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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第十一章 関係が深まりました
214/573

11-22 幕間・PK専門サイト

 ジン達が同盟チームを待ちながら、マキナとクベラの勧誘について相談しているその頃。

 第三エリア到達を目指すギルド……そしてソロプレイヤーやパーティの動きは活性化していた。


 二大勢力【聖光の騎士団】と【森羅万象】……そして、中規模ギルドの【遥かなる旅路】。それ以外のギルドにも、アレク達が潜入させたスパイによって情報が流された事によって。


 北側には小・中規模のギルドが、こぞって向かっていた。東・西・南に大規模・中規模ギルドが向かっているという状況を耳にし、ならば北側へ……という算段だ。無論、それぞれが選択したサーバーでの話。他の攻略チームと遭遇する事もあれば、しない事もある。


 そうして、いち早くエリアボスを討伐しようという競争が始まるのだが……その中に、一人のプレイヤーが紛れ込んでいた。


――さぁ来いよ、【七色の橋】……!!


 彼は[クレイドル大草原]で騒動を起こした、あの和装と刀を入手したプレイヤーだ。アバターネームは【バン】……本名は【三坂みさか 良武よしたけ】といい、高校三年生の少年である。アバターの見た目は弄っており、実年齢よりも上の青年の姿だが。


――あいつらのせいで、俺は犯罪者レッドプレイヤーに堕とされた……!! 落とし前を付けてやる……!!


 【七色の橋】はジンの言葉通り、バンを通報せずに警告だけに留めていた。しかし、騒ぎを目撃していたプレイヤーがスクリーンショットを運営に送り、通報したのだ。


 通報を受けた運営は、今回の件を悪質行為として認識。軽犯罪イエローに留めず、即座に重犯罪者レッドにしたのだった。

 運営内部でも、アカウント停止・アカウント削除を検討した。むしろ、それが妥当だと。だが、彼は初犯であり未成年という点がそれを妨げた。


 運営メンバーによる討論の結果、彼への処分は重犯罪者レッド措置。そして重大な悪質行為に対する厳重な警告という形で、対処する事となった。


 そして翌日、ログインしたバンを待っていたのは運営アカウントによる警告メッセージ。今後の問題行為に対しては、今回の件を含めて即座に警察へ通報する……という厳しい内容の文面だった。


 更に、その後に待ち受けていたのは、彼がログインするのを待っていた所属ギルドのメンバー達からの追放宣言だった。

 騒動の事……そして、一夜にして重犯罪者レッドになった彼を、所属ギルドのメンバー達は見限った。当たり前である、自分達のギルドまで同類だと見られては溜まったものではない。

 彼は犯罪者となった上、共に歩んできた仲間を失ったのだ。


 無論、完全なる自業自得。情状酌量の余地は、微塵も無い。

 逆に運営に、アカウント削除にしないでくれてありがとうございます、警察への通報をしないでくれてありがとうございますと、泣いて改心するべきなのだが……彼は、全て【七色の橋】のせいであると思い込んだ。


 そして彼は、報復を企てた……自分が落ちる所まで落ちたのは、彼の中では【七色の橋】のせいだからだ、と。

 無論、彼一人でそれを達成するのは不可能だ。故に彼は、ある人物から提案された策を実行に移した。

 しかし、トッププレイヤーをPKするというのは困難を極める。しかしバンは、自分の復讐が成就すると確信していた。


――覚悟していろよ、【七色の橋】……!! 目にモノを見せてやるからな……!!


************************************************************


 その一方……ある一人の男が、一つのスキルオーブを手に佇んでいた。

「やはりコレだったか。全く、ユートピア・クリエティブも気の利いたモノを用意してくれる」

 そのスキルオーブの色は、多くのプレイヤーが見た事が無い色。黒いスキルオーブ……そう、ユニークスキルである。

 彼はそのスキルオーブを、自分のスキルスロットにセットする。


 次いで、彼はシステム・ウィンドウを操作してとあるサイトを開く。それは、AWO運営が関与していない外部サイト。

PKプレイヤーキルを、プレイスタイルとするプレイヤー達のサイト。いつの世も、人の敵は人……だな」

 パスワードを入力して、彼は一つのスレッドを開く。そのスレッドのタイトルは、【異世界の橋崩し】。スレッドを立てた者の名前は、BANだ。


―――――――――――――――――――――――――――――――


 212 BAN

 北側第二エリアのボスを【七色の橋】と【桃園の誓い】、【魔弾の射手】が攻略するのは今夜だ

 橋崩しに参加する奴はエリアボスの部屋の前に集合



 213 PKの名無し

 いよいよか

 トッププレイヤー様をPKするのが楽しみだ



 214 PKの名無し

 ボス部屋の前はT字路だ

 ほとんど正面から来るから、俺達は両脇の道に身を潜めればいいな



 215 PKの名無し

 本当に今夜なのか?

