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忍者ムーブ始めました  作者: 大和・J・カナタ
第九章 第二回イベントに参加しました(後)
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09-01 準決勝第一試合・先鋒戦

 インターバルの時間は過ぎ、ステージの上にアンナが姿を現した。いよいよ準決勝が始まるのだと、会場中のプレイヤー達は期待に胸を膨らませる。

 そんなプレイヤー達の期待通り、アンナは手にしたマイクを口元へと運んだ。

『長らくお待たせ致しました、これより準決勝に移行したいと思います』

 アンナらしい、クールでどこか事務的なアナウンス。それでもアナウンスを聞いた観客席のプレイヤー達からは、盛大な歓声が上がった。


『準決勝第一試合、出場する選手をお呼び致します……まずは一回戦で見事、【桃園の誓い】チームに勝利した【聖光の騎士団・Ⅰ】チーム!』

 アンナによる、一回戦とは違うアナウンス。そのアナウンスを受け、【聖光の騎士団】に割り振られた控え室の扉が開く。


 控え室の中から姿を見せたのは、まずギルドマスターたるアーク。その後に、並んで歩くのはギルバートとクルスだ。そして殿にシルフィ・アリステラ・ヴェインが続く。この登場の仕方で、どんな編成で挑むのかが丸分かりである。

 これはライデンからの指示であり、他のプレイヤー達にトップギルドの風格を見せ付けようという意図がある。


 当然、【聖光の騎士団】への声援は加熱していく。応援の声が止むには、時間がかかるだろう事は想像に難くない。故にアンナは声援止まぬ中、対戦相手となるチームを呼ぶ事にする。

『続きまして、一回戦第二試合の勝者。【遥かなる旅路】チームを撃ち破った、【魔弾の射手】チーム!』


 対戦相手となるチーム名が耳に入ると、観客席が更に沸く。最もその中には、野次も含まれていた。銃というレアアイテムを使用するプレイヤーに対する感情に、歯止めを効かせられないプレイヤーは少なくないらしい。

 しかしながら、【魔弾の射手】チームは意にも介した様子無く歩く。メンバーはレーナ・ジェミー・ディーゴはそのまま続投。そしてクラウドとビィト、メイリアが編成に加わっている。


 しばらくして、両チームがステージの上に上がり向かい合う。二つの勢力の間には、緊張感が漂っていた。しかし、その沈黙を破る存在がいた。

「どうぞ、よろしくお願いします」

 笑顔を浮かべて一礼するのは、【魔弾の射手】のレーナ。何ら含みを持たせない、純粋な挨拶である。


 そんなレーナの挨拶に、真っ先に反応するのは? やはり、ここはあの男。

「これはこれは……丁寧な挨拶痛みいるよ、お嬢さん。あぁ、先の試合は拝見したよ。最後の身のこなしは賞賛に値する、見事な動きだったね。引き締まった貴女の脚から繰り出された蹴りに、思わず見入ってしまったとも」

 はい、安定のギルバートさんです。大仰な手振りとその口調は、実に相変わらずだ。

 ちなみにステージの上は、音声が拾われる。故にこのギルバートのセリフは、会場中に聞こえているのである。なので、ギルバートは順調に女好きキャラとしての風評を高めていく。


