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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第九章 第二回イベントに参加しました(後)
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09-27 イベントの後でした

 夏休みも残りわずかとなった、八月二十五日。この日、仁と英雄は始業式の為に学校へと登校していた。

 いつも通り早い時間に教室入りした二人は、自分達の席で雑談に興じる。

 話題は、第二回イベントが終了した後の事だ。


「最近、ゲーム内でゆっくりする時間が取れないね」

「ギルド加入希望者に、フレンド登録希望者がやたら増えているからね……」

 先日の第二回イベントで優勝した【七色の橋】。第一回イベントの戦績も考慮すれば、既にトップギルドと見て差し支えないだろう。本人達は、小規模なエンジョイ勢のギルドと思っているが。


 そんなトップギルドと、繋ぎを作りたい、加入したいと思うプレイヤーがいても不思議ではない。そんな訳で、【七色の橋】のギルドホームへの訪問者が、最近は後を絶たないのである。

 それは運営による第二回イベントの動画が公開され、更に加速した。


 その影響で、ジン達はギルドホームの入口となる外壁の門扉を閉じているのが現状だ。フレンド達にはポータル・オブジェクトを使用し、転移機能を利用して訪問するようにお願いしていた。無論、使用したゴールドコインはこちらで支払う事にしている。


「【桃園】もそんな感じらしいね」

「あ、やっぱり? 【魔弾】もらしいよ、レーナさんからメッセージ来ていたんだ」

 先日開催された、第二回イベント。【聖光の騎士団】や【森羅万象】といった、大規模ギルドに勝るとも劣らない活躍をみせた三つのチーム……【七色の橋】を除けば、残る二つは【桃園の誓い】と【魔弾の射手】だ。加入希望者が殺到するのも、無理はないだろう。


 最も、向けられるのは善意や好意だけではない。言葉にし難い悪意もまた、向けられたのだ。

 最も多いのは、メール機能による暴言である。メール機能は、同じマップ内に居ればフレンド以外も送信が可能なのだ。

 というのも、イベントの翌日……ジン達が町中を歩いている際に、メール機能を使用して誹謗中傷が記載されたメールが送られたのである。

 その内容が、これまた酷い物だった。


『新参者が出しゃばるんじゃねぇ、クソが』

『何が忍者だ、調子に乗るな。●ね』

『レン様と別れろ、クズ。お前ごときが近づいて良い人じゃねぇんだよ』

『銃を使うなんて卑怯じゃありませんか? 恥ずかしくないんですか? 今からでも優勝を辞退して下さい』

『あなた達のせいで、俺達はトーナメントに出られませんでした。心当たりがあるでしょう。慰謝料代わりに、あなた達の装備やスキルをプレゼント機能で送って下さい』


 理解に苦しむ内容だが、これは実際に送られたものである。ここに挙げたのは比較的マシな方で、これよりもっと酷い物も少なくない。

 当然メールをしたプレイヤーは、全て通報済みである。今頃、メールを送った輩はペナルティを受けて凹んでいる事だろう。

 不幸中の幸いだったのは、女性陣へのメールが口説く様なもので済んでいた事か。正直なところ気持ち悪い思いはしたものの、まだ穏当なものしか無かった。


「【魔弾の射手】に宛てたメールは、それはひどかったらしいね……」

「まぁ、全員が銃で武装していたからなぁ……しかし、ユージンさんがアドバイスをくれて良かった。お陰様で、メール攻撃は落ち着いたからね」

「そうだね。これまでは必要無かったけど、今後は必須になるだろうねぇ」

 ユージンのアドバイスとは、メール機能の設定によってメールを受信するプレイヤーを選べるというものである。ジン達は全員、メール受信対象を”フレンドのみ”に設定したのだ。ちなみに余談だが、運営からのメッセージは受信拒否が出来ない。


