15-13 【七色の橋】VS【魔弾の射手】
イベントエリアで繰り広げられる、ギルドとギルドの戦い。激しさを増すその中で、遭遇した二つのギルド。
その片方は、装いを和風で統一している小規模ギルド。しかしこれまでのイベントで快挙を成し遂げ続けた、トップギルド【七色の橋】。
片や黒い現代風の衣装を身に纏い、レアアイテムである銃を主武装とする異色のギルド。しかし装備に頼り切りでは無く、高い身体能力を誇る少数精鋭ギルド【魔弾の射手】。
この二つのギルドは常日頃から交流を持っており、協力関係にあると目されている。事実その通りで、【桃園の誓い】を含めた三つのギルドは同盟関係と言って良い。
そしてメンバー同士の仲も良好で、強固な信頼関係を結んでいる。
特に今イベントの序盤で敢行された、スパイ撲滅作戦……【七色の橋】からの、作戦への協力要請を二つ返事で快諾したのが【魔弾の射手】である。
そんな二つのギルドのメンバーが、今……全力で戦闘を繰り広げていた。
「はあぁっ!!」
「く……っ!!」
アイネは薙刀を振るい、ミリアを攻め立てていく。その攻撃を躱しながら、ミリアはショットガンを構えようとする。しかしアイネの切れ間の無い攻撃で、その隙を見出す事が出来ずに居た。
――確か、アイネちゃんは薙刀を学んでいたらしいけれど……この動き、鋭さと来たら!! 師範レベルの実力者なんじゃないの、これ……!!
もしもこれが、何の心得も無い素人が武器を振り回しているだけならば……今頃、その相手は地に伏せているだろう。
しかしアイネは薙刀の技術を正式に学んでおり、長年積み重ねて来た確かな技量がある。
アイネの薙刀の力量は、祖父が厳しかった事もあり相当な腕前である。祖父が他界して離れた薙刀だが、もし今も続けていたならば公式大会でかなり良い所まで行ける事だろう。
だからこそ、ミリアは反撃に打って出る事が出来ずにいた。
だが決して、アイネが優勢という訳ではない。何故ならミリアは、アイネの攻撃を全て躱すか逸らしているのだ。
「せぇぇいっ!!」
「当たら……ないわ!!」
切り上げられた薙刀の切っ先を、ミリアは身体を捩る事でやり過ごす。その後に続く石突の打撃も、左腕の盾を傾ける事でいなしてみせた。
――まるで、どこに攻撃するのかを読んでいるみたいに……!!
先程から……最初からミリアは、全ての攻撃を見切っている。的確に捌き、確実に避けていくのだ。
今のアイネは、今日一番の集中力を発揮して攻撃を繰り出している。調子は良く、技の鋭さも冴え渡るかの様。
しかしそれでも、暖簾に腕押し……最高のタイミングとフォームで繰り出した斬撃なのに、手応えを感じられないでいる。
二人の攻防は、見る者に息も吐かせぬ程に激しい。
……
「おらあぁっ!! そこをどけぇっ!!」
「いいや、お嬢ちゃん達の邪魔はさせないぜ!!」
アイネとミリアの戦闘が激化する傍ら、応援者と応援者が激しくぶつかり合っていた。どちらも小規模ギルドの応援NPCである為、割り振り可能なステータスポイントは高い。更に実力のあるプレイヤーが熟考して性能を決定しており、下手なプレイヤーでは手も足も出ないくらいの力量を持っているのだ。
そんな応援者と肩を並べて戦うのは、鍛冶職人であるカノン。そしてゲストメンバーであり、商人プレイヤーであるクベラだ。
「な、げ……ます……っ!!」
カノンが大振りな投擲鎚を両手で握り、投擲態勢に入る。それを見た【魔弾の射手】の応援者達は、カノンの攻撃を阻止すべく声を上げた。
「あの姉ちゃんを止めろー!!」
「投げさせるかよぉっ!!」
「させへんで!!」
フィールドに銃声が響き渡り、カノンに駆け寄ろうとした応援者達がダメージを受ける。
「くっ……!? 嬢ちゃん達と、同じ……!!」
「奴も銃を持ってやがったか……!! くそっ、厄介な!!」
クベラに行動を阻止され、応援者達の足が止まる……と思いきや、彼等の背後を擦り抜けた応援者の青年がカノンに駆け寄る。
