15-12 観戦エリア・5
激戦が繰り広げられる、第四回イベント。その様子を観戦するプレイヤー達は、初日よりも激しい戦いを目の当たりにして興奮していた。
「やっぱり強いな、【桃園】」
「【天上天下】と【大魔導同盟】がやられて、これで【ファンタジスタ】もやられるだろうなぁ」
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『オラアァッ!!』
『喰らえ、必殺……』
『当たらねぇよッ!!』
『『へぶぁっ!?』』
『ジョ……【ジョニー】ッ!!』
『【マイク】……!!』
『くっ、流石ダイス……!!』
『大技狙い過ぎの奴らに褒められて、喜ぶと思うか? 応援者の皆、さっさと終わらせるぞ!!』
『あいよぉ!!』
『任せなさいな!!』
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「ダイスニキは余力ありそうだな」
「というか、あいつらの動きおかしくね?」
「なんか魅せプレイとか、神業プレイを再現したくてハイリスク・ハイリターンな動きばっかりしてんだよな……」
「昨日【大魔導】と戦っているのを見たんだけどさ。偶然一人が難易度高めの攻撃を成功させた時に、他の奴らがやたらと『お前、ファンタジスタか!?』とか叫んでいたな」
「アホ過ぎる……」
「それにしても、ダイスさんはやっぱり安定感があるな」
「的確に攻撃を捌いているよなぁ、流石が過ぎる」
「応援者を率いる姿も、第一回でのカリスマ性を思い出させるわね」
「てゆーか、ダイスってかなり優良物件なんじゃない?」
「まぁ、見た目・実力・性格……三拍子揃っているもんね」
「何気に、狙ってる女性プレイヤーは多いらしいわよ」
「チッ! やはりイケメンは敵だ」
「チッ、ダイスニキめ……勝てる要素がなくて悔しいです」
「チッ……そもそも参戦出来ない俺では、太刀打ち出来ぬ。無念……」
「そういうとこだよ、男ども」
「ひがむなひがむな」
「おぉっ!? こっちではフレイヤとゲイルが!!」
「何ッ!? フレイヤだと!?」
「フレイヤ姐さんだと!?」
「見たい見たい!!」
「そういうとこだぞ、野郎ども……」
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『じゃ、邪魔だ!! そこを通せ!!』
『そう言われて通すとでも思うか?』
『くそぉ、応援NPCまで堅い……!!』
『後ろの奴らにゃ、近付かせないぜ!!』
『それじゃあ応援者の皆、一気に決めるわよ!!』
『おう!!』
『はい、フレイヤさん!!』
『せーのっ!! 【ファイヤーボール】!!』
『うおおぉっ!?』
『に、逃げろっ!!』
『バカ、おまっ……盾職なら受けぎゃあああああああっ!!』
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「一斉にあの数の【ファイヤーボール】が飛んで来るって、よくよく考えたら怖いよね」
「ゲイル達が鉄壁防御で守ってたからな……そりゃ、じっくり詠唱出来るわな」
「でも【ファンタジスタ】も大技ばっか狙ってるとは言え、盾で受けてはいたよな? あんだけ受ければ、反動ダメージがそれなりに蓄積されると思うんだが。ゲイル、全然HP減ってないぞ?」
「んー、装備かスキルかな? もしかしたら両方の可能性もあるが」
「何かしらの回復スキルか……盾役だし、そういうのを揃えててもおかしくはないよな」
「それにしてもゲイルって、やっぱ見た目怖いよな……」
「良い人なんだけどなぁ……というか、ゲイルってスペックは高いんだよな」
「あー、まぁそうだよな。最前線級の盾職だもんな。それに料理も上手いという事実が解ったし」
「プレゼントイベでは、十位にランクインしてたもんね」
「で、性格は温厚で頼りになる……ホント、見た目で損してるよな」
「そうこう言ってる内に、終わったな」
「さらば、【ファ〇タ】……」
「ギルド名を炭酸飲料にしてやるなよ」
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『お疲れ、ダイス』
