11-11 文化祭の終幕でした
「……ガルルルル」
「ち、千夜ちゃん? 落ち着いて?」
合流を果たした【七色の橋】の面々だったが……現在は、警戒態勢モードである。
「私が席を外したばかりに、申し訳ございません。以降、この様なことが無いようにしっかり護衛致します」
「い、いえ……鳴子さんのせいじゃありませんからね? あの、皆? 大丈夫だよ?」
優を襲ったトラブルの事を聞き、【七色の橋】は優を守る様にフォーメーションを組んでいた。厳戒態勢である。
「はいはい、みんな落ち着いて。その三人組が現れても、心配無いよ」
「こうして集まって行動していれば、そうそう危険は無いはずですからね」
ギルマスコンビの説得により、仁達はひとまず警戒モードを解いた。
「ともあれ、無事なのは良かった。やっぱ、皆で動くのが良いな」
「えぇ、今後はそうしましょう……何かあってからでは、遅いですからね」
仲間達が心配してくれて申し訳なく思いつつ、少し照れくさい優。しかし自分を大切な存在として見てくれている事が伝わるので、嬉しくもあった。
そして優は、自分を助けてくれた少年について話す。話した時の印象と、自分のアバターネームを知っていた事……それを考えると、その少年がマキナではないかと考えたのだ。
「確かに、容姿だけで優ちゃんがネオンちゃんだって解るのは……交流がある人だけだもんね」
和美の言葉通り、ネオンはまだ名前しか公の場には出ていない。第二回イベントの際は観戦側であったし、第三回イベントで発表されたのは名前と作品だけなのだ。
そうなると、交流があるプレイヤーしかネオンの事を知らない。掲示板で話題になっていても、顔と名前は一致していないのだ。
「【桃園の誓い】を除くと、やはりマキナさんかクベラさんだよね」
そして仁達は、ケイン・ゼクス・ゲイル・クベラは社会人……ダイスとドラグは大学生と知っている。消去法でいくと、ネオンと交流があり中高生の可能性があるのはマキナだけなのだった。
「でも、名乗らずに行っちゃったから……」
「もしかしたらだけど、何か事情があるのかもしれないね」
ギルバートやライデンが、大人アバターを使っている事もある。だから仁達は、マキナが同様の事をしていても別段気にしていない。
しかし、マキナはそうは考えていないのだ。現実とゲームの差異を、気にしているのだが……彼等はまだその事に気付けない。
そして、彼は私服を着ていた。故にマキナが隼と同じ学校、同じ学年の生徒という事にも気付かないのだった。
……
文化祭が終わるまで、仁達は学食でのんびりする事にした。今日は学食自体は休みだが、休憩スポットとして開放されているのだ。
当然、仁達は非常に目立つ。
「今日はこの後、どうするんスか?」
「俺達は食材とかを処理して、残りの片付けは明日だから……そんなに時間は掛からないかな」
「五時には解散の予定だもんね」
ちなみに和美と紀子は、明日は講義の予定が無い。つまり、今日急いで帰る必要は無いのだ。その為二人はもう一泊して、明日の昼の飛行機で九州へ帰る予定となっている。
「折角ですし、皆で食事でもしますか? 皆さんのご都合が宜しければですが……」
そんな恋の提案に、仁と英雄が顔を見合わせる。
クラスメイト達が何か言って来ても、こちらの予定があると言えば回避可能だろう。例えば、打ち上げに行こう等の誘いがあってもだ。
クラスメイトと打ち上げに行くとなれば、やはり恋人について根掘り葉掘り聞かれるのは想像に難くない。面倒事になるのは、目に見えているのである。
「僕は賛成かな」
「俺も構わないよ」
即決する二人に、姫乃が首を傾げる。
「大丈夫ですか? クラスの打ち上げとか……」
そんな問い掛けに、二人は首を縦に振る。
「特にそういう話は出ていないし、大丈夫だよ。後から言われても、こっちが先約だと言えばいいし」
「むしろ、クラスの人と行ったら面倒事になりそうだからね。是非、回避したい」
