10-24 祝賀会でした
第三回イベントの結果発表から二日後、AWOにログインしたジン達はギルドホームの大広間に集まっていた。
「それじゃあ、乾杯の音頭は……」
ヒイロが誰が言うべきかと、問い掛ける様に視線を巡らせる。そんなヒイロに対し、複数の人間が自分の考えを口にした。
「ここはヒイロ君が良いんじゃないかい?」
「そうだね、会場は【七色】のホームなんだし」
「異議なし~! 私もそれで良いと思うよ!」
そう言うのは、生産職人・ユージン。【桃園の誓い】のギルマス・ケイン、そして【魔弾の射手】のメンバーであるレーナだ。
他に集まった面々も、三人の意見に同意する様に笑顔で頷いていた。
「で、では僭越ながら……第三回イベント、皆で上位入賞を果たせました。今日はその祝賀会です、おおいに楽しみましょう! 乾杯!」
「「「「「かんぱーい!!」」」」」
今日の集まりは、そういう趣旨であった。
この【七色の橋】のギルドホームに集まったのは、【桃園の誓い】と【魔弾の射手】。最も、社会人で忙しいらしいビィトとクラウドは不参加だ。しかしながら、お祝いの伝言はしっかり伝えられた。
そしてフリーランスのプレイヤー達。ユージンは勿論の事、親交の深いリリィも今回は参加してくれた。ギルドに所属はしないが、フレンド付き合いはしてくれるらしい。
それに加えジン達は、今回のイベントでお世話になった人物にも声を掛けた。
「いやぁ……こんな凄いメンツの中に、ワイがいてええんかな?」
「俺も、ちょっと緊張してしまうね」
一人は、商人プレイを楽しんでいるクベラ。そして、ソロでプレイしているマキナである。
ちなみに【遥かなる旅路】のカイセンイクラドンとトロロゴハン、タイチやルシアも誘ったのだが……今回は辞退するとの事であった。まだ親交が浅い内からお邪魔するのは、気が引ける……との理由からである。
ともあれ、こうして盛大な祝賀会が開始されるのであった。
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プレイヤーは三十一人、PACは十一人。合計で四十二人……パーティ用に用意された料理も、この人数であるからとんでもない量になっている。料理は無論、今回のイベントに出品したモノも作られている。
ギルドも何も関係なく、和やかに会話するプレイヤー達。この光景を見たら、他のプレイヤー達は喜び狂うか羨ましがるか……それか、驚愕で口をあんぐりと開けて固まる事だろう。
「成程、≪虹色の貝殻≫を砕くというのはマキナ君の案だったか」
「はい! 助けてくださった上に、アドバイスまで頂いたんです♪」
「い、いや、まぁ……はは」
ユージンが感心し、ネオンが満面の笑顔で応じている。その横で、マキナは照れ臭そうに頭を搔いていた。彼もユージンの名は前々から知っており、そんな人物を目の当たりにして恐縮していた。
「本当にありがとうございました、マキナさん」
穏やかに微笑むネオンに、マキナもまた笑みを浮かべる。見た目は成人男性くらいなので、事案かな? と思わなくもないのだが……。
「マキナ君は飲まないのかな?」
ユージンがワインのグラスを差し出すと、マキナは苦笑してそれを止めた。
「こんなナリなんですが、未成年でして」
「そうだったのか、これは失礼」
どうやら、マキナはアバターの外見年齢を弄っていたらしい。中身は未成年……という事は、彼も学生なのだろう。
「あの首飾り……とても素敵でしたね」
「そうね、私も目を奪われてしまったわ。レンさん、手先も器用なのね」
「ありがとうございますメイリアさん、ミリアさん。メイリアさんの大盾も、素晴らしかったです。ねぇ、ヒイロさん」
「えぇ、デザインもそうですし……武器を収められるアイディアも、驚きましたよ」