『流石の立ち回りだったな』
『サンキュ、ゲイルとフレイヤも凄かったよ』
『ははは、俺はただ盾を構えて耐えただけだ。凄いのはフレイヤの方さ』
『ゲ~イ~ル~?』
『ハッ、しまった……』
『全く、アンタはもう! そうやって、すぐ謙遜するのを控えなさいよ!』
『す、済まん……』
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「ん? 何だかあの二人、随分と気安い雰囲気じゃ……」
「これは……ッ!! 古き良きラブコメの波動を感じるッ!!」
「うわびっくりしたぁ!! いきなり叫ぶんじゃないよ!!」
「美女と野獣……」
「お前な、ゲイルさんに謝ってどうぞ」
「言い過ぎました、申し訳ありません」
「ゆ゛る゛さ゛ん゛!!」
「それ言いたかっただけだろ!!」
「しかし意外と、良い組み合わせなんじゃないか? 魔法職と盾職は相性が良いし、どっちも社会人。フレイヤがぐいぐい引っ張っていって、ゲイルが細かい気配りをする……」
「薄い本が厚く……!!」
「最後まで言わせねぇよ? あと描かせねぇよ? 最低でも本人の許可は取れ」
「ケイン達は拠点に戻ったんだっけ?」
「あぁ、そのお陰で【竜の牙】を撃退出来ていたよ。レオン達の判断勝ちだな」
「リンドだっけ? あいつも中々強かったよなぁ」
「後はバヴェルって眼鏡の兄ちゃんな。スパイ戦でも活躍してたけど、やっぱあの【ゴーストハンド】の使い方は上手いわ」
「おっと、こっちも面白そうだぞ! 【森羅万象】と【ラピュセル】がぶつかる!」
「マジでか! そりゃあ見逃せないな!」
「【ラピュセル】は確か、メンバーは女性限定のギルドだったか」
「だな。何でそうなったのかは知らんが、男性メンバー加入はお断りだとさ」
「んで? 【森羅】の方は、誰が向かっているんだ?」
「ラグナとシアちゃんだよ」
「ほほぅ……短槍使いと、聖女か」
「……あの性格で聖女は無理だろ」
「あの下ネタで聖女は無理だろ」
「あのおっぱいで……」
「最低」
「サイテー」
「先輩、最低です」
「お前はいつから俺の後輩になったんだ」
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『おっと? あの格好、それに女性だけのギルド……ふーん、【ラピュセル】の人だよね』
『……そこらの小規模とは、雰囲気違うな。シア、援護は頼んだぞ』
『オッケーオッケー、任せときなさい』
『【森羅万象】……大規模ギルドと出会うとは、運がありませんね。とはいえ、負けるつもりはありませんが』
『アナさん……数の上では、こちらが勝ります。そこに勝機があるかと』
『えぇ、そうね。応援者の皆さん、力を貸して貰いますね』
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「あの【アナスタシア】って人が、ギルマスだっけか?」
「名目上はそうらしいわ。ただ【ラピュセル】は、メンバー内で立場の上下は無いらしいわよ。一緒にいるのは、【テオドラ】っていう人ね」
「確か人数は、十二人だっけ? 小規模だし、リア友で立ち上げた身内勢かな」
「さぁ? 流石にそこまでは」
「それにしても、何だか儚い感じの人だな……シアちゃんより、聖女っぽくない?」
「いや、やめて差し上げて?」
「【ラピュセル】は『乙女』って意味らしいし、ジャンヌ・ダルクの逸話もあるし……確かに聖女っぽいかもね」
「おっ、始まるぞ!」
「あれ? 応援者が……」
「前衛……特にラグナに集中してるな?」
「ラグナが筆頭の【森羅】の前衛、五人……それを倍以上の数の応援NPCで抑える訳か」
「後衛はシアちゃん含む三人、二人は護衛役だろうが……そこに、プレイヤー二人で乗り込むとは……余程、自信があるのかね?」
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『行きますよ、テオ!』
『えぇ! 応援者の皆さんは、そのまま前衛を抑えて下さい!』
『あいよぉ!!』
『任せな、嬢ちゃん達!!』
『応援者で前衛を潰して、後衛をメタろうってハラか?』