「……ギルバート、その辺りにしておけ」

 これには流石に、止めに入るアーク。ライデンが居れば良かったのに……と、内心で独りちる。ギルバートの操縦は、ライデンが一番なのだ。

「うん? あぁ、これは失敬。試合の時間が伸びてしまう所だったね」


 ギルバートの濃ゆいキャラクターに、【魔弾の射手】チームは苦笑い気味である。それを察したのか、シルフィとアリステラが口を挟む。

 というのも、ギルバートの言葉を受けて、アークが本当に小さくだが溜息を吐いたのだ。これはフォローが必要だろうと判断したのである。

「いきなりでビックリしただろうね。うちのメンバーが申し訳ない」

「大変失礼致しました、【魔弾の射手】の皆様」


 そんなシルフィとアリステラに対し、ジェミーが苦笑気味ながら言葉を返す。

「いいえ、お気になさらないで下さい」

 柔らかな口調と、穏やかな返答。互いに同じくらいの年頃だろうと察する事も出来るので、ジェミーの言葉と視線には「大変そうですね」という思いが込められていた。

 そんなジェミーの気遣い、二人にはしっかり届いていた。申し訳なさそうな、ありがたそうな笑みで返す。


「……不躾で悪いんだけど、試合前にいっこだけ聞いていいかい?」

 唐突に声を掛けたのは、意外にもヴェインだった。寡黙なアークとクルスはだんまりだし、ギルバートには期待は出来ない。しかしながら、どうしても聞いておきたい事があったのだ。

「えぇ、何ですか?」

 笑顔で頷き、いっこだけならと微笑むジェミー。一縷の望みを賭けて、ヴェインは口を開く。


「さっきの試合で、銀髪のお姉さんが言っていた事なんだがね。ある素材を基に、銃が作れるってやつなんだが……アレはマジかい?」

「えぇ、マジですよ」

「……その素材について、教えてもらう事は? 勿論、ちゃんと対価は支払う」

 その質問に、ジェミーは笑顔を浮かべる。表面上は穏やかな微笑みに見えるが、その内心は違う。


――()()()()


