表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第十章 あなたへのプレゼントでした
187/573

10-22 幕間・ある人物達のやり取り

 第三回イベント……生産系イベントの結果発表がされた直後の、深夜。

 AWOからログアウトした、とある人物達はSNS……RAINレインを用いて情報交換を行っていた。


『……という訳だ。確証はまだ無いがな』

 彼……【益井(ますい) 舵定(かじさだ)】は、この数日にわたるプレイの中で得た情報をこの場で報告していた。AWOとは関係ない、身内だけのSNSならばいつでも連絡が取れる。更に言えば、ゲーム内で不審がられずに済むのだ。

『へぇ……本当か、()()()?』

 そう、彼のアバター名はドラグ。【桃園の誓い】に潜入した、スパイである。


 勿論その内容は、レンの身内に運営メンバーが居る事。そして彼女達がユニークアイテムやユニークスキルを所有しているのは、その運営メンバーから情報を得たお陰……という可能性がある事、だ。

 無論、大きな間違いである。


『やるねぇ。そんなオイシイ情報を得られたとは、僥倖だ』

 即座にレスポンスを返したのは、【稗田(ひえだ) 蓮織(はお)】という男である。彼こそ、【聖光の騎士団】に所属するアレクであった。

『確かにレンを通じて運営から情報を得ていたならば、これまでの大立ち回りも納得がいくが……しかし、やはり確証が欲しい所だな』


 蓮織のレスポンスに対し、新たな人物からのメッセージが送られる。

『やはり情報収集は、内部に潜り込むのが一番だな。これだけでも、公にすれば十分な効果を発揮するんじゃないか?』

 それは隼と同じ学校に通う、浦田(うらた) 霧人(きりひと)のメッセージだ。希望的観測を述べる内容に、蓮織や舵定は苦笑いしてしまう。

『まぁ焦るなって。失敗は許されないからね。確実性を上げて、ここぞという時に情報を公開する。これが一番効果的なのさ』

 楽観的なその言葉に、蓮織はやんわりと諫める内容のメッセージを返した。


 そんな蓮織に同調する者も、当然ながら居る。

『えぇ、これは有益な情報です。しかしハオの言う通り、使い所は選ばねばなりません』

 それを送ったのは、【佐田(さだ) 貴志(たかし)】という男である。

『決定的な証拠を突き付けるのが、やはり一番でしょう。相手には、言い逃れをする隙を与えない様にしなければなりません』


『だな。しかしまぁ、噂程度には流しても良いかもしれん……だがまぁ、腑に落ちるよなぁ。【聖光】が負けたのも、納得だ』

『それに【森羅万象】も……ね』

 蓮織の言葉に同調したのは、【稗田(ひえだ) 実子(みのりこ)】。彼の双子の妹であり、そのアバター名はエレナ。【森羅万象】の幹部であり、その実はスパイという女性であった。


『それにしても、卑劣な手を使うわね。あれだけ正々堂々を謳っておきながら、その裏では運営から情報を流して貰っていただなんて』

 そんなメッセージを送るのは、【芝和田しばわだ しずく】。中規模ギルド【遥かなる旅路】に潜り込んだ、【ルシア】という女性プレイヤーである。

 その言葉は、スパイ行為をする様な人間が口にして良い言葉では無い。ルシアはそれを承知の上で、忌々し気な言葉を書いてみせた。


 そんなルシアに、エレナこと実子がメッセージを送る。

『まぁ私達だって、スパイ活動をしているから大きな事は言えないわ。勿論、狡いとは思うけれどね』

 滴の言葉を頭から否定するのではなく、同調しつつなだすかす。

『それもそうね。ごめんなさい、感情的になってしまったわ』

『いいえ、構わないわ。気持ちは解るもの』


『それと彼等の持つユニークスキルについて、概要だけでも判明したのは幸運ですね。【桃園の誓い】のケイン以外に、【七色の橋】の四人……』

 彼等には、既に【鞍馬天狗】の情報が流されている。そして、同種のユニークスキルを持つジン・ヒメノ・レン・シオンの事もだ。

『そして、【七色の橋】のハヤテ。彼のユニークスキルは、少々厄介かもしれませんよ』

 そんなメッセージを送るのは、貴志。彼はハヤテの持つ、ユニークスキルの正体を知っている。彼のアバター名はジェイク……ハヤテとカゲツの戦いを観戦していた、攻略掲示板の構成員である。


『【一撃入魂】……銃弾の固定ダメージを、MPを消費して強化する事が可能なユニークスキルか』

『確かに、えげつない組み合わせだな。戦う時は、最優先で狙うべきだ』

 蓮織と舵定のメッセージに、霧人が同調する。

『そうだな、アイツは真っ先に潰した方が良いと思う』

 それは同年代ながら、スタープレイヤーとして称賛されているハヤテに対する嫉妬心が含まれていた。しかし、それを咎める者は居ない。


『その時は、カイトにお願いするのかな?』

 そのメッセージを送ったのは、これまで会話に参加していなかったメンバー。その人物のメッセージに、他のメンバーが一斉に反応する。

『お疲れ。今、終わったのかな?』

『忙しいみたいだな、お疲れさん』

『大丈夫? 無理はしてない?』

『この前、貴女用の装備を確保出来ましたよ。計画の際に、お渡ししますね』

『こらこら、一斉に送らないの。レスは良いわよ、忙しいんでしょ?』

 そんなメンバーのメッセージに向けた返答は、可愛らしいスタンプとメッセージだった。

『あはは、ありがとね!』


 唯一メッセージを送っていなかった蓮織アレクが、彼女に向けてメッセージを打つ。

『もうすぐ準備が整うよ、【アンジェリカ】』

次回投稿予定日:2021/6/3(掲示板)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 情報戦ヘタクソなカイトに教えちゃうのか・・・w
[一言] ? どう勘違いしたらそんな結論になるんだ? これドヤ顔して告発()したら最初ザワつかれるけど冷静に考えたら「うん?」ってなってツッコミから逆ギレ炎上不可避やん でもそれで物語的に盛り上がるか…
[一言] 他の方の感想にもあるようにそろそろアレク一味には表舞台(裏の世界)から退場してほしいかなぁと思ったり思わなかったり 次の掲示板回でプチ誤爆してほしい
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