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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第十四章 第四回イベントに参加しました
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14-17 幕間・コンの御城探検

殺伐としたイベント章に子狐が!!

 僕の名前はコン、神獣っていう生き物だ。

 この前生まれた僕はパパとママ、そしてパパとママの仲間達に沢山可愛がって貰っている。


 いつもは林の中にあるお家に居るんだけど、今日は違うお家だ。もしかして、ここにお泊りするのかな?

 折角だから、探検してみよう。パパからの言い付けは『勝手に拠点の外に行かない』だからね。


 僕は広間から走り出して、建物から出る。拠点の外は、あの塀の外のこと。だから、建物の外は大丈夫だよね。


「ありゃ? コンじゃん、どしたッスか?」

 そう声を掛けて来たのは、パパの弟のハヤテさん。明るくて面白い人なんだけど、怒ると怖い。僕には優しいから、僕は怖がってないけど。


「ジンさんとヒメちゃんがお休みだから、暇だったのかな?」

 ハヤテさんの隣に居るのは、アイネさんっていうママのお友達。とても優しくて、可愛い人だよ。ハヤテさんと居る時とか、特に。


「コンちゃん、おやつ食べる?」

 アイネさんが、僕におやつを差し出してくれる。でも、それはアイネさんの分だ。ありがとう、でも大丈夫! 僕はさっき、夜ご飯をいっぱい食べたから!

「コンッ!」

「……要らないんスかね?」

「私の分だから、自分で食べなよって事……かな?」

 おぉ、流石アイネさん。僕の伝えたい事を、察したよ! やっぱり凄い人だ!


 おっと、そろそろ次の場所に行ってみないと! ハヤテさんとアイネさんは”つがい”だから、邪魔したら駄目だもんね! またね! 頑張ってね!

「コンッ! コンコンッ!」

 右の前足を上げて、僕は次の探検へと向かう。


「……またねって言われた気がした」

「私も……あと、頑張って……みたいな?」


************************************************************


 そういえば、あっちにはあの人達が居たはずだ。折角だし、会いに行ってみよう!

 お城の前に用意されている、あの人用の特等席らしい。椅子に座った男の人に、その横に立つ青い髪の女の人。そして、金髪の女の人だ。

「なぁ、やっぱこれやめない?」

「あら……PVに使うには、とても良いシーンになると思ったのですが……」

「拠点防衛なのに、座らされておかしいと思ったよ!? 無しだよ、これは!!」

「残念です……」

「お嬢様、悪ノリが過ぎますよ」

 何か楽しそうにしてるなー。


「あれ、コン?」

 金髪の男の人は、ママのお兄ちゃんのヒイロさんだ。この人がパパ達のボスなんだよ。とても優しくて、カッコいい人なんだ。ヒイロさんは、パパとも仲良しなのさ。


「どうしたのかしら、コンちゃん。お散歩?」

 そしてヒイロさんの”つがい”で、次に偉いレンさん。ママのお友達で、すっごい魔法を使えるんだ。ヒイロさんとラブラブしている時以外は、キリッとしてて皆に指示を出すすっごい人なんだよ。


「いつもと違う場所です、好奇心を刺激されたのでしょう。コンちゃんはお利口ですから、ジン様の言い付け通り拠点の中だけの移動に留めるかと」

 金髪の女の人、シオンさんはレンさんのメイドさん? っていうらしい。フリフリの服は可愛いよね。パパもママも、みーんなシオンさんを頼りにしているんだよ。


 それにしても、シオンさんはよく分かってるよね! 僕はちゃんと、パパとママの言う事を聞く良い子なんだよ!

「コンッ! コンッ!」

 僕が鳴いてそう伝えると、シオンさんが笑った。

「えぇ、存じております」

 おっ! シオンさん、くすぐったい! でも気持ちいー。シオンさんは、僕を撫でるのがとってもうまいんだ!


「シオンさん、コンちゃんの言っている事が解るんですか?」

 レンさんが不思議そうな顔をしている。でも僕、レンさんともお話したりしてなかったっけ?