 むしろ、ジェミーは……【魔弾の射手】はその質問を待っていたのだ。

「対価は無しで大丈夫ですよ? 銃の素となる素材は、≪壊れた発射機構≫というアイテムになります」

 その情報は既に、某掲示板に書き込まれている。それと同じ内容を、ジェミーが口にした。つまりは≪壊れた発射機構≫の情報は、確度が高い情報と判断される。


 そして情報を明かすという行為にも、対価を求めないという行為にも、大きな意味がある。銃の秘密を独占するつもりは無い……そうアピール出来るのだ。

 この行動によって【魔弾の射手】に対する批判をいくらか和らげる事が出来る。【魔弾の射手】はそう判断し、この質問を待っていた。

 その為に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。


 そうとは知らないヴェインは、無償での情報提供に感謝の言葉を一言告げて引き下がった。ここまでは、【魔弾の射手】の思惑通りである。


『それでは先鋒戦に参加する選手以外は、ステージの外へお願い致します』

 両チームのやり取りが一段落したのを察したアンナは、イベントを進行させる。どちらのチームからも異論は無く、先鋒戦メンバー以外が素直にステージから下がっていく。


 こうして、ステージの上に残るメンバー。【聖光の騎士団】側からは、ヴェインとシルフィ、そしてアリステラ。【魔弾の射手】はディーゴ・ビィト・クラウドの三名だ。

 ヴェインは腰に下げたクロスボウを抜き、【魔弾の射手】を見遣る。

「……M4A1か。それにM14、ステアーTMP……成程、いい趣味してるね」


 その言葉に、ビィトが反応する。

「おぉっ? もしかして、銃に詳しい人かな?」

「以前、FPSゲーをやっていた事もあってね」

 そう言うと、ヴェインはクロスボウを掲げる。

AIMエイム力には自信があるぜ?」

「そりゃあ楽しみだ」

 軽口を叩き合う両者だが、交錯する視線は笑っていない。その様子に、会場の緊張感が高まっていく。


「頼りにしてるよ、ヴェイン」

「非才な身では御座いますが、全力を尽くしますので」

「こっちこそ、よろしく頼みますよ。そこまで硬くないもんでね」

 シルフィとアリステラが盾を構え、臨戦態勢に入る。

「おぉ、やる気満々だね」

「立ち回りはいつも通りで良いんですよね?」

「それが良いだろう……行くぞ、二人共」

 ビィト・ディーゴ・クラウドも、それぞれが銃を構える。


 既に戦意を滾らせる両チームに、アンナは一つ頷いてみせる。

『それでは準決勝第一試合……試合、開始!』


************************************************************


 M14を構えるクラウドを残し、ディーゴとビィトが走り出す。ディーゴはステアーTMP、ビィトはM4A1を手に携えている。

 同時にシルフィとアリステラも、盾を構えて前進する。二人が使用している盾は、大盾ではない。シルフィはカイトシールド、アリステラはラウンドシールドだ。


「まぁ、距離を詰められたら弱いのは間違いない……って、速っ!!」

 シルフィは銃撃を恐れる事なく、全速力でディーゴに突っ込んでみせる。弾丸を受け止めたり、避けたりするというつもりは無いらしい。

 同じくアリステラも、ビィトに向けて一直線に駆け抜ける。盾を構えてはいるものの、ダメージを受ける事を前提とした突撃である。


「随分と、思い切りが良いなっ!!」

 ぼやきながら、ビィトがアリステラに向けて引き金を引く。ビィトが狙いを付けた場所は、アリステラの眉間。戦闘となれば手心を加える事も無ければ、情け容赦も無い。

 しかしながら、アリステラは止まらない。迫る弾丸に怯む事なく、ビィトに向けて突進していく。


「【聖光の騎士団】に勝利をッ!!」

 痛みを無視し、衝撃に耐えてみせる……そんなアリステラの剣幕に、ビィトは思わず怯んでしまった。その隙を逃さず、アリステラはビィトに向けて体当たりをする。

「ぐぅ……っ!?」


 一方ヴェインは、立ち位置を調整しつつクロスボウで矢を放った。警戒しているのは、≪マークスマンライフル≫を構えるクラウド。彼の射線を切りつつ、シルフィやアリステラを狙わせない為にクロスボウで矢を放つ。

「……確かに狙いが良い。嫌になる程に」

 そう呟いたクラウドは、ヴェインに銃口を向ける。しかし彼のAGIの高さは、クラウドよりもずっと上。狙いを付ける間に、シルフィやアリステラを盾にして射線を切ってみせる。


「女性を盾にするのは本意じゃないが、そうも言っていられなくてな!!」

 そう言うヴェインは、盾役を請け負ったシルフィの背後で狙いを定める。そして横飛びでシルフィの影から飛び出すと、クラウドに向けて矢を射つ。

 ヴェインの放ったその矢は、クラウドの心臓を目掛けて飛ぶ。それに気付いたクラウドは、舌打ちをしつつステージの上を転がってみせる。ギリギリの所で矢がその脇腹を掠め、クラウドのHPが減少した。


 そしてディーゴは、シルフィの猛攻を必死で躱しつつ≪サブマシンガン≫で牽制射撃を試みる。しかしながらシルフィは盾でそれを防ぎつつ、ディーゴに向けて突撃チャージを続行。

「中々いい動きをするじゃないか!!」

 ディーゴはシルフィに決定打を与えられず、その勢いを止める事が出来ないでいた。

「それ、お姉さんが言う? こんなにやりにくいのは、初めてだよ……っ」


 ディーゴの……そしてビィトやクラウドの動きは、決して悪くない。身のこなし、回避行動、射撃体勢……どれも惚れ惚れするくらいの完成度。鍛え上げられた軍人の様な、的確な戦闘行動。

 もしもこれが現実であれば、狙撃によってアリステラは即死している。シルフィも手足の自由を奪われ、地面に転がっていただろう。そうすれば、残るヴェインは袋の鼠となる。三対一という絶望的な状況下ならば、即座に両手を上げて降参する事だろう。


 しかしながら現実ではない、これはゲームだ。リアリティを追及しているものの、運営によって安全性が約束された仮想現実世界ヴァーチャルリアリティワールドなのである。

 プレイヤーが受けた痛みは、当然ながら軽減される。受けた痛みに耐えられず、悶絶する様なものではない。銃弾を喰らってHPは減少するが、一撃死はしない。攻撃を受けた部位が動かない……という事態にも陥る事は無い。


 そしてもう一つ……AWOには、ステータスという概念が存在する。ステータスが高ければ高い程、プレイヤーの動きや力は増加する。レベルやステータスの差は、優劣に直結するのだ。