「有名になるって、大変なんだなぁ……」

「そうだねぇ……陸上の時とも、少し違った感じで僕も戸惑ってるよ……」

 ここ数日の間に起きた、VRMMOライフの変化。それでも続ける意志は変わらず、仁と英雄は顔を見合わせて苦笑し合う。


 そんな彼等の会話に割って入る、二人の少年が居た。

「おはよう……星波君、寺野君」

 仁と英雄に挨拶するのは、倉守明人。その横には、鳴洲人志が佇んでいた。人志は口を横一文字に結び、俯いている。

「あぁ、おはよう倉守君、鳴洲君」

「おはよう……鳴洲君? どうかした?」

 仁の呼び掛けに、人志はビクッと肩を跳ね上げる。そして、恐る恐る顔を上げ……人志は膝を付いて頭を下げた。土下座である。

「寺野、済まなかった!!」


 突然の、同級生からの土下座。思わぬ事態に、仁は目を丸くする。

「え、えぇと、どうしたの?」

 戸惑う仁に対して、明人が神妙な面持ちで口を開く。

「いきなりごめん、寺野君。実はこの人志が、ギルバートなんだ」

 ギルバート……という名を聞いて、仁と英雄は目を丸くする。というのも人志の容姿と、ギルバートの容姿が似ても似つかないのだ。


 エメラルドグリーンの長髪に、整った目鼻立ち。細身ながら筋肉の付いた、長身の美丈夫……そんなギルバートの中の人が、クラスメートだった。これには二人も、驚きを禁じえない。


「解ってる! 美容整形真っ青の、超絶美化されたアバターなのは自覚があるんだ! 最初にやったVRで、思いの外有名になったもんだから、あのまま……」

「うん? あ、うん。そこは気にしてないよ、よくある事らしいし」

「まさか同じクラスだったとは……それなら、僕の足の事を知っててもおかしくないね」

 足の事……と仁が口にして、人志は口を噤んだ。


 肩を震わせながら、再び頭を床に擦り付けるように下げてみせる。

「本当に、あの時は済まなかった!! ごめん!!」

 必死になって謝罪の言葉を口にする人志の姿を見て、本心から暴言を悔いて謝罪しているのだと仁は察した。となれば、仁が口にするのは赦しの言葉だ。

「あの時、試合の後に和解したつもりだったけどね……それじゃあこれで正真正銘、和解だね?」

 そう言って、仁は人志に笑みを向ける。顔を上げてその笑顔を目の当たりにした人志は、瞳を潤ませてもう一度頭を下げた。


「……これでひとまず、決着かな」

 そう言ったのは、英雄だ。彼としても、仁が人志を赦したのならば、これ以上は掘り返さないつもりである。

 そんな英雄に、明人が声を掛けた。

「ありがとう、星波君。ちなみに、ウチのギルマスは君達に謝罪をしたいみたいなんだけど……」

 英雄は彼がライデンだとすぐに察して、苦笑しながら首を横に振る。

「それは遠慮しておくよ。アークが動くとなれば、騒動になりそうだからね。気持ちは受け取ったと伝えてくれるかな?」

「了解、必ず伝えておくよ」


************************************************************


 一方その頃、ヒメノ達はAWOにログインしていた。現在地は、【七色の橋】のギルドホームだ。大広間で寛いでいるメンバーは、JC五人組とシオンである。ジン達は登校日であり、ミモリとカノンはアルバイト。ハヤテとヒビキは、ログインしてはいるが席を外していた。


 机の上に浮かぶウィンドウを見ながら、ヒメノがポツリと口を開く。

「ギルドホームに、この機能があって良かったですね……」

 ギルドメンバー全員が操作できる、ギルドホーム用システム・ウィンドウ。そこに記載されているのは、来客を受け付けるか否かの画面だ。

 現在の設定は、ギルドメンバーのフレンドまで来訪可能な設定になっている。それ以外は、ギルドホーム内に居るプレイヤーに来訪をしらせる呼び鈴を鳴らす事も出来ない。


「この機能を使う事態になったのが、残念ね……」

「まぁねぇ……でもさ、防犯の為には仕方がないよ」

 レンとセンヤの会話に、ヒメノ・アイネ・ネオンも頷く。イベント終了後に彼女達に送られたメールの内容を思い起こせば、妥当な措置だというのがギルドメンバーの総意であった。