正直に告げる二人に、隼と音也は苦笑して頷く。解る解る……という顔だ。
こうして仁達は、文化祭が終わったら【七色の橋】メンバーでの打ち上げをする事となるのだった。
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文化祭が終わり、後片付けが終わった仁と英雄。そんな二人はやはり、クラスメイト達に打ち上げに誘われた。
「星波、寺野! 打ち上げやるんだ、お前らも来るだろ?」
断らないよな? な? という態度でにじり寄るのは、クラスメイトの【狩沼 照文】君。このクラスで、一番チャラい少年だ。名前の由来は【狩文照沼】……名前でもう、お察しである。
しかしながら、二人の返答は決まっている。丁重に、お断りします。
「いや、悪いんだけど僕達はこの後、予定があるから」
「前々から決まっていた事なんだ、ごめんね」
予想通りの展開に、事前に備えていて良かった……二人は内心で、安堵の溜息を吐くのだった。
「えぇ!? 良いじゃんかよ!! そうだ!! それならお前らの連れも、こっちに参加して貰えば良いんじゃないか?」
この返答を予想していたのか、狩沼少年は良い案だとばかりに提案する。そんな狩沼少年の言葉に、周囲の女子達が過剰反応を見せた。
「そう! それ良い! ねぇ、そうしようよ!」
「名案よ、狩沼! 星波君、そうしない!?」
「さんせー! 寺野も良いだろ!?」
大半のクラスメイトが、そんな声に同調する。多数派の暴力で、押し切る気なのだろう。
勝手に、ハイ決定!! みたいなテンションになるクラスメイト達。狙いが透けて見えるその言葉に、二人はやはりこうなったか……と苦笑してしまう。
仁や英雄の恋人について、根掘り葉掘り聞きたい……そしてフリーの女性陣と、お近付きになりたい。大半のクラスメイト達がそんな考えに至るだろうと思っていた二人は、仲間達と相談して事前に対策をしておいたのだ。
「悪いね、もう店を予約しているからさ」
「英雄、間に合わなくなるよ? 僕の足で、だけど」
「う、うん……その自虐ネタは笑えないから、やめような?」
そこまで来ると、クラスメイト達も強くは言えなかった。
予約を当日キャンセルする場合、キャンセル料が発生する。更に時間が押していると言うのだから、これ以上の引き止めは二人に不快感を与えるだろう。
もし、二人との関係が悪化するとしたら? 恋人より自分を! と売り込みを画策する女子達も、フリーの女性陣にアピールを! と妄想する男子達も、この先の展望は潰える。
故に、二人をこれ以上引き留める事が出来なくなってしまった。
さて、仁と英雄を見送るしかないクラスメイト達。となれば、次の手段は決まっている。
「まぁ、偶然同じ店で打ち上げしてるとか? よくある話だよな!!」
偶然とは? しかしクラスメイト達は、そんは提案を支持する者が大半だった。
「良いぞ狩沼、今日のお前は冴えている!!」
「よし! まずは少人数で尾行するぞ!」
女子生徒達の大半は、まだメイド服。着替えにも時間が掛かるだろうし、まずは仁達の足取りを確認するのが先決。彼等はそう考えた。
ちなみにここまでが、仁達の予想通りである。
仁と英雄は、連れ立って校門から出る。そのまま最寄り駅に向かい……駅近くに建つ一軒の店に入っていった。その店とは……。
「な、なんだと……!?」
「さ、最近オープンしたとこだよな、ここ……!!」
「絶対に高い店だぞ、あの中華料理店……!!」
店の佇まいから、確実に本格中華のお店なのだと察するにあまりある。クラスメイト達は、そこに入っていった二人の同級生をただただ見送るしか出来なかった。
……
その頃、恋と鳴子に連れられて中華料理店に入った面々。仁と英雄を待ちながら、明らかに高級店といった中華料理店の内装に落ち着きをなくしていた。
「あの、ここって結構……高いお店なんじゃ……」