「貴女達に恨みはないが、盟友の為に倒させて貰う!」
「うぅっ!?」
ショートソードで斬り付けられ、カノンのHPが減少してしまう。人見知りで、戦闘に不慣れなカノンだ。NPCであり、細身の青年ではあるが……接近されると、恐怖心が先に立ってしまう。
「くそっ……!! ジョシュアはん、カノンさんの援護を頼めるやろか!?」
「あぁ、了解した!」
呼び掛けられたアイネのPAC・ジョシュア。彼はクベラの指示に素直に従い、カノンを援護すべく【魔弾の射手】の応援者に向けて疾走する。
「オイタはそこまでだ、坊主!!」
振り下ろされる大太刀を、盾で受けようとする【魔弾の射手】の応援者。しかしジョシュアの一太刀による衝撃を受け止め切れずに、膝を折り地に付いてしまう。
「なんてぇ重い一撃……!!」
「ふんっ!!」
気合の籠った掛け声と共に、振るわれる大太刀。その一撃に当たるものかと、【魔弾の射手】の応援者は飛び退くようにして回避した。そのまま地面を転がりながら体勢を立て直し、ジョシュアに向けて投擲物を投げる。
「ムッ!」
ジョシュアは盾を構え、その投擲物が触れるのを防ぐ。それは所謂≪手榴弾≫であり、ジョシュアの盾に触れた瞬間に爆発してみせた。
「今だ!」
「させると思うてか、童」
爆炎に紛れてジョシュアに攻撃しようとした、青年応援者。しかし彼の腹に、一発の魔法球が触れた。それは発動と弾速の速さに定評のある、風属性魔法【ウィンドボール】。通常ならば、大した威力の魔法ではない。
しかし放った者の実力が、高ければ高い程威力は上がる……例えば、【魔女】とか。
「ぐっ……!? な、何だ……!? 一気に……!!」
想定していたダメージ量を遥かに超える、魔女の一撃。その威力に表情を歪め、青年応援者は彼女に視線を向ける。
「ほう? 今のを耐えるとは、中々よのう。流石は【魔弾の射手】の協力者」
黒髪を靡かせながら、魔法陣を人差し指に灯す美女。カゲツの姿を目に留めた青年は、死を覚悟した。
「諦めるのは、まだ……」
呟く様な、少女の声。それと同時に、空中に投げられた黒い物体。陽光を反射するそれは、先程青年が投げた物と同じ。
次いで、銃声。繰り返し響き渡る、乾いた発砲音。そして、直後……周囲に炎の華が乱れ咲いた。
「……ちぃっ! 俺とやり合いつつ、これとは……!!」
右目の魔眼の力で、炎や煙の中でも見通せるハヤテ。そんな彼が”彼女”を見れば、その紫色の瞳がハヤテを射抜いていた。
――メイリアさん、ヤバない!? 強いのは知ってたけど、正直ここまでとは思わんかった!!
いくら虚を突いて銃撃しても、彼女は弾丸を尽く避ける。ならば近接戦……と思っていたら、あちらからインファイトに持ち込もうと接近して来る。アイネと違いハヤテに武道の心得は無いし、ステータスも装備も後衛向けのチューンとなっている。
文字通り必殺の【一撃入魂】を持っていても、当たらなければ意味は無い……万能そうなハヤテの数少ない欠点が、それだ。
更に言うと、同じ銃使いを相手にする……これは、ハヤテにとっては勇気のいる事だ。
【一撃入魂】の真価である、【填魔】には溜めが要る。そしてその溜めこそが、相手に「これから強力無比な攻撃をするぞ」と教えている様なものなのだ。特に、ハヤテの能力を知っているプレイヤーには。
これが近接職ならば、距離が離れている内に仕留めれば良い。魔法職ならば詠唱完了前に潰すし、弓職は矢をつがえる内に倒せる。
だが、銃は違う。詠唱も、矢をつがえて狙いを定める事も無い。駆け寄る必要も、基本的には無いのだ。それでいて、即座に固定ダメージを相手に与えられる。
もしも相手が銃撃戦の素人ならば、まだ良かった。しかしハヤテは、ここへ来て確信に至る。
――ムダの無い堅実な作戦行動、狙いや取り回しといった銃火器の扱いの習熟、スキル抜きで近接戦闘にも対応可能な身体能力……!! これじゃあ、まるで……!!