「コーン?」

 僕がそう思って鳴いてみると、レンさんが僕をチラッと見た。

「……今、私ともお話した事がある……と伝えようとしたのかしら?」

 おっ? そうだよ! ほーら、レンさんだって僕とお話しできるんだよ!

「コンッ? コンッ! コンコンッ!」

「確かに……そうですね」


 しかしレンさんは、納得がいかないっていう顔だ。

「でも、先程シオンさんと話している時は……」

「……お嬢様、今のお嬢様とコンちゃんのやり取りですが、私にはよく分かりませんでした……」

 あれぇ~? なんで解る人と、解らない人が居るんだろう?


 すると、ヒイロさんが僕を抱き上げた。おぉっ! 高い! 凄いぞー!

「コンッ! コンッ!」

「……今、コンが何を考えたか二人は解った?」

「「いえ……」」

「俺はさっきまで解らなくて、今は解った。多分だけど……コンが『この人に気持ちを伝えたい』って思って鳴いたら、対象者に気持ちが伝わるんじゃないかな?」

 へー、そーなのかー。


 それじゃあ三人に気持ちを伝えたいって考えたら、三人共解ってくれるのかな?

 えーと、じゃあ……。


 パパとママ、一緒にお寝んねしてたよ!!

「コン、コンッ!!」

「「「えっ!?」」」

 あ、伝わった。


************************************************************


 成程ねー。僕が気持ちを伝えたいって思う人に、気持ちが伝わるんだね。

 それなら、皆といっぱいお話が出来そうだね! よーし、今度はあっちに行ってみよう!!


「おや」

 うおぉっ!?

「コンッ!?」

 背の高い、男の人が居た。何か黒いもので目を隠した、大人の男の人だ。

 この人は、知っている……僕に力を分けてくれた人だから、よーく知ってる。そして、解るんだ。僕は凄い狐だからね、この人がメチャクチャ凄い人だって解るんだよ。


「やぁコン君、驚かせてしまって済まないね」

 体勢を低くして、男の人が優しく声を掛けてくれる。優しい人なんだと解っている、解っているんだけど……この人、何か凄いんだよなぁ。色々と凄い、それはもう。野生の勘で解るんだ、僕はパパとママの子だから野生じゃないけど。


「ユージンさん、どうかしましたか……あら、コンちゃん!」

 あっ、パパのお姉ちゃんだ! 僕はお姉ちゃんに向かってジャンプする! はいじゃんぷ!! パパみたいでしょ!

 パパのお姉ちゃん……ミモリさんが、僕をぎゅっとキャッチしてくれたよ! 流石パパのお姉ちゃんだね!


「うふふ、どうしたのかしら? あぁ、モフモフ~♪」

 ふふっ、僕の毛並みでお姉ちゃんは癒されているみたいだね。良いよ、お姉ちゃん! 僕にいつも優しくしてくれるお姉ちゃんだから、いっぱい触ってくれてもOKだよ!

「コンッ! コン、コンッ!」

「あら、ありがとうコンちゃん~♪」


「ふむ、コン君も立派に成長したね」

 あっ、そういえば凄いおじさん居たんだった。

「ははは、次は忘れないでくれると嬉しいかな。コン君、明日の朝ご飯は何が良いかな?」

 朝ご飯? うーん、今日はハンバーグっていうのを貰ったんだよね。お肉のやつ。僕、お肉好き。

「ふむ、お肉が良いんだね。了解、明日は唐揚げでも用意してあげようかな」


「……あの、ユージンさん? コンちゃんの気持ちが解るんですか?」

「うん? あぁ、もちろんだ。ミモリ君も、さっき楽しそうに会話していたじゃないか」

「コンちゃんが鳴いてくれたから、何となく……でも、今って鳴いてなかったですよね?」

 あっ、そういや僕、鳴いてなかったじゃん。えっ、何で? えっ、何それ、こわい。


「企業秘密だが、特別に教えてあげよう……僕は、勘が良いんだ」

 答えになってないよ、おじさん。


************************************************************


 次の探検へと向かった僕は、どこに行くか悩んでいた。

 パパとママ、そしてセンヤさんとヒビキさんはお休み中。コヨミさんっていうお姉ちゃんも一緒にお休みに入っている。他に行く場所は……。

 そう考えていると、僕は聞き覚えのある音に気が付いた。あっ! この音は、アレの音だ!


