番外編2 年が明けたのでオリジナルカルタをやってみた
※この番外編は本編と違い、メタ要素が含まれております。
その点にご注意下さいます様、お願い致します。
「どうしてこうなった?」
そんな言葉を口にしたのは、【七色の橋】を率いる美少年。ジャ■ーズ事務所に居てもおかしくないと学校では評判の、イケメン。
その名は星波英雄……VRMMORPG、アナザーワールド・オンラインにログインしている今は、ヒイロと名乗る少年だ。
彼の目の前では、ギルドメンバーがこぞってある物を奪い合っていた。しかも、武技や魔技を使用して。
「”かみついて、はなれぬ炎の……”」
「【炎蛇】!! 【蛇口】!!」
何やら札を読み上げるシオンに、ハッとした表情で魔技を発動するヒメノ。彼女の放った【炎蛇】が、その口で捉えたのは……A4サイズはあるのではないかと思われる、札。
その札に描かれているのは、左上に丸で囲われた”か”の文字。そして、炎の蛇を脇差から発生させているヒメノのイラストであった。
「ぬぬっ、やるでゴザルな、ヒメ!! ってか、こっちにも”か”の札があるんだけど……」
「ジンさん、それは恐らく”かっぱつに、ゲームをたのしむ、センヤかな”ですね」
「なにその恥ずかしい札!? え、私の札ってそんなのなんだ!?」
読み上げた文に合った札、早い者勝ちでそれを奪い合うゲーム。その名も、カルタ。
ジン達は今、オリジナルカルタで遊んでいる最中なのであった。
「次です。”せおうのは、ギルドとなかまと、きしんかな”」
「【風陣】!!」
レンがクルッと回転して放った【風陣】により、一枚のカルタ札が舞い上がる。それを優雅に取ってみせると、ヒイロにニッコリと微笑みかけた。
「ふふ、ヒイロさんの札が三枚目です」
愛しい彼氏の札は誰にも渡さないとばかりに、魔法を駆使してゲームに興じるレン様。かなり、本気。
「”ゆるすまじ、マリウスぜったい、ゆるすまじ”」
「【一閃】!!」
札を手で取るのではなく、≪大狐丸≫を突き下ろしたジン。札に深々と刀身が刺さっている。シン……とした空気の中、忍者な主人公が床にガッツリ突き刺した刀を抜き取る。その刀身には、突き刺した札がついてきた。
「殺ったでゴザル」
「字面が不穏過ぎる!!」
「”おじょうさま、あぁおじょうさま、おじょうさま”」
「誰が考えたの、この文面……あ、あった」
「え、こっちにもあったよ? あれ、そっちはレンさんの札で……こっちは金髪縦ロールの人?」
「あぁ、アリステラさんですね」
「同じ文面でイラストが違うのか……いや、それカルタとして成立しないんじゃ……」
「”FAL、Five-seveNが、あいじゅうさ”」
「何かアンパンのヒーローの歌のサビみたいだな」
「【クイックステップ】!! やった!! 取れた!!」
「彼氏の札を取りに行く時、みんな本気ねぇ」
「ミモリ……それが、乙女心……だよ」
「”メイドさん、はるがくるのは、いつなのk”……大きなお世話です!!」
「読み手が取っちゃった!!」
「何だ? この勢いで本編の要素を全て羅列する気か?」
「”ユアンとは、ほんとにいったい、なにジンだ?”」
「獲ったー!! 獲ったどー!!」
「ユージンさん、そんなに速く動けるんですね!!」
「作者の悪意を感じる。そんな気がするのは俺だけッスか?」
「”なんでだろう、いまだにほんみょう、あかされず”」
「おっと、この札は私が頂くよ!!」
「レーナさん!? いつの間に参加してたんですか!?」
「”ぜったいに、なにかをたくらむ、アレクかな”」
「アレク? 誰?」
「さぁ? そんな人居たっけ?」
「聞き覚え無い名前ですね……」
「”もうすでに、ていちゃくしたよね、おしゃぶりが”」
「うるせぇーっ!!」
「俺達はおしゃぶりじゃねぇーっ!!」
「何で居るの、この人達」
「”けいじばん、なないろのはし、すきすぎる”」
「え、そんなに話題になってんの?」
「……自覚ないのか、お前ら……ちょっと見て来いよ」
「どれどれ……うわぁ……」
「”ハーレムと、いうけどじつは、かたおもい”」
「うるせぇよ!!」
「うん? なんでアーサーが叫んだんだろ?」
「頼む、ハル……今の愚弟は放置してやってくれ……」
「”おかしいな、てんぐなのにね、てんぐじゃない”」
「まぁ、天狗になるキャラじゃないよね、ケイン」
「ケインさんは謙虚ですよねぇ」
「イリス、チナリ……あそこでケインが悶えてるから勘弁してやって(笑)」
「笑うな、ゼクスッ!!」
「”もしかして、あのひとじつは、すごいひと?”」
「おっと、ヴェイン。言われてるぞ?」
「シルフィの姐さん、買い被りですって……ってか、何で俺なんですか」
「いや、だって……ねぇ?」
「”ちょっとまて、そのギルドめい、ちょっとまて”」
「心当たりが多過ぎる!!」
「ファンギルド? っていうんですかね……あまりにも多過ぎませんか?」
「ある意味で最も異端なのは【忍者ふぁんくらぶ】ですね」
「”リリィさん、リアルはどんな、かつどうを?”」
「あ、取れました!! ちなみに一応、歌って踊れるアイドルなんですよ?」
「へぇ、素敵ですね!!」
「ありがとうございます、ヒメノさん♪」
「”どうしよう、オチとかがもう、うかばない”」
「作者ェ……」
「本編との落差が激しい……いや、そうでもないか?」
「ノリと勢いがキーワードな人だから」
「”このカルタ、いったいだれが、つくったの”」
「ユージンさん?」
「ユージンさんでしょ」
「ユージンさんですよね?」
「いや、僕じゃないよ!?」
「”はやきこと、かぜのごとくの、しのびなり”」
「あ、取った! 取れましたよ、ジンさん!」
「う、うん……ヒメ、そんなに嬉しい?」
「はいっ♪」
「”しんねんの、あいさつがまだ、できてない”」
「……あっ」
「そういえば……」
「……全員、整列!」
『【忍者ムーブ始めました】を、本年もよろしくお願い致します!!』
「うん、番外編という名の異次元の話です、多分」
新年あけましておめでとうございます。
昨年中は大変お世話になりました。
本年も何卒、ジン達ともども宜しくお願い致します。
次回投稿予定:2021/1/1(1:00)本編