラさんの策が発動した時はつい「逃げろ、其れは孔明の罠だ!」と言いたくなったのは秘密ですよ。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