 僕がそこに行くと、茶色の髪のお姉さんが金槌を振っていた。金槌は知っているよ! ママが教えてくれたんだ!

 茶色の髪のお姉さんは、カノンさんっていうんだ。色々なものを作れる、とっても凄い人なんだよ!

 カノンさんは今、何かをガンガンッて金槌で作ってる……直してるのかな? こういう時、僕は黙って見ているんだ。邪魔しちゃダメだよって、パパが教えてくれたからね!


 カノンさんは、いつもは気弱そうなお姉さんなんだ。けど、金槌使っている時は凄くかっこいいんだよ。今も、すっごくかっこいい!

 それにカノンさんが作ったものを、皆喜んで受け取るんだ。皆、凄く嬉しそうな顔をするんだよ。で、カノンさんもとっても嬉しそうに笑うんだ。きっと素敵な事なんだと思うんだ!


「お? コンちゃんやんか、見学か?」

 僕に気が付いたのは、細い目をした変なしゃべり方のお兄さんだ。クベラさんっていう、パパ達のお友達さ!

 この人は【七色の橋】っていう、パパ達が作った群れの人じゃない。でも、よく群れに来てくれるんだ!

 硬そうな物を、何かたくさん持って来た。カノンさんが直すやつなのかな……量、多くない?


「カノンさんは……集中してて、気付いてへんな。あぁなると、止まらんからなぁ」

 うん、知ってるよ。でも僕、邪魔しないよ! 大事な事をしているんだもんね!

「コン。コン! コンコンッ!」

 どうやらクベラさんにも、僕が言いたい事が伝わったみたいだ。

「邪魔しない様に、見てるって言いたいんやな。ええ子やなぁ、コンちゃん」

 そう言って、クベラさんが僕を撫でてくれる。へへ、この人もやっぱり良い人だ!


「ふぅ……あ、クベラ、さん……と、コン、ちゃん?」

 あ、カノンさんがお仕事を一つ終わらせたみたいだ! お疲れ様、カノンさん!

「コンッ!」

「……ふふ、お疲れ様、って言ってくれたの、かな? ありがとう、コンちゃん……」

 カノンさんはそう言って、僕に手を差し出してくる。おいでって事かな? おっけー!

「うん……癒される」

 お疲れなのかな? いいよ、僕で良かったらたくさん癒してあげるよ!


 でも、カノンさんはすぐに僕を解放した。そして、クベラさんが持って来た硬くて大きくて重そうなやつを手に取る。

「コンちゃんの、お陰で……元気出たし、次……!」


「カノンさん、休憩してもええんちゃうか?」

 クベラさんいいぞ、もっと言って! カノンさん、頑張りすぎだよ!

 でも、カノンさんは首を横に振った。その眼は、真剣だ。

「私、職人……ですから……皆が、全力で戦う為の、お手伝い……それが……私の、戦いです」

 かあぁっこいいぃ!! カノンさん、ちょーかっこいいよ!!

 そういえば、今日カノンさんとミモリお姉ちゃんが戦って負けたって聞いたぞ。よし、お姉ちゃんたちは僕が守ろう! パパみたいに、シュ! ってして、ブワッ! ってして、えいっ! ってしてやる!


 イメージトレーニングをする僕に、クベラさんが声を掛けてくれた。

「コンちゃんも、男の子なんやなぁ」

 僕が顔を上げると、クベラさんは笑っていた。でも、何だか……戦う時の、パパ達みたいに見える。


「ワイも負けてられへんな。ともあれ、素材を持ってこなあかん。ごめんな、コンちゃん。今度ゆっくり遊んだるさかい」

 大丈夫、クベラさん! お仕事頑張ってね! カノンさんも、頑張れ!

