14-10 観戦エリア・2
ギルド【七色の橋】を落とすべく、集結するプレイヤー達。その様子は、観戦エリアに居るプレイヤー達も目の当たりにしていた。
最もその反応は、現地のプレイヤー達とは真逆だ。
「ハンッ!! 少数で彼等を落とせると思っているのか!!」
「和風の城をなめるなよ!!」
「何でお前らが得意気なんだよ……」
「でもまぁ、堀とかすげぇもんな。あれは攻めにくいぜ」
「あれを作ったユージンは、やはりおかしい。色んな意味で」
「ん? いや、おかしいぞ? 囲んでいるプレイヤー達が……」
「集まったプレイヤーが、一緒に行動し始めている?」
「どういう事なの……」
「まさか、アレか? 【七色】を落とす為に、手を組んだとか?」
「まぁ……気持ちは解らんでもないが……」
「質の暴力に、数の暴力で対抗する気か?」
「いや、それってどうなんだ? 連携取れるのか、あいつら?」
「知らんよ、奴等次第だろ」
……
「うわぁ」
「うぼぁ」
「えっぐ」
「死屍累々」
「ヤベーだろ、アレ」
「なぁ、あの拠点はちょっとしたダンジョンか何かかな?」
「開幕に大砲、上からの投石、本命のフィールドボス達によるお出迎え。ダンジョンだな、多分」
「おい!! 大変だ!! 上を見ろ!!」
「上から来るのか!?」
「エ●ック! 上田!」
「危なァーいッ! 上から襲ってくるッ!」
「■ミるなよ!!」
「なぁ、お前ら。ここ、戦闘出来ない観戦エリアな」
「城の上だ、城!!」
「あぁ、大砲か? それならさっき……はあぁぁぁぁっ!?」
『うわぁ! 大砲を撃ったの初めてですよ、私!』
『私もそうですね。まぁ、当たり前ですけど……』
「んぎゃあぁぁぁぁっ!? リリィちゃん!? リリィちゃんじゃないですか!!」
「しかも!! 和装!! 可愛い!!」
「白い和装……露出が少ないけど、それが逆に良い!!」
「天使!! 圧倒的、天使!!」
「リリィちゃんという大天使をこの世に生み出した神に感謝を捧げないと」
「一緒に居るの、コヨミちゃんぞ!? 配信者の!!」
「ヨミヨミまで、和装に!? ヨミヨミィィィッ!! こっこだよ!! いつも応援してるよぉぉぉぉ!!」
「お、おい、お姉さん、落ち着け?」
「知らんのか? ヤツはコヨミを配信デビュー当初から見守り、毎回配信を視聴しコメントや投げ銭をする十三人の騎士の一人だぞ? 俺もだが」
「お前もか、ブルータス!!」
『二人は、あまり身を乗り出さないようにせんとな。バレてまうで』
「あ、あの甚平のやつ!! あいつ、和装販売窓口のやつ!! 確か、クベラ!!」
「あ、本当だ!! 俺も見覚えある!!」
「クベラ……? それって適正価格で販売する事を信条にする、商人プレイヤーよ!!」
「えっ、何その良い人」
「うん。一度取引した事あるけど、凄く親身になってくれる良い人だったわ。ゴールド足りない時、普通に手に入る消耗品を買い取る形でアイテムを売ってくれたの。適正価格で」
「へぇぇ、そりゃあ確かに良い人だ」
「商人プレイヤーって、普通はゴールド以外で取引しないもんね」
「にしてもスーパーアイドルに新人配信者、優良商人に生産アロハおじさん……どういう組み合わせ?」
「単にフレンドちゃうのん?」
……
『【ツインピアス】ッ!! ネオンさん、大丈夫!?』
『はいっ! ありがとうございます!』
「うぉぉ!! 激アツ!! あの短槍使い、うめぇぞ!!」
「ネオンちゃんも良い動きしてる!! 良いぞ、やっちまえー!!」
『はあぁっ!!』
『おぉ!! ヒビキ、流石だねっ!!』
「ヒビキちゃんと青髪ちゃん、コンビネーションすげぇ!! 息ピッタリだぜ!!」
『ここは、通しません!! 【展鬼】!!』
「シオンさーん!! 俺だー!! 結婚してくれー!!」
「黙れ、それは俺の役目だ!!」
「おーい、場外乱闘はやめろよー」
『フハハハ!! 良いぞ、興が乗ってきた!!』
『む……剣鬼のヤツ、また……』
『良いではないか、守護騎士。どうせやる事は変わらぬ!』
「侍PAC、防御すげぇな!! あれはレアPACじゃないのか!?」
「いや、エクストラボスかも!! 俺、あのじーさんPACのクエストに挑んだ!!」
「結果は?」
「お察し下さい」
「アッハイ」
「あの美女PACの魔法、威力高ぇっ!! プレイヤーが空高く吹っ飛んでんぞ!!」
「あいつも、エクストラボスだ! 俺、挑戦したもん!」
「結果は?」
「うるせぇ! 解んだろ!」
『【一閃】!! 【クイックステップ】!!』
『回復ですよー! 【ヒール】!!』
『【エイムショット】でございます』
「くノ一リンちゃんの姿が見たいのに、速すぎてじっくり見れない……」
「主従って、似るんだね……」
「ヒナちゃんマジ聖女!!」
「攻防どっちもか、こりゃあたまげたなぁ!!」
「あの魔法、【森羅】のシアちゃんと同じスキルじゃん!!」
「執事のヤツ、さりげなくフォローしてるけど……的確だよな」
「あぁ、あれ見るとやっぱPAC欲しくなるわ」
「しっかし、シオンさんのあの装備が……大人の色気、最高……」
「ってか、女の子の和装がグレードアップしてて……目が幸せ」
「ユージンは……拠点の中かな?」
「そうじゃないか? あんだけハイペースで御城作ったんだ、疲れたんだろうよ」
『皆、プランGに移行するわ!』
「ミモリさんっ!! ミモリさんだぁぁっ!!」
「す、すげぇ……もう、何から何まですげぇ……!!」
「衣装がなんつーか、エロ可愛いというか……似合うな、凄く……」
『G……という事は!?』
『えぇ、ユージンさんが参戦するわよ!』
「え、ユージン? あの人、戦闘も出来るの?」
「むしろ今まで何してたのかな」
「お昼寝?」
『あっ……来ました!』
『よし! 待ってました!』
「……は?」
「な、何で……?」
「嘘だろ、おい……」
「ユアンじゃねぇか!!」
「本当だ……」
「これは、とんだ隠し玉だぜ……」
『ようこそ諸君、これは俺からの歓迎の印だよ。存分に堪能したまえ……』
「……えっ?」
「……嘘でしょ?」
「なに、あの……あれ」
「……殺戮兵器」
「……重火器」
「ロマン武器でFA」
『さぁ、おもてなしの時間だ!!』
「そうじゃなくて! 何でそんなモンをアイツは持ってんだよ!!」
「知るかぁ!! こっちが聞きたいわ!!」
「逃げ惑う奴等が憐れに思えてきた……」
「でも、撃ち過ぎじゃね?」
「だなぁ……いくら最上級職人のユージンが付いてるとはいえ、な」
「弾丸なんて、流通していないもんなぁ」
『わぁ……!! ユージンさん、凄いや!!』
『めっちゃノリノリだねぇ!』
「え?」
「えぇ??」
「えぇぇぇぇぇぇ???????」
「え、今なんつった? ユアンだろ??」
「……ユアンだよね?」
「ユアンが……今、何ジンだって?」
「ユージン、ユアン……まさか、この二人は……!!」
「「「同一人物!?」」」