 その内容とは……。


『ヒメノさん。君に本当に相応しい男は、この俺だ。それを証明してみせる、どうか俺を【七色の橋】に加入させてくれ』

『レン様、あなたの美しさに心を奪われました。私をあなたの側に置いて下さい、決して損はさせません』

『初めまして、アイネさん。第一回イベントで一緒に戦った者ですが、覚えていますでしょうか。あの時の約束を果たしたいと思います。今夜、お時間を頂けますでしょうか』

『シオンさん、私もあなたと同じくレン様を心から支えたいと思っています。どうか私を【七色の橋】の執事にして下さい。あなたの為に、全てを賭けてお役に立って見せます』


 こんな感じのです。これを見た瞬間、女性陣の背筋に怖気が走ったのは当然の事。

「親しい人達は皆、フレンド登録済みだからね。ポータルも有効化アクティベートしているし、交流するのに不都合は無いと思う」

 アイネの言葉に、ヒメノとレンが頷く。

「ギルドメンバーが増えるきっかけは減るけれど……仕方がないよね」

「えぇ。私達は別に、大規模ギルドになりたい訳ではないし。ギルドのメンバー、それにフレンドさん達と楽しくゲームが出来ればそれで良いもの」


 【七色の橋】は別段、トップ争いに躍起になっているわけではない。その為、新規メンバーを募集してはいない。

 第一回・第二回イベントで最高の成績を残したのは、あくまで”仲間でゲームを楽しむ”というギルド方針の結果だ。その結果が貢献度ランキング上位だったり、決勝トーナメント優勝なのだが。


 そんな風に会話をしていると、庭先のポータル・オブジェクトが光を放った。その光が収束すると、二人の少年が姿を見せる。

「や、ただいまッスー!」

「様子を見て来たよ。凄かった……悪い意味で」

 このギルド唯一の銃使い・ハヤテ。そして、美少女と見紛う容姿の持ち主であるヒビキだ。二人の服装は和装では無く、地味なチュニック姿。その上にローブを羽織り、フードを被っていた。