こちらは、どことなく気品を感じさせる三人が談笑していた。レンに劣らぬ、ミリアとメイリア……この二人も、良い所のご令嬢と言われても納得出来そうな立ち振る舞いである。
そんな三人に囲まれて、緊張気味のヒイロなのだが……レンと共に歩んでいく上で、こういった場面は必ず訪れるのだろうと思っていた。
故に、今の内から慣れる必要があると考え、逆にこれはいい機会と前向きに捉えていた。
「ヒイロ様、なかなかに堂々とされておりますね。その調子でございます」
レンの側に控えるシオンが、小声でサポートしてくれるのも心強い。とても頼れる存在である。
「へぇ、君等も大学生なのか。じゃあ同年代なんだなぁ」
「同年代と聞くと、何だか嬉しくなるですねー! 意味もなく!」
「いや、意味はあると思うよ? ほら、共感できる材料が多いとか……」
こちらはダイスとドラグ、そしてシャインとルナ。共に大学生と聞いて、会話に花が咲いていた。
「年齢が離れると、会話の中にギャップを感じるよな」
「そうですねぇ……このメンバーなら、AWOっていう共通の話題があるから困らないんですけどね」
「ははっ、違いない!」
同じく大学生なレーナとディーゴ、そしてジェミーは、ミモリ・カノンと会話している。こちらも、大学生同士である。
「ビィトさんとクラウドさんに、これをお土産にしてあげてね〜」
「あらら、済みません……ミモリさん、お手伝いしますね」
「ありがとうございます。二人もきっと、喜びます」
タッパーの様な物に料理を詰めるミモリに、それを手伝うジェミー。そして、礼儀正しく頭を下げるディーゴ。見た目はとってもヤンキーなのだが、内面は穏やかで丁寧な青年である。
「あ、忘れないうちに……これ、俺が作ったモノなんですけど。良かったら、皆さんで」
「へ? わぁ、凄い! 美味しそうなケーキ!」
「ディー君、相変わらずマメだねぇ……」
そんなミモリ・ジェミー・ディーゴの向かいの席で、カノンがフルフルと震えていた。しかしながら、今回はそこまで重症ではなさそうで……。
「……や、優しそうな、人……です、ね?」
「ジェミー先輩? あ、ディーゴ君ですね! はい、凄く優しいですよー。見た目はちょっと、理由があってああいう恰好なんですけどね。高校時代からの友達なんです!」
人見知りなカノンも、ディーゴの放つ穏やかなオーラを感じたのかホッとした様子。そこへレーナが声を掛けて、緊張を解そうと奮闘していた。
一方、社会人組も会話と料理を楽しんでいた。
「へぇ、じゃあクベラさんも初日からプレイしてたのね?」
「そうなんですわー。やっぱスタートダッシュは、大切でっしゃろ?」
商人プレイヤーのクベラは、それぞれと満遍なく会話をして交友関係を構築していた。そして今は、同年代と見定めたケイン達に声を掛けたのだ。
すると、ケイン・ゼクス・イリスと同い年という事が判明。そんな共通点に、会話が更に加速したのだった。ちなみに、同席しているチナリは彼らの一つ年下である。
「同い年の知り合いが増えて嬉しいな」
「ははっ、そうだな。周りがほら、あの若者集団だからね」
最年長はユージンで間違い無いだろうが、それに次ぐ年長者がゲイル。それに続いてアラサーのフレイヤで、その後がケイン達だ。ちなみにシオンも、二十五歳で同じ年である。
そこから下は、大学生と高校生・中学生。若年層の方が多いのである。
そんな若年層に分類される、学生メンバー。こちらはリリィの参加で、話に花が咲いていた。
「この前、リリィさんの曲を聴いたんですが……凄く素敵な歌声で、何回もリピート再生しちゃったんですよ~!」
「そ、そうなんですか? 嬉しいですが、なんだか照れますね……」
センヤのストレートな賞賛に、リリィは本当に照れ臭そうにしていた。そんなリリィに料理を取り分けながら、ヒビキはしみじみと言葉を口にする。