 トップギルドの一つであり、攻略最前線を邁進する【聖光の騎士団】。その幹部クラスのメンバーともなれば、当然レベルもステータスも高い。


 対する【魔弾の射手】の平均レベルは、レベル30にも満たない。

 レーナ達JD四人組とジェミー、この五人はレベル30を越えている。彼女達は大学生であり、時間の融通もきく。

 しかしディーゴ・メイリア・ビィト・クラウド……この四人はレベル20を越えたばかりであった。ディーゴとメイリアは、AWOを始めてまだ一カ月も経っていない。そしてビィトとクラウドは社会人であり、残業も多い職に就いている。その為、ゲームに費やす事の出来る時間が少ないのだ。


 そんな事情もあり、対戦相手とのステータスには歴然たる差がある状況。戦況は徐々に、【聖光の騎士団】へと傾いていく。

 更に【魔弾の射手】は、シルフィとアリステラの勢いにばかり意識が向いてしまっていた。対戦相手三人の中で、最も警戒しなければならないのは……この試合の場合、ヴェインだったのだ。


「さぁて……仕掛け時かね」

 右手にクロスボウを携えたまま、ヴェインは腰の後ろに手を回す。取り出したのは、野球ボールくらいの大きさの球体だ。

「よっと」

 それを軽く放り投げ、クロスボウでそれを狙う。放たれた矢が球体を射抜くと、球体は破裂して白煙が発生した。


 ちなみにデバフ系の消費アイテムは、地面に落ちるだけで効果を発揮する。普通ならば、それで問題無い。

 しかし空中で撃ち抜くかプレイヤー又はモンスターに直撃させると、効果範囲やデバフ効果発生率上昇のボーナスを与えられるのである。


「来ましたわね……!!」

「始めたか、ヴェイン!!」

 広がる白煙に気付いた二人は、更に目前の相手へと踏み込む。


「こっちの連携を完全に分断する……成程、ただの力押しじゃなかったわけだ」

 視界を制限する白煙に怯む事無く、ビィトは冷静にアリステラとの戦闘を継続する。アリステラの速さにも目が慣れ、行動パターンも把握した。

「それじゃあそろそろ、反撃開始……かなっ!」

 アリステラの突進を紙一重で躱し、手にしたM4A1型≪アサルトライフル≫の銃口をその背中に突き付ける。しかし、引き金を引く直前……。


「【スパイラルショット】」


 ビィトの脇腹に、ライトエフェクトを纏った矢が突き刺さった。削られるHPに、ビィトの顔が歪む。

「クラウドさんを放置して、こっちに二人……!? 各個撃破が狙い……かっ!!」

「残念ですがハズレですわ」

 想定外の攻撃によって散漫になったビィトの意識を、アリステラの声が引き戻す……しかし、気付いた時には既に手遅れだった。

「【クインタプルスラッシュ】」

 手にしたショートソードを振るい、ビィトの身体を斬り付けていくアリステラ。彼女は攻撃特化のプレイヤーであり、自分の適性距離であればダイスとも拮抗できる実力の持ち主だ。お膳立てされたこの状況で、ビィトを取り逃がしたりはしない。


 同時に、ディーゴも腕に矢を受けていた。

「くそ……っ!!」

 彼が矢を喰らったのは、シルフィの両足を狙って発砲していた時だった。ステアーTMP型≪サブマシンガン≫を握った腕に、勢いよく突き刺さった矢。HPを削ると同時、その勢いによって照準もブレた。

「【シールドバッシュ】!! はあぁっ!!」

 カイトシールドで、ディーゴを殴り飛ばすシルフィ。【シールドバッシュ】によって体勢を崩されたディーゴは、明らかにまずい事を悟る。

「こいつで決めるよ!! 【ハードブレイカー】!!」

 叩き付けられた大剣の一撃は、ディーゴのHPを根こそぎ刈り取る。


 聞こえてくる音だけで、何が起きたのかを察したクラウド。しかしながら、まだ敗北は確定していない。最後まで戦い抜くべく、M14型≪マークスマンライフル≫を構えて白煙の範囲外に出ようと一歩踏み出し……そこで、刺された。

「悪いね、お兄さん」

 白煙が立ち込める前には、15メートルは距離が開いていた。


――こんなに近付かれるまで、気配も足音も感じなかっただと……!?