「門の外、そんなに酷かったのかな?」

 微妙そうな視線を門の方に向けるネオンに、ハヤテが苦笑いして頷く。

「今の時期は、特に酷いかもね。夏休みで時間がある学生が、たくさんログインしてるッスから」

 つまり肉体的にだけではなく、精神的にも幼いプレイヤーが多いという事だ。


「名前の書かれた旗を振っていたり、ウチワを振っていたり……」

「アイドルのコンサート会場かしら?」

「【七色の橋】って焼き印の入った饅頭を売っていたり……」

「観光地のお土産みたいですが、それは通報案件ですね。ここは私が……」

「大丈夫ッス、シオンさん。既に誰かが通報していたらしくて、GMに連行されてたッス」

「あとは……隠し扉が絶対にある! 探せ! とか言っているプレイヤー集団が多数」

「忍者屋敷ではないんだけどなぁ……いや、解らなくもないけど」

 どうやら【七色の橋】のギルドホームに集った野次馬プレイヤー達は、いろんな意味でフリーダムらしい。とはいえ、これは迷惑行為に他ならないのだが。


「となると、今日はどうしましょうか……」

 ヒメノの言葉に、他の面々が難しい顔をする。

「ここ数日は生産ばかりで、フィールドに出ていないもんね」

「レベル上げして、皆の役に立てるようになりたいのにぃ〜」

 ネオンとセンヤの言葉が、ここ数日の彼等のVRライフを物語っていた。

 イベント翌日から、【七色の橋】のギルドホームに訪れるプレイヤーが殺到した。ポータルでワープしても、町に居たプレイヤーに囲まれてしまったのだ。

 結局、その場でログアウトしてホームへ復帰リスポーン。ホーム内に戻って生産に打ち込む事となった。


「分散してレベリングするッスか? 変装すれば、行ける気がするッスけど」

 特徴的な容姿のメンバーが多いので、印象を変える為に変装するのは良い手だろう。更に数名に分かれれば、気付かれにくくなるとハヤテは考えた。

「問題は、ヒイロさんの右腕ですね。呪いの装備は、一度装備すると外せませんし……」

「ローブの中に隠すしかない……かなぁ」

 唸りながら、良い案が無いか考え込むレンとヒメノ。彼氏・実兄(ヒイロ)の為となれば、真剣にもなるだろう。


 そんな中、レン宛にメールが届いた。フレンド限定の設定にしているのだから、相手は当然フレンドだ。

「ユージンさんからね……今、ここに来ても良いかって」

 前約束がない場合、ユージンがポータルで転移する時に伺いを立てるのはいつもの事だ。当然、ハヤテ達は笑顔で頷く。


 レンが了承の旨を記したメールを返信し、数分後にユージンが転移してきた。

「やぁ、皆。いきなり訪問して済まないね」

「ようこそ、ユージンさん。さぁ、上がって下さい」

 レンがユージンを招き入れると、シオンがキッチンの方からお茶とお菓子を持って来た。


「今日はどうしたんッスか、ユージンさん?」

 ハヤテの問い掛けに、ユージンは苦笑してホームの庭先……その向こうにある塀に視線を向けた。

「こちらの事情はメールで聞いていたけれど、大丈夫かと心配になってね。そこで、変装用の装備を作ったらどうかと思って来たんだ」

 その言葉に、新メンバーの三人は嬉しそうに表情を緩めた。変装すれば、フィールドに出られる……となればレベリングや素材採集も出来るのだ。


 そんな三人に微笑みながら、他の四人はユージンに感謝の気持ちを込めて頭を下げる。ユージンは相変わらず、【七色の橋】に対して親身に接してくれている……それがとてもありがたく、嬉しいものだった。

「ただまぁ、全員で行動すると目立ちそうではある」

「やっぱりそうッスよねぇ……」

「私達も、分散して探索に出ようかと話していまして……」


 この騒動が沈静化するまでは、全員での行動は目立って仕方がないだろう。そんなギルドメンバー達の心に溜まったフラストレーションは、ユージンが聞き上手な事もあって徐々に解消されつつあった。


……


「皆、お待たせー……あれ?」

 ジンがAWOにログインすると、そこには勢揃いしたギルドメンバーと一緒に、談笑しながら変装用装備を製作するユージンの姿があった。


 そんなジンのログインに、真っ先に気付いたのはヒメノだ。視界の左上に表示されるパーティメンバー……その一番上、目立つ所にジンの表示があるからである。無かったとしても、ヒメノならば気付きそうだが。

「ジンさん! おかえりなさい!」

 愛しの恋人に、飛び付くように駆け寄るヒメノ。それによって、仲間達とユージンはジンのログインに気が付いた。


「やぁ、ジン君。登校日だったんだって? お疲れ様だったね」

 朗らかに微笑みながら、ユージンが挨拶をする。こうして何気ない会話を交わすのが、何だか久し振りに思えたジンも笑みを浮かべた。

「ユージンさん、遊びに来てくれたんですね! おや、それは?」

「君達がフィールドを探索する為の、変装用の装備だよ。ほら、このウィッグとかリアルだろう?」


 ユージンが持ち上げたウィッグは、金色の長い髪をしたものだった。確かに出来が良く、本物と言われてもすんなりと信じられそうである。

「ちなみに、これは誰用です?」

「アイネ君とかどうだろう? かなり印象が変わると思うんだが」

 そう言われ、ジン達はそれを被ったアイネを想像してみる。確かに大和撫子といった雰囲気のアイネが、金髪になったら雰囲気が違うだろう。


……


 そうして生産に精を出す中で、ユージンがここ数日の事を語って聞かせた。

「【聖光の騎士団】と【森羅万象】は、変わらずにプレイしている様だよ。【聖光】は西側の攻略に集中するつもりみたいだ」

 帰り道、人志ギルバート明人ライデンから「次は負けないぞ」と言われたジン英雄ヒイロ。どうやら彼等は、更なる高みを目指して前に進んでいるらしい。


「【森羅万象】は、北側の第二エリアに姿を見せているそうだ。新たなスキルや、レア装備を探しているのかもしれないね」

 レアスキルやレア装備を駆使して、激しい勝負を繰り広げた相手である【森羅万象】。その動向を聞いて、ジン達は顔を見合わせる。

「北側……かぁ」

「もしかしたら、第二エリアで顔を合わせる事になるかも?」

 更に【遥かなる旅路】や【暗黒の使徒】も、更に強くなろうと探索を進めているらしい。


「【ベビーフェイス】は、よくわからないな……クエストを進めているんじゃないかという話は聞いたけど、第一エリアのエリアボス手前辺りらしいし」

 彼等は知らないが、これは金策の為である。PAC(パック)の製作するデバフ消費アイテム頼りの戦い方で、決勝トーナメントまで上り詰めた【ベビーフェイス】。しかしその戦術は、コストがかかるのだ。