「まさか、AWOでこんな有名人に会えるとは思ってなかったです。本当にビックリしました」
ゲーム内では、芸能人という立場について言及される事を、リリィはあまり好まない。しかしながら、【七色の橋】のメンバーは不思議と嫌な気持ちにはならなかった。というのも、彼等はリリィが芸能人であっても特別扱いをしないのだ。
何故ならばゲーム内とはいえ、彼等も今や多くの人に注目されている存在だから。あちらこちらから声を掛けられて、リリィの苦労に共感している部分もあるのだ。
「そういや、リリィさんは今回はイベントに参加したんスか?」
「いえ、今回は全く。丁度、仕事の方が多忙で……」
というのも、彼女には二つ年下の妹が居るのだ。その妹がここ最近、モデルとして活躍し出したらしい。
「あ、知ってるッス。【渡会 星依】さんッスよね?」
「ええ、そうです。バラエティ番組等の共演の依頼が増えていまして……」
前々からアイドルとして活躍していたリリィは、妹と共にバラエティ番組に呼ばれる事が増えて来たらしい。
行儀よく料理を食べるリリィだが、少し疲労の色が見て取れる。気配り屋なハヤテ・アイネは、そんな彼女が心配になる。
「学業と仕事の両立をして、その上ゲームでも活躍しているんですよね……リリィさん、ちゃんとお休みできていますか?」
「ふふっ、大丈夫ですよアイネさん。ゲームが休息にあたりますから。フルダイブ中は、横になれますし。最近はプレイヤーの方に囲まれる事もなくなって、穏やかにプレイしています」
その笑顔は、無理をした様には見えない。そのため、ハヤテ達もホッと一安心する。
ちなみに彼女が囲まれなくなったのは、ユージンによる変装セットが功を奏したからである。
リリィとハヤテ達が歓談する様子を見て、フレイヤはフッと優しい微笑みを浮かべる。
「最前線のレイドで会っていた頃は、あんな風に楽しそうな表情は見せなかったわね」
それはフレイヤもなのだが、自覚は無いらしい。以前のフレイヤは取っ付きにくそうな、クールな女性という雰囲気だったのだ。
それが今では……。
「フレイヤさん、何か食べますか~?」
「あら、ありがとうヒメノちゃん。うーん、今度はゲイルの作ったスープパスタにしてみない?」
「良いですね~♪ そうしましょう!」
美少女と一緒に、楽しそうに料理をハシゴしていた。だって、VRなら太らないし……。
「うーん、美味しい~♪」
「本当、すっごく美味しいわね。GJ、ゲイル!」
グッと親指を突き立てるフレイヤに、ゲイルは苦笑してサムズアップで返す。先日の「本人が本人に謝る珍事」以来、フレイヤの態度がより親し気なモノに変わったのを実感していた。
――全く……勘違いしそうだから、程々にして貰いたいモンだがなぁ……。
フラグが立っている事に気付かないあたり、この人も相当に朴念仁である。
逆に他人の心の機微に聡い忍者な彼が、そんなフレイヤの様子に気付いていた。
「フレイヤさん、また一段とフレンドリーになりましたね。前は、格好良い大人の女性! って感じでしたけど、今の……年上の、近所のお姉さんみたいな感じも素敵ですよね」
ジンのそんな言葉に、ゲイルは視線を向けた。その表情は、苦笑いである。
「ジン君、恋人がすぐ側にいる中でそんな事を言って良いのかい?」
ゲイルの忠告に、ジンはハッとしてヒメノを見る。そこには、むーっと頬を膨らませる恋人の姿。
「ジンさんはフレイヤさんの方が好みなんですか、そうですか」
「そういう意味じゃないからね!? 僕は好きなのはヒメだけだから!!」
慌てて弁明すると、ヒメノはぷいっと顔を背ける。しかし、残念ながら……口元が緩んでいるのが、ジンにも解った。
「あんまりからかわないでね、ヒメ。心臓に悪い」
「バレてましたか」
えへへと笑いながら、視線をジンに戻す。その表情から、本気ではなかったのが解る。
――甘い、甘すぎるぞ空気が!!