「どうしよう……足りるかな……」
今日の文化祭で財布の中身が随分とダイエットに成功した中高生達。食事のお値段が非常に気になるのも当然だろう。
そんな仲間達に、恋が苦笑しながら声を掛ける。
「安心して下さい、知人から貰った割引券がありますので」
「お一人につき千五百円くらいで済みますから、御心配には及びませんよ」
恋と鳴子の言葉に、全員がホッとしてしまう。それくらいならば、支払う余裕はあったのだ。無論、鳴子も事前にそれを確認済みである。
ホッとした所で、スタッフが扉をノックする。
「どうぞ」
「失礼致します。お連れ様がご来店になりました」
スタッフに通された二人の少年に、姫乃と恋が嬉しそうな表情を浮かべる。
「これでお揃いでしたら、お料理をお持ち致しますがいかがでしょうか」
「えぇ、お願いします」
こういった店に慣れている様子の恋が、スタッフに食事の開始を指示する。スタッフは恭しく一礼すると、退室していった。
「凄い所だね……これは、値段も高そうな……」
「割引券があるそうです!」
気後れする仁に、隣に座る姫乃が笑顔で教える。その合間に、姫乃は仁と英雄のお茶を用意して差し出した。
「ありがとう、ヒメ」
「はい♪」
その様子を見ていた紀子が、柔らかな笑みを浮かべてポツリと呟く。
「姫乃ちゃん……本当に、良いお嫁さん……だね」
「えっ? そ、そうですか……? えへへ」
そんな照れ笑いをする姫乃に、紀子は笑みを深めた。そして、改めて思う。
――うん。仁君と姫乃ちゃんの幸せそうな姿が、私は本当に好きなんだなぁ……。
そんな紀子の様子に、和美は優しく微笑む。この親友の、こういった部分は得難いものだ。損をしている気もするが……それが、紀子の在り方である。第三者がそれを否定するのは、筋違いも良い所だろう。
ならば自分にできるのは、彼女が大事な場面で自分の気持ちを押し殺し、苦しむ事が無い様に支える……それが親友として、為すべき事だろう。和美は、改めてそれを心に決める。
全員が揃った事で、料理が運ばれてくる。
「うおぉ……凄っ……!!」
「え、ちょ……これで本当に、千五百円?」
本格的な中華料理を前にして、一般庶民組(大半)は動揺を禁じえない。そんな仲間達に、恋がクスクスと笑って答える。
「はい、本当です。こちらは新しくオープンしたお店でして、ここの経営をしている会社から割引券を貰っているんです」
尚、割引券無しでは一人頭四千円くらいするらしい。半額以下になる割引券とは、一体……?
ちなみにその会社とは、六浦財閥である。先日の夜会で会った時に、割引券を譲り受けているのだ。
余談ではあるが、夏休みに行った海底水族館も六浦財閥が経営している。初音家とは、随分と懇意の間柄であるらしい。
……
中華料理を堪能しつつ、仁達は和やかに会話をしていた。
「英雄さん人気がエグかったッスね」
「確かに……どこに行っても、英雄君のファンが……その、発狂してた、ね……」
「これで英雄さんの隣に立つのが誰なのか、知らしめる事が出来ましたね。私的には満足です」
「……そ、そう? 恋ちゃんも、やっぱり……強い、ね?」
「へぇ……手裏剣と苦無の練習が、そんな影響を……」
「はい♪ 全部綺麗に入ったんですよ!」
「隼君といい、仁さんといい、スペック高いよね……」
「和美さんの投擲技術も神業だし……血なのかな?」
「私は全然よ? 運動神経全滅だし」
「あれで、全然……?」
「明日が大変かも。多分、クラスメイトに根掘り葉掘り聞かれそうで」
「有り得そうですね、あの感じだと」
「まぁ、事細かに説明する義理は無いからね」
「仁さんも英雄さんも、苦労しますね……余計な部分で」
雑談を交していくと、最終的に行き着くのはやはりAWOの話だった。
「第三エリアを本格的に目指すのは、明日からですね」
「そうだね、流石に今日この後は……皆も疲れているだろうし」