『シアさんを舐めてるとしか思えんな』
『もう詠唱が終わる、そこからはずっとシアさんのターンだな』
『【セイクリッドスフィア】!!』
『出た、シアさんの必勝パターン!!』
『【セイクリッドスフィア】!!』
『なん……だと……!?』
『相殺された!?』
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「あれぇ!? アナスタシアが持ってるの、剣だろ!? 何で魔法が!?」
「長剣で魔法を使える? それじゃあ、おかしくないか?」
「あぁ、さっき話題になったケリィの【マジックブレード】と同じになるぞ」
「いや、違う。あれは長剣じゃない」
「はぁ?」
「刃の長さがギリギリ長剣じゃないんだ……あれ、ギリギリ短剣カテゴリーになる武器だよ」
「短剣……? あれで?」
「短剣には魔法発動媒体になる、≪儀式剣≫っていうモノがある。多分、あの剣もそうなんだろうな」
「≪儀式剣≫……確かに名前からだと、魔法が使えるって言われても納得できるけど……」
「じゃあ、あれはそういうモノなのか?」
「知らん、運営が用意した武器を全て網羅してるはずないだろ。出来ていたら今頃、あのイベントマップで無双してるわ」
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『【ラピッドスライサー】!!』
『はぁっ!!』
『アナさんの攻撃が、捌かれた!?』
『悪いけど、前衛とやり合うのはしょっちゅうなんだよね!!』
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「シアちゃんの杖捌き、あれ普通に長柄武器の取り回しじゃんな?」
「彼女も、接近戦が可能な魔法職なんだろうなぁ」
「レン様みたいにか」
「ちなみに≪儀式剣≫ってどういう性能?」
「一応武技は使用可能だけど、前衛向けステータスの強化率は大した事ないな。耐久値も低いし、剣として使うのには向かない。実質、剣の形をした杖だわ」
「普通に杖使った方が、魔法職にとっては良いらしいね」
「つまり……」
「ネタかロマン武器でしかない」
「道理で知らん訳だ」
「だとしたら、アナスタシアちゃんもシアちゃんには勝てんか。最前線級の魔法職は、甘くないって事だな」
「いや、待て!! アナスタシアさんの攻撃で、シアさんが苦い顔してるぞ!?」
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『くっ……結構、強……いっ!!』
『貴女こそ……!! ここまで攻めても、まだ……落とせないなんてっ!!』
『シ、シアさんの援護を……!!』
『させないわ!!』
『く……っ!! シア、今そっちに……!!』
『行かせるもんかよ、来訪者の兄ちゃん!!』
『ちぃっ!! 応援の現地人……他のギルドの奴等より、出来るじゃないか……っ!!』
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「【ラピュセル】は少人数のギルドだから、応援NPCに振り分けられるステータスが多いんだったか」
「思ったよりもちゃんと機能してるんだな……俺、その程度で大規模ギルドとの差は埋まらないと思っていたわ」
「使い方次第……じゃないかな。多分だけど【ラピュセル】の応援NPCは、相手の動きを封じる立ち回りを重視しているんだと思う。そうして敵を分断して、各個撃破しているんじゃないかな」
「というか≪儀式剣≫は、接近戦弱いんじゃなかったのか?」
「シアさんと良い勝負してるわね……」
「ふーむ……前衛を捌けるだけの実力を持つシアちゃんと、互角か……つまり、それなりの前衛レベルの実力があると」
「装飾品や防具で、前衛向けにステータスを上げているのかもしれないわね」
「でもさ、それなりって事は器用貧乏って事じゃないか? 前衛の立ち回りも、魔法職としての立ち回りもそれなりになるだろ」
「器用貧乏を舐めるなよ? 切れるカードの数が多いのは、十分なアドバンテージだ」
「ここで観戦しているヤツの台詞とは思えない自信だな……」