思えば過去にプレイしていた、GSO……そこでも彼は、似たようなプレイヤーと戦った事があった。
白兵戦の技術や、銃撃戦の技術に長けたプレイヤー。そして相手を攻撃する事に慣れているかのような、感情を覗わせない表情。
――まるで……軍人みたいだ!!
そう、ハヤテがGSOで戦ったのは……現役の自衛官だった。更に大きな大会では、米兵とも対戦した事があったのである。
ちなみに、その時は敗北した……翌年、リベンジをかましたが。
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実はかつて、練兵の為のVRを作って欲しい……という依頼が、国家から一企業にあったのだ。どの企業もVR技術による練兵……それは行わないと、口を揃えて言っている。
しかし、それは表向き。影では複数の企業がこぞって、練兵プログラムVRMMOを極秘裏に製作しているのだ。
無論、それに手を付けない企業も存在する。日本五指に入る大企業だと、初音とか六浦とか宇治……まぁ、さもありなん。
それはさて置き、VRMMOを本職がプレイする事は珍しくない。それでPvPをしても、咎められはしないし出来ない。
何故ならばそれはプライベートな時間の事であり、法によって規制されていない。勿論、軍規にも反していない。
それに対して苦言を呈するユーザーも当然存在するが、それで規制へとはなっていない。国と企業とが複雑に絡み合うのが、現在のVRゲーム界隈の実情が故に。
無論の事だが、軍人や自衛官がゲームをするにしても限度はある。武力を行使する事を生業としている者が、それを嵩に着て恫喝や乱暴をすれば……証拠があれば、確実に複数の意味で終わりだ。
アカウントは凍結され、職場では愚行を公にされ、酷い内容ならば職を失う。市民を守る責務を負う者なのだから、これは当然の事だ。
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ともあれ【魔弾の射手】の実力、挙動からは訓練された軍人と同じ感覚を覚える。
銃火器の扱いに慣れているとはいえ、ハヤテは素人。GSO時代に強いプレイヤーの技術を見て、見様見真似で覚えただけのアマチュアである。その道のプロからすれば、児戯に等しいだろう。
そう考えて、ハヤテは戦術を変えるべきか悩む。
しかし、その逡巡が命取りとなった。
「駄目だよ」
諭す様な声と同時、ハヤテの思考がメイリアからこの先の戦術に向かった瞬間。その虚を突いて、メイリアはハヤテに向けて接近する。
「!?……しま……っ!!」
ハヤテは慌てて、ジンから譲り受けた愛銃≪オートマチックピストル≫をメイリアに向ける……が、時既に遅し。
「【サマーソルト】」
跳び上がりと同時の蹴りが、ハヤテの顎を捉える。その衝撃により、ハヤテの身体が空中へと打ち上げられた。
――ここで、体術!?
浮き上がったままのハヤテは、メイリアの次の行動が如何なるものかを考え……そして悪寒を覚えた。
空中に居る間、彼女の攻撃を防御する術も……躱す事すら出来ない。もしも彼女に、自分の様な致命の一撃を与える事が出来るならば?
しかしその予想は、それを遥かに上回る驚愕と共に覆される。
「【バレット】」
スキルオーブ【体術の心得】は、武器を用いない肉弾戦向け。故に技後硬直は短く、ハヤテが地面に落ちてダウンする前に追撃を放てた。
銃弾が命中すると、ハヤテのHPが減少。更に彼の身体が、武技の衝撃でわずかに浮き上がる。
そして、メイリアは再び引き金を引いた。
「【ソニックバレット】」
――銃で……【チェインアーツ】だって!?