ギルマスコンビの言葉に、他の面々も頷く。
「まずは、どの第三エリアを目指しますか?」
「そうだなぁ……」
そんな話題になった所で、隼がある点について切り出した。
「あと、料理バフの検証……こっちも進めた方が良いと思うんスよね」
バフにもいくつかの種類があり、ステータスアップ以外にもデバフ耐性付与等の効果もある。
しかしながら掲示板等で話題に上がっているのは、一般的な素材によるものだ。【七色の橋】が入手した料理用の食材は、それなりに貴重な物が多い。
「それに第三エリアにも、エクストラがあるのは皆も予想してるッスよね?」
仁・姫乃・恋・鳴子が第一エリアで手に入れた、風火山雷のユニークスキル。その強化クエストが、第二エリアにあったのだ。ならば、第三エリアにも……と予想するのは、当然だろう。
「四人のユニークスキル強化は、最重要事項。それを考えると、早い段階でそれぞれの第三エリアに辿り着きたい……って事だな?」
英雄の答えに、隼もハッキリと頷いてみせる。
「そこで……応援要請はどうかなって思うんスよね」
応援要請……誰に、なんて聞くのは野暮だろう。姉妹ギルドとして設立された、彼等の事だ。
「そうですね、【桃園の誓い】ならきっと力を貸して頂けるでしょう」
恋が言った言葉は、【七色の橋】の共通見解。第三回イベントでも同盟を組んで参加した、姉妹ギルド。ギルドマスターのケインが林のユニークスキル保有者という事もあり、彼等に協力を仰ぐのは理に適っている。
そこで、仁が言葉を引き継いだ
「それとユージンさんに、【魔弾】やリリィさん、クベラさん、マキナさんはどうかな」
【七色の橋】にとって親交の深いユージンに、銃使いギルドとして認知されている【魔弾の射手】。そして、ソロプレイヤーのリリィとマキナ、商人プレイヤーのクベラ。彼等はジンとヒメノの結婚式にも参列し、親しい間柄と言って良いだろう。
ちなみに【遥かなる旅路】に関してはカイセンイクラドンやトロロゴハンとは懇意にしているが、他のメンバーとはそうでもない。その為、声を掛けるのは流石に躊躇われた。
第一あちらは、中規模ギルドだ。自分達で攻略を進めると予想される。故に、今回は声を掛けない方針になった。
「分散してエリアボスを捜索するなら、人手が多いにこしたことは無いし……その辺りのメンツなら、信頼出来るわね」
和美も仁の意見に賛成らしく、名前が挙がったギルドやプレイヤーへの信頼を口にする。そんな和美の言葉に、他の面々も同意の意向を示して意見を口にしていく。
「そうだな……もしも協力して貰えるなら、俺達としても助かるね」
「レイドで挑むとして、ウチでニ組ですね」
「それに、【桃園】と【魔弾】で……それぞれ一パーティ、かな……?」
「第二エリアの時は、確か三レイドだったんだよね」
「今回も同じなら、二手に分かれる感じですか?」
「ギルドに所属してないユージン様とリリィ様、マキナ様とクベラ様を纏めると四人ですね」
「うちから三、四人出せば八人パーティで行けるッスね!」
打ち上げというよりは、【七色の橋】によるミーティングの様になってしまった食事会。結論としては、まずは今夜……各ギルド・プレイヤーに、協力を要請する事になった。
方向性としては、東西南北のエリアボス捜索と料理バフの検証……これを、同時に進行する方針だ。
「協力して貰えたら良いんだけど……ね」
「まぁ、皆さんのご都合次第ですね」
一先ずは、今夜だ。【桃園の誓い】と【魔弾の射手】……そして、ソロプレイヤーのフレンド達への連絡。その返答を受けない事には、始まらない。
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ちなみに、その頃。
「なぁ、俺等は何で野郎だけでファミレス居るんだ……?」
「星波と寺野が参加しないからって、女子達は皆帰っちまったからだろ……」