 つまり今の【ベビーフェイス】は、深刻な金欠状態なのである。


「そういえば、皆はもうチケットは使ったのかな?」

 そんな問い掛けに、【七色の橋】のメンバーは全員首を横に振る。

「折角だから、いざという時の為に取っておこうかという話になったんです」

 現在、【七色の橋】が保有しているチケットは他のギルドを圧倒する物だ。その中でも、まだ彼らしか保有していないチケットが存在する。


「優勝賞品の≪オリハルコンチケット≫だったかな? どんなモノだったんだい?」

 現状では、トーナメントで優勝した【七色の橋】以外に手にした者が居ない≪オリハルコンチケット≫。その性能は、公にはされていない。

 本来ならば、その情報を公開するのは憚られるのだが……その相手がユージンならば、話は別。【七色の橋】の設立にも深く関わり、各々のギルドをサポートしつつ中立を保つ彼にならば……と、ジン達は詳細を明かす事にした。


「基本的には≪プラチナチケット≫と同じなんですが……それに加えて、これを使うとPAC(パック)契約が即可能になるらしいです」

 PAC(パック)との契約……NPCの好感度を上げ、条件を満たす事でパートナーとして行動を共にする契約。それを色々とすっ飛ばして、契約可能にする。これは、PAC(パック)と契約していないプレイヤーにとっては是非欲しいアイテムだろう。


「成程、そういう感じか。【七色の橋】はまだPAC(パック)が三人だし、かなり役立ちそうなアイテムだね」

「即契約となると、PAC(パック)クエストを省略出来ますからね。時短になるので、ありがたいです」

 ヒイロの言葉を受けて、ユージンは何やら考え込む。

「第一回では、PAC(パック)製作。第二回でPAC(パック)との即契約か……運営はPAC(パック)システムに、強い拘りを抱いていそうだね」

 その言葉を受けて、ジン達は考えを巡らせる。確かにPAC(パック)関連の賞品が、二回連続で最上位のプレイヤーに渡されている。これは、何かしらの意図があるだろう。


「ちなみに、その情報は公開するのかな?」

 ユージンの問い掛けに、ヒイロとレンが顔を見合わせる。情報を公開するとなると、情報源は【七色の橋】のメンバーに他ならない。それを行って、得られるメリットは……。

「心象操作、ですね」

「情報を隠すよりも、公開する方が良いイメージを得られる……か」

 今回のイベントで、【七色の橋】は更に注目を集めている。他プレイヤーからの印象というものが、普段のプレイにどの様な影響を齎すか? それを考えると、印象を良くしておくのは大切だろう。


「今後の事も考えると、公開した方が良いかもね」

 ヒイロの言葉を受け、他のメンバーも頷いた。

「それならヒイロさん、俺に任せてくれないッスか? こういうのは、得意分野ッス」

 手を挙げて、情報公開を担当する役に立候補するハヤテ。【七色の橋】の中で最もVR歴が長く、掲示板等も利用してきている。


「確かに、ハヤテさんが最適ですね」

「うん、それじゃあ頼めるかな?」

 ギルドを率いる二人の言葉に、ハヤテは自信満々に頷いた。

「お任せッス!!」

次回投稿予定日:2021/3/17


優勝したら、これくらいの騒ぎになりそうだなというお話。

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― 新着の感想 ―
[一言] こういうことする輩って迷惑かけてるとか、悪いことしてる自覚無いんだよなぁ。若しくはこれは嫌がらせだけども向こうが悪いからやってて自分は正しいって思ってるんだよね
2021/03/15 18:05 しおりすぐ無くす読書好き
[良い点] イチャイチャしてて大好きです!!! [気になる点] もっと・・・もっと砂糖を・・・ つまりもっと甘々でいいということです。 [一言] 個人的に対人イベは苦手だったので最近読んでなかったので…
[良い点] ギルバート、現実でもちゃんと謝罪出来ましたね。これから現実でゲームの話とかで、仲良くするんでしょうね。 そして彼女とイチャイチャするジンとヒイロに、羨ましいと視線を向けるギルバートが…(笑…
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