それが難しい芸当である事を、ハヤテは知っていた……いや、ハヤテだからこそ理解していた。
敬愛する兄貴分である、ジンとヒイロ。同い年のマキナに、年下のヒビキ。そして最愛の恋人である、アイネ。彼等が得意としている【チェインアーツ】は、デメリットがあるものの強力な相手を一気呵成に倒す事が出来るシステム外スキルだ。
銃でそれが出来ないか? そう考えたハヤテは、ギルドホームの訓練場でひたすらに修練を重ねていた。その結果解ったのは、銃による【チェインアーツ】は極めて困難だという事だった。
チェインを成立させる事が可能なタイミング、通称・チェインタイム。ただでさえ僅かな一瞬のタイミングなのだが、銃によるそれは更に短い。
速過ぎても、遅過ぎても【チェインアーツ】は成立しない。目を閉じて針の穴に一発で糸を通す方が、成功する可能性が高いとすらハヤテは思うくらいだった。
それを、メイリアは成功させ……
「【エイミングバレット】」
ハヤテのHPを、刈り取ってみせた。
……
「ハヤテ君!?」
「う、うそ……っ!!」
「くっ……はよ、回復せな……!!」
アイネはハヤテの敗北にショックを受け、動揺を露にした。それはカノンも同様で、攻撃の手を止めて立ち呆けてしまう。
外部の人間であるクベラは、二人よりもショックが浅かった。そして彼は支援役として、ハヤテの蘇生を急いで行わなければならないと判断した。
「兄さん達、ハヤテ君はワイが!! カノンさん達を、守ったってくれ!!」
応援者達にそう告げて、クベラはポーチから≪ライフポーション≫を取り出して駆け出す。応援者達はクベラの指示を聞き入れ、アイネとカノンの守りを固めようと動き出した。
「駄目だよ、折角倒したんだから」
クベラのすぐ側で、そんな少女の声が聞こえた。次の瞬間、クベラの視界が反転。次いで衝撃が全身を襲った。
「クベラさん!!」
「させるか……っ!!」
カノンの悲鳴じみた声に続いて、非戦闘員であるが故に離れていたボイドの声が聞こえた。
直後、背中に衝撃を感じ……そして、全身から力が抜けた。感じる衝撃は不快感を感じはするが、痛みは無い。だからこそ、不可思議で奇妙な感覚であった。
――戦闘、不能……!! やられたのか……くそっ!!
次いでクベラは、視界の隅でボイドが倒れたのを目にする。自分もボイドも、メイリアにやられたのだろう……そう判断すると、次に危険なのは?
カノンが危ない……そう考え、声を上げようとした瞬間だった。
「撤退だ!!」
少年の声が、戦場に響き渡った。
「……!!」
「ハヤテ、君……」
声を上げたのは、蘇生猶予時間中のハヤテ。地面に倒れながら、力強い瞳で仲間達に向けて声を張り上げた。
「状況は不利!! これ以上の損害を避ける為、撤退!!」
ハヤテがそう訴えかけるが、アイネもカノンも動きが鈍い。ハヤテやクベラ、ボイドを置いて逃げる訳には……そんな感情が、撤退の意思を鈍らせているのだ。
それはハヤテにも、痛いほどによく分かる。自分が逆の立場ならば、同じように考えてしまうだろう。
しかし感情で理解しても、それを良しとする訳にはいかない。それにまだ、ハヤテは一度目の戦闘不能……蘇生猶予時間が尽きて、待機時間が終われば拠点にリスポーンするのだ。
ここで彼女達が倒れれば、更に戦況が不利になる。ポイントは下がるし、ステータスダウンも避けたいところだ。そして同時に、彼女達に傷付いて欲しくはない。
だから、ハヤテは指示を出した。
「カゲっちゃん、じっちゃん!! アイとカノンさんを頼む!! 応援者の皆、撤退の補助を!! 後で、拠点で合流しよう!!」