無性に辛い物を食べたくなったゲイルとフレイヤは、同時にチゲ鍋(ユージン作)に手を伸ばし……おたまを手に取ろうとした所で、互いの手が重なった。
「「っ!?」」
こちらもどうやら、無事に進展しそうで何よりである。
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飲み食いしながら会話に花を咲かせていると、時間が過ぎるのはあっという間に感じられてしまう。既に祝賀会が始まって、二時間が経過していた。
楽しい時間を過ごして満足そうなヒメノに、ジンが声を掛ける。
「ヒメ、ちょっと良いかな?」
「あ、はい! どうかしましたか、ジンさん?」
「ちょっと話したい事があるんだけど、少し付き合って貰える?」
真剣なジンの表情に、ヒメノは笑顔で頷いて応える。
連立って大広間を出る二人の背中を見て、レンとシオンが口元を緩めた。
「ついにこの時が来ましたね」
「はい、いつ動くのかとソワソワしておりました」
そんな二人の会話に、他のメンバーは何の話だろう? と首を傾げるしかなかった。
ただ一人、ユージンだけは二人に同意を示す。
「ヒメノ君は喜ぶだろうね」
そんなユージンの反応に、レンとシオンは我が意を得たとばかりに頷いてみせた。
「ユージン様もお気付きでしたか」
「イベント期間中に、ジン君から例の物について相談を受けていたからね」
ユージンの言う”例の物”……という言葉に、レンは笑みを零した。
「ふふ……それは確かに、ヒメちゃん喜びそうです」
親友の幸せそうな笑顔を思い浮かべ、レンは笑みを深める。
まだ親しくなって一年も経っていないが、濃密な時間を共にしてきた親友だ。だからこそ、彼女には幸せになって欲しい。
レンはそう思いながら、目の前に置かれたケーキを味わいつつ……ヒメノからの報告を待つ事にした。
……
ジンのマイルームに連立って入ると、ジンはヒメノにベッドに座る様に勧めた。和室なので、椅子などは無いのだ。
「ジンさん、お話って……?」
ヒメノの問い掛けに、ジンは緊張を抑え込む。その手の中には、一つの箱が握られている。たった今、システム・ウィンドウを操作して取り出した物だ。
「そ、その……お、お付き合いの解消……じゃない、ですよね?」
「激しく違うよ!! ってか、何でそう思ったの!?」
予想外のヒメノの言葉に、ジンは慌てて否定する。違うんです、逆なんです。
否定の言葉を口にしたジンに、ヒメノは俯き加減で心の内を話し始める。
「いえ、流石にそれは無いと思っていたんですけど……大事な話と言われると、ちょっと不安で……」
その言葉に、ジンは内心で首を傾げる。
一緒に登下校し、夕方まで一緒に勉強。休日は互いに予定が無ければ、デートなり互いの家に行ったりしている。
ゲーム内でも、メンバーが揃うまでは二人でマイルームで雑談。イベントの為の素材集めや生産活動以外は、常に一緒に居る。
顔を合わせない日は無いし、一緒に居られる時はこれでもかというくらい一緒に居る。これで別れ話を切り出す男が居るのだろうか? と、疑問を感じずにはいられない。
――……でも、ヒメが不安を感じていた事に変わりはない、か。
乙女心は複雑なのだろうと無理矢理ながらも納得し、ジンはまだ俯いているヒメノに歩み寄る。緊張はもう、遥か彼方へと旅立ってしまった。今はただ、この可愛らしい恋人を笑顔にする事を優先しよう。
「うん、じゃあその不安を取り除こう」
ジンはヒメノの左手を取ると、薬指に用意していた物を嵌める。
「……え、これって……」
左手の薬指で、光を反射して輝くのは指輪だ。
その指輪は、二つの円環が重なってエックス字を描いている。その交差する部分には、桜の花を象ったダイヤモンドが嵌め込まれていた。ダイヤモンドは無色透明ではなく、ピンク色に加工されている。