 北側っていう確証は?



 216 PKの名無し

 >214

 あとは後ろからもだ

 完全包囲して前後左右からブッ叩け

 個の力が強くても数の暴力にゃ勝てんだろう



 217 BAN

 情報の確度は高い

 有力な情報源がいる



 218 PKの名無し

 あれか

 スパイでも潜入してんのか



 219 PKの名無し

 スパイ活動専門のSNSがあるんだろ?

 情報元はそこかな



 220 PKの名無し

 ともあれ絶好のチャンスだろ

 あいつらはイベントで目立ち過ぎだ

 少しは痛い目も見といた方が良い



 221 PKの名無し

 かわいこちゃんを殺すのは気が引けるなぁ

 まぁ殺りますけど



 222 PKの名無し

 忍者の動きを止めるのが先決だな

 【魔弾】の銃は固定ダメならあんま怖くないか



 223 PKの名無し

 いくら早くても閉鎖空間では機動力が殺される

 銃も数の暴力で押し切ればその利点は殺される

 そして奴等は、俺達に殺される……と



 224 PKの名無し

 油断はすんなよ

 あいつら、どいつもこいつもステータスだけは高いんだからな



 225 PKの名無し

 PK専門からすりゃあ対人戦に必要なのは殺意とPSよな

 仲良くお遊戯してる連中にゃあ負けんよ



 226 BAN

 いいか、一人も討ち漏らすな

 全員仲良く死んで貰う



 227 PKの名無し

 >226

 殺意高過ぎィw

 どんだけ恨んでんだよ



 228 PKの名無し

 まぁ俺等にとっちゃ良い娯楽だ

 ゲームのシステムでPKは規制されていない

 つまりPKも立派なプレイスタイルって訳だ



 229 PKの名無し

 PKが出来ないVRMMOは不人気ばっかりだからな

 ヌルヌルのクソゲー



 230 PKの名無し

 俺等は俺等らしくだな

 まぁ精々楽しませて貰いましょうや


―――――――――――――――――――――――――――――――


「やれやれ、品が無いにも程がある」

 彼は掲示板を表示していたウィンドウを閉じて、溜息を吐く。勿論、彼がこのPK専門サイトに登録しているのはPKを自分がする為ではない……むしろ、逆。こういった輩が現れた際、それに対応する為である。


 ちなみにこのサイトの管理者が謳っているのは、PK行為を正当化するものではない。

 PKは悪質なプレイ方針であり、迷惑行為。得られる物があれば、失う物も大きい。

 更にPKが過剰に勢力を増せば、ゲーム自体が過疎化してサービス終了の憂き目に遭う。そしてPKをすれば、大半のゲームで通常のプレイスタイルに戻る事は出来ない。

 PKはどう取り繕おうと、悪である。そう、最後に明記されている。


――とはいえ、この管理人もPKerだろうけどね。


 彼はそう確信しつつ、スレッドを閉じる。そのプレイスタイルを、単なる良し悪しで区別する事はしなかった。感じ方など人それぞれ、自分は悪人で良いから好きな様にプレイしたいと考える者も居る。彼としてもそういった考えに同意は出来ないが、理解は出来なくもない。


 しかし、今回の件に関しては……運が悪いとしか言いようが無い。

「さてと。そうは言っても、()()は僕の大切な友人だ」

 PK達は、彼の逆鱗に触れたのだ。

 黒いコートを翻して、彼は歩き始める。その行き先は当然、北側第二エリア……エリアボスが座す、[ランドル鉱山]。


「さぁて、お仕置きだ」

次回投稿予定日:2021/8/1(本編)



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― 新着の感想 ―
[一言] 最後の六色のユニークホルダーが動いたか…… ───絶望が、貴様らのゴールだ……
[気になる点] 逆恨みの馬鹿が現れましたね。 自業自得で警告されたのに反省しない馬鹿ですが、こいつが手に入れたジン達の情報はカイトから流れたんでしょうね。 [一言] 久しぶりに登場のあの人(笑) この…
[一言] バンは今回のコレでもれなくスリーアウトで、もれなく垢バン+もしもしポリスメン?案件ですかねぇ 最後のPK掲示板を見ていたのは一体誰だったのだろうかー(すっとぼけ)
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