そんなハヤテの指示に、カゲツとジョシュアは厳しい表情でアイネとカノンに視線を向け……そして、頷いた。
「主よ!! その命、しかと受け取った!! 【ウィンドウォール】!!」
ハヤテやクベラ、ボイドが倒れた近辺。その位置に放たれた、魔女の竜巻。その範囲は実に広い。
「ふぅ……危なかった」
その魔法を回避して、息を吐いたのはメイリアだ。そして、次の瞬間に顔を顰める。竜巻が邪魔で、アイネ達を狙えないからだ。
「逃がさない……わっ!!」
ショットガンをアイネに向け、引き金を引こうとするミリア。アイネは先程までと違い、動きに精彩さを欠いている。故に、ミリアの銃撃に対応し切れない。
「【アサルトバレット】!!」
そして、発砲音が響き渡る……が、ミリアは苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべていた。
「やらせん!!」
「くっ……!!」
アイネとミリアの間に、割り込んだのはジョシュアだった。盾を構えた老兵は、ミリアの散弾から主を守ってみせたのだ。
「ほれ、嬢ちゃん達!! 今の内だ!!」
「行くぞ、聖剣娘」
ジョシュアとカゲツに促され、アイネとカノンはようやく撤退の為の行動を開始した。
「させないわよ?」
ミリアは撤退する少女達を追撃しようとするが、そこに立ち塞がったのは【七色の橋】の応援者達だった。
「ここは通りたければ、俺等を倒してからにしな!!」
「アンタも行きな、爺さん!! なぁに、すぐに追い付いてみせる!!」
「ちなみに、倒しちまっても構わないんだろ?」
揃いも揃って、フラグを建てる応援者達。しかしフラグという概念を理解するに至っていないジョシュアとカゲツは、彼等の言葉に胸を打たれた様な表情を浮かべた。
「感謝する」
「勇敢な童達よ、ここは任せたぞ」
PACと応援者達の繰り広げる、その様子を見てミリアは思う。
――考え過ぎだとは思うんだけど、何か……悪者の気分だわ。
相手方にそんな意図は無いだろう、それは重々承知している。しかしそれでも、思わずにはいられない。
そんな内心はさておき、戦闘とあれば容赦はしていられない。特に【七色の橋】は、劣勢を一気に引っ繰り返すくらいやりそうなギルドである。
ならば逃がす訳にはいかない……特に、プレイヤーとPACは仕留めておきたい。
「逃がさないわ」
ミリアがショットガンを手に駆け出そうとする、その瞬間。予想外の人物が、彼女の足を止めた。
「行かせへんで!!」
それは、≪聖なるメダル≫で自ら蘇生したクベラ。倒れたままで蘇生した事を悟らせないようにしていた彼の側に、ユージンが製作した大砲≪逢煙鬼宴≫が準備されている。
ミリアに狙いを定めていた砲塔から轟音と砲弾が吐き出されると、それはミリアに命中した。流石のミリアも、近距離砲撃を回避するには至らなかった。
その衝撃によってミリアは大きく吹き飛ばされ、運悪く川に落ちて流されていく。HPを失っただけならばメイリアが蘇生出来たのだが、これでは制限時間内の蘇生は難しいだろう。
「もう一度、倒れて」
カゲツの魔法効果が途切れた瞬間、すかさずメイリアが接近。クベラに対して三度引き金を引き、再度HPを枯渇させた。
メイリアは倒れたクベラには目もくれず、【七色の橋】のメンバーを追撃しようと視線を彷徨わせ……動きを止めた。
ミリアをやられた以上、自分だけでの追撃は厳しい。そう判断したメイリアは、わずかに悔しそうな声で呟いた。
「流石……逃げられたね」
次回投稿予定日:2022/9/20(本編)
蛙の子が蛙なら、天空王の孫は撃墜王でした。
プレイヤー・PAC・応援者が入り乱れての乱戦は、描写が大変でしたが描いていて楽しめた気がします。