 クラウドは信じられないとばかりに目を見開きながら、減少していくHPバーに視線を向ける。残りHPは四割程残っており、レベル差はあれどヴェインのSTRは然程高くない事が窺える。


――まだ……終わらせん……っ!!


 ヴェインの喉元に≪マークスマンライフル≫の銃口を突き付け、無造作に引き金を引く。発砲音とマズルフラッシュが発生し、ヴェインに銃弾が命中する……その時、不思議な事が起こった。

 銃弾をその身に受けたヴェインの身体は、風船に針を刺したかのように弾け、そして消えたのだ。


「これは……っ!?」

 呆けている間に、白煙の向こうから人影が向かって来ている事を察知したクラウド。意識を切り替え、人影に向けて≪マークスマンライフル≫を構える。

「【アサルトバレット】」

 その狙撃は人影を撃ち抜いたが、先程のヴェイン同様に弾け飛んで消えていく。


――まさか……デコイか!?


 ヴェインの姿形をした存在が、囮の偽物だと判断するクラウド。彼はレーナから、あるプレイヤーについての話を聞かせて貰った事があるのだ。

 その少年の持つスキルに、プレイヤーそっくりなNPCを召喚するというものがあると聞く。そう、第一回イベントの動画にも映っていた……ランク一位で忍者な彼のスキルだ。


 更にもう一人、人影が迫る。クラウドは舌打ちしつつも、≪マークスマンライフル≫で人影を撃った。ヴェインとの撃ち合いに加え、予想外の攻撃を受けたクラウド。それにより、二十発あった残弾数はゼロになってしまう。


 敵に察知されにくくする為、足音を殺して移動。更に地面にへばり付くようにして身を屈めつつ、音を立てないようにマガジンを交換し始めるクラウド。その手際は良く、手慣れた行動だった。

 だが、それだけでは足りなかった。この白煙はヴェインによるものであり、彼にとって白煙があろうと無かろうと支障は無かったのだ。


「【パワーショット】」


 的確に放たれた矢が、白煙の中を突き抜けてクラウドに迫る。

「何……っ!?」

 飛来した矢がクラウドの背に突き刺さり、HPはゼロに達した。身体中の力が抜けていくのを感じながら、クラウドは疑問を抱く。


――何故、俺の居場所が解った……?


 白煙が晴れて、ようやく視界が元に戻る。ヴェインはステージの端で膝を付き、クロスボウを構えていた。

「やったじゃないか、ヴェイン! やはり君は、やる時はやる男だな!」

「お見事でございましたわ! ここまで予定通りに事が運ぶなんて、ビックリしました! ヴェインさんのお陰ですわ!」

 シルフィとアリステラの賛辞を受けても、ヴェインは表情を変えずに立ち上がる。

「お二人の力があってこそって事で。あんまり過剰に評価されるのは、居心地が悪いんでね」

 美女・美少女に持て囃されても、平静を保つヴェイン。その姿はまるで凄腕の狩人の様でもあり、または一流の暗殺者の様でもあった。


 勝負が付いた事を察し、ステージの上にアンナが姿を現した。すぐ様マイクを口元に寄せ、決着を告げる宣言を行う。

『準決勝第一試合、先鋒戦……勝者、【聖光の騎士団・Ⅰ】チーム!!』

 その勝者宣言を受け、会場中が盛大な歓声と拍手の音に包まれていった。

次回投稿予定日:2021/1/10

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― 新着の感想 ―
[一言] ≪壊れた発射機構≫、アイテム説明文(フレーバーテキスト)どうなってるんだろう? どこかに載っけてましたっけ?載っけてたらページを教えていただきたい。
[良い点] 出来る男ヴェインただのスカウト要員ではないところ見せてくれました。それに比べてギルバートは…… [一言] ギルバートはいきなりやからしもといかましてくれました。モテたい?そういうとこやぞ。…
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