「コンッ! コンコンッ!」

「おおきに、コンちゃん」

「ありがとう、コンちゃん」

 あ、ちゃんと伝わっているね。良かった~。


************************************************************


 僕は御城の中を探検して、何となくだけど思うんだ。

 パパ達は皆、いっぱい戦ってる。それは、勝つためだ。でも、それだけじゃないんだろうな。

 皆、誰かを大事にしてる。皆の事を、大事にしてる。僕の事も、大事にしてくれている。

 大事なものを守るために、パパ達は戦ってるんだろうな。


……僕も守りたいな。パパとママ、皆を守りたいな。


 その時、僕は変な音に気付いた。今の音は、ヒイロさんが着ている硬いモノからよく鳴る音だ。あの硬いのと硬いのが当たる音。

「……狐? 紫のマフラーをした、狐……まさか?」

 姿が見えないけど、声がした。これ、パパのかくれんぼのやつだ!


 声がした場所に、何か居るのは解る。御城の塀の中で、パパ達の群れの人がそんな事をするはずがない。

 だとしたら、敵だ!!


「コンッ!! コンコンッ!!」

 僕は誰かに教えようと、大きな声で鳴く。

「チッ、テイムモンスターか!! うるせぇ!!」

 攻撃される……それが解った。でも、解るぞ!!

 僕はピョンッって飛んで、危険な場所から動いた。地面に何か、硬いものが当たった音がする。


 やっぱり敵だ!! よぉし……見てろ!!

「【狐火コン】ッ!!」

 怪しい場所に向けて、【狐火】を使う!!

「ぬおっ!? こ、この狐……!!」

 攻撃が当たった!! よし、敵が見えたぞ!!

「クソッ、ぶっ殺してや……「させません!!」……あぁっ!?」

 あ、何か……音がする。綺麗な音、この音は知っている。


 僕が音のする方を見たら、今日初めて会ったおじさん達……そして、綺麗な女の人が立っていた。口に何かを当てて、綺麗な音を出している。

「リ、リィ……ちゃ……? な……で……」

 敵がバタッと倒れた。リリィお姉ちゃん、すげー!!

 リリィお姉ちゃんが音を出し続けていると、今日初めて会ったおじさん達が敵に駆け寄った。そうすると、おじさん達が敵をやっつけてくれた。わーぉ、こうして外から見てたらひどい事しているみたいに見えるね。


 敵がやられたのを見て、リリィお姉ちゃんが僕の所に来た。あの綺麗な音はおしまい? 残念。

「コンちゃん、お疲れ様」

 そう言って、お姉ちゃんが僕を抱っこしてくれた。ふふ、このお姉ちゃんも優しくて好きだよ。

「敵を見つけてくれたのかな?」

 うん、そうなんだ! 僕、頑張ったよ!

「コンッ! コンコンッ!」

「ふふっ、良い子だね。ありがとうコンちゃん、助かっちゃったよ」


 リリィお姉ちゃんに抱っこされている僕の所に、おじさん達もやって来た。

「コン、だったか? 良くやってくれたな!」

「おう、かっこよかったぜ!」

「ちっこいのに、大したもんだぜ!」

 えへへ? そう? このおじさん達も、良い人だなぁ!


 よぉし、もっともっと頑張るぞ! パパ達と一緒に、いっぱい戦えるようになるんだ!

次回投稿予定日:2022/1/25


信じられるか……この子狐、AIなんだぜ……? 

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― 新着の感想 ―
[一言] バン《なん》……ザド《だと》……!?グ、グゴザ《う、嘘だ》……ドブサゾブギャゾザラゴグドギデス《僕ら読者を騙そうとしてる》……!
[一言] コンちゃん育ったら口にナイフ咥えてアサシネイトする様になりそうだね
[良い点] 「つがい」だから一緒に寝てもなんの不思議もないね!(なお兄(とその嫁)バレ
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