「でもAWOの場合、スキルオーブと装備の選択次第では化けるかもしれないぜ? そういう例が、実際に何人も居るじゃん」
「スキル面はやっぱり、【七色】のメンバーかな。後はアークさんとか、アーサーかな?」
「アークの場合は、装備面もあるだろうな。あの聖騎士っぽい装備には、武装スキルもあるだろ?」
「装備かぁ……まぁ、強い装備はやっぱり実力に直結するよな」
「まぁなぁ。ナイルちゃんの≪鎖≫もそうだし、あとは注目されている≪刀≫とか、【魔弾】や数名の≪銃≫かな」
「あー、≪銃≫って言えば……【魔弾】を全然見ないよな?」
「確かに。あれだけ目立つ連中なのになぁ……」
「スパイの時には姿を見たけど、それ以外はサッパリだな。拠点がどこにあるかも、解らん」
「観戦者には教えてくれよー、運営ェ……」
「観戦エリアでそれが解ったら、イベントエリアに情報を流すヤツが出るだろ。それを避ける為の措置なんじゃね?」
「連絡出来なくすれば良いのにね」
「そうすると今度は、外部サイトで情報のやり取りが出来るからな」
「なら、外部サイトにアクセス出来なくすれば良いじゃんか」
「それを俺に言われてもな……まぁ運営側としてはプレイヤーが、外部サイトにアクセス出来る利点があるんじゃねぇ?」
「……うん? 今のは……」
「お、どしたー?」
「今のプレイヤーって、まさか……えぇと、こっちに……」
「何を探して……って、噂をすれば!?」
「あん? ……おおっ! 【魔弾の射手】!!」
「メンバーは、レーナちゃんとルナちゃん。それにビィトか」
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『おっと、これ以上行くとバレそうか』
『それじゃあ、ここからですかね?』
『うんうん、そうだね。じゃあ私は、予定通り隠れとくねー』
『オーケー、頼んだ。じゃあ応援の皆、頼むぜ?』
『任せな、兄弟。お前らと一緒にいると、本当に飽きないぜ』
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「……え、あれ【魔弾】か?」
「レーナちゃんの顔を俺が見間違えるはずがない、確実だ」
「自信満々過ぎて、逆にキモいわー……」
「ぐふぅっ!!」
「女の子のマジレスにハートブレイクされた奴は置いといて……見た目からして、普通のギルドに見える……よな?」
「銃も、ローブやマントに隠しているね。あれじゃあ彼等が【魔弾】とは、パッと見では気付けないんじゃないかな」
「でも合理的ではあるわね。【魔弾】イコール銃使い、これはAWOで知らない者はいないってくらいの共通認識だもの」
「ビィトは……≪ハルバート≫か? 普通の前衛っぽく見えるな」
「レーナちゃんは軽装、だな。見た目は機弓使いにしか見えないぞ」
「ルナちゃんは、完全に普通の魔法職だ……あれはあれで、イイ……」
「応援NPCは普通に、ただの冒険者風装備だな。でも【魔弾】も九人だろ? 応援NPCのステ、結構ポイント振れるはずだよな」
「だな。これは、実に興味深い……」
「お、おい! こっちも【魔弾】が居たんだが……大変だ!!」
「どうした、ジェミーさんが美人女騎士にでもなっていたか?」
「いやいや、メイリアちゃんがフリフリドレス前衛の変装を……」
「願望垂れ流しじゃねぇかw」
「ちげーんだよ! 【魔弾】のミリアとメイリアが……」
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『一瞬で、見破られた……』
『流石にこんな変装なんかじゃ、君達は騙せないよね』
『お、お友達と、戦うのは……正直、嫌だけど……』
『そうも言ってられへん、やろ? ワイも同じ気持ちさかい、解るで』
『仲良いフレンドさんでも、今回はライバルッス。本気でやらせて貰うッスよ』
『【七色の橋】のアイネ、いざ参ります!』
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「……は?」
「…………はぁ?」
「「「「はぁぁぁっ!?」」」」
「【魔弾の射手】対……【七色の橋】だとぉぉっ!?」
次回投稿予定日:2022/9/10(本編)