その意匠は、どことなく魔王に贈られた≪紅葉の腕輪≫と似ていた。
「今回、装飾部門に挑戦したのは、これを用意する為だったんだ。ヒメに贈る物なら、自分で作りたかったから」
左手の薬指に嵌める指輪となれば、ヒメノだってその意味合いに気付く。右手で口元を覆い、頬が赤く色付いていく。
そんな愛しい恋人に向けて、ジンはハッキリとその言葉を口にする。
「ヒメ、僕と結婚して欲しい」
ジンからの、プロポーズの言葉。それを聞いたヒメノは、勢い良くジンに抱き着く……が、勢いが付き過ぎていた。ジンのステータスではその勢いに耐え切れず、盛大な音を立てて寝転がる形となってしまう。
と言うか、全力で飛び付いて来るヒメノを受け止められるプレイヤーなどごく少数だろう。AGI極振りなのだから、避ければいい? 避けるはずが無い。
「うぉっ……!?」
背中から床に転がるジン、押し倒す形になってしまったヒメノ。
「ご、ごめんなさい……嬉しくて、つい……」
「うん、大丈夫だよ……」
喜び勢い余ってしまったのは、ジンにだってよく解る。なので、怒りも呆れもしないが……照れ臭くはある。
立ち上がって、見つめ合う二人。ヒメノは左手の薬指に嵌められた指輪を見て、幸せそうに微笑んでいる。
「ふつつかものですが……末永く、よろしくお願いします」
「こちらこそ。ずっと、ずっとよろしくね……ヒメ」
自然に顔を寄せ合い、そして二人の唇が重なる。仮想現実世界での事とはいえ、繋がる絆は本物である。
不安は既に払拭されており、幸せそうに微笑むヒメノ。それを愛おしく思い、強く抱き締めるジン。
こうして、一組のカップルは夫婦としての一歩を踏み出した。
……
「で、明日にでも教会に行こうかと」
「成程、ジンが装飾部門に行った理由はコレか……」
「ジン兄はほんと、いろんな話題を巻き起こすッスねぇ……今度は結婚ッスか」
大広間に戻ったジンとヒメノは、全員にゲーム内結婚する事を報告。ヒメノは女性陣に囲まれて、祝福の言葉を一身に浴びている。
そしてジンは、男性陣に今後の予定について話しているのだった。
「しかし成程、これは見事だなぁ。ジン君、こういった才能もあるんだね」
既にジンも、左手の薬指に指輪を嵌めている。銀色の指輪には、アメシストで作られた菫が彩りを加えていた。
「いえ……これはユージンさんのアイディアなんです」
ジンは苦笑し、自分一人では完成しなかったと口にする。実際にユージンが居なければこの指輪も、魔王に贈ったプレゼントもここまでの出来にはならなかった。少なくとも、ジンはそう認識している。
そんな謙遜するジンに対し、ユージンは彼の努力について言及する。
「僕は、ちょっと手伝いをしただけさ。花と石については口を出したけれど、デザインや作りは全て自分で考えたじゃないか」
確かに誕生花や誕生石を使うというアイディアは、ユージンから得られたものだ。しかしジンは、デザイン等は全て自分で考えて作り上げたのである。それは魔王に贈った≪紅葉の腕輪≫も同様だ。
「へぇ……この花の部分なんて、凄く繊細ですよね。それを嵌め込んでいる金属の部分も、凄く……あれ?」
ジンの指輪を見つめていると、ヒビキはある点に気付いた。
「この、輪の部分に……すっごく小さく、文字が……」
ヒビキの言葉に、ジンは苦笑しながら頷く。
「花言葉と、石言葉。ローマ字で彫り込んだんだ……何か恥ずかしいから、すっごく小さく」
「へぇ~。お前の方はどんな意味なんだ、ジン?」
からかう様な表情を浮かべるゼクスに、ジンは苦笑して首を横に振る。
「恥ずかしいので、自分の口からはなんとも」
「よし、ググろう」
「待って!?」
次回投稿予定日:2021/6/8(掲示板)
糖分此処に極まれり。
リリィに結婚行進曲を演奏して貰おう(真顔)