「友達甲斐の無い奴らだよ、まったく……そんなにカノジョが大事か!! まぁ、大事だろうな……あんな可愛いカノジョだもんな……」
「あれ、そういえば鳴洲と倉守も居なくね?」
……
そして、日野市高校の最寄り駅。
「あ、あの!! 今日はありがとうございました!!」
「こっちこそ、来てくれてありがとう。帰り道、気を付けてね」
「はい!!」
駅までルーこと豊塚麻衣を見送るのは、明人である。彼はどさくさに紛れてクラスメイト達の包囲網を潜り抜け、麻衣と合流。人志も含めて、三人でささやかな打ち上げをするのだった。
ちなみに、何故この場に人志が居ないのか? それは空気を呼んだ人志が、ある程度腹が膨れたら「悪い、親に買い物頼まれてんの忘れてたわ!!」と言い出して先に帰宅したからだった。
ギルバートこと鳴洲人志の意識改革は、順調らしい。
「あの、もしよかったら、また……」
震えた声でそんな事を口にする麻衣に、明人は優しく微笑みかける。
「うん、また。連絡くれたら、予定入れられると思うから」
それは麻衣が言い掛けた「また会えますか」という言葉を予測しての、肯定の言葉だった。そんな明人の言葉に、麻衣は目を輝かせる。
再会を約束して、麻衣を見送る明人。彼はそこで、ようやく深い溜息を吐いた。
――はぁ……まさかルーが……自惚れていいやつかな? いいやつだよね、これ。
現実の麻衣も、普通に可愛い女の子。しかも同じ年らしい。
こういった経験に乏しい明人は、身近な適任者がいる事を思い出した。
――今度、仁や英雄に相談してみようかな。
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夜の七時頃に、仁達はそれぞれ帰宅する。各自、準備が整い次第ログインする予定だ。当然、中高生組は自分の家へ……そして、女子大生コンビは寺野家でもう一泊する事になる。
「という事で、今日もドライバーに間借りさせて貰うわね~」
「あ、ありがとうね……仁君……」
「いえいえ。じゃあ姉さんと紀子さん、またそっちの僕のベッド使って下さいな」
仁の部屋でログインするのだから、こうなるのは当たり前。しかしながら、紀子にとっては二日目とあっても仁のベッドに横になるのは緊張する。また、姫乃に対して申し訳ないという気持ちにもなってしまう。
――大丈夫……大丈夫……!! 私は……仁君と姫乃ちゃんを応援、する者……!!
実は、昨日もこの自己暗示をしております。そうとは知らない仁は、据え置き型のVRドライバーのシートに身体を横たえた。
「それじゃあ一応、お互いの安心感の為にも僕からログインするね」
VRドライバーでフルダイブしている間は、生身の身体は無防備な状態になる。さて、年頃の女性が年頃の男子高校生の前で、無防備な状態で横になるというこの事態。ハッキリ言って、危険である。
なので仁は、二人より先にログインする事で彼女達を安心させようと考えた。これは昨夜のログインの際にも、隼と二人で実行している。
仁や隼を信頼している二人だが、行動と態度で示して貰えるのはありがたいものだった。そして、彼等が本当に自分達を大切に思ってくれているのだと実感する。
和美が二人に感激のハグをしたのも、紀子が感極まって瞳を潤ませたのも無理はない。
そんなこんなで、仁がログインしたのを確認した二人。自分達のVRドライバーをセットして、仁のベッドに身体を横たえる。
――これは、必要な事……皆と、ゲームをする為……!! よし、覚悟、完了……!!
何とか落ち着いた紀子は、苦笑する和美と共にログインを開始。それは仁がログインして、五分後の事だった。
次回投稿予定日:2021/7/8(幕間)
文化祭、如何でしたでしょうか?
私としては楽しんで書けましたが、その結果……根津さんというとんでもない存在を生み出してしまいました。
彼女を生み出した時の私の心境は、章末の登場人物紹介で……。