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悪い奴は誰?  作者: じいちゃんっ子
第1章 帰還・転移編
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元聖女 川上愛花

 光が収まると暗闇の中にいた。

 どうやら私は戻って来たらしい。


(夜目(ナイトアイ))


 心の中で魔法を唱えた。

 忽ち目の前が明るく浮かび上がる。

 正確には私の視界が開いただけで、周りは真っ暗なのだが。


 この世界でも魔法は使えるって事か。

 女神の意図は分からないが、折角の力なので、ありがたく使わせて貰おう。


 それより今の状況だ。

 確か照明器具を取りに倉庫に来た筈だ。

 素早くお目当ての物を棚から取り、外に出ようとする。


「畜生女神の奴、勇者の俺になんて真似を!」


 暗闇で声がする。

 決して忘れる事の無い声に怒りが沸き上がる。


 ...殺したい。

 あらゆる魔法で苦痛を与え、最後にこの世から髪1本残さず消し去りてやりたい。

 殺意を必死で堪えるが我慢が出来ない。

 右手をクズに向けた。


「おい、そこに居るのか?」


 その時誰かの声がした。

 確かクラスメートの田中君だ。

 その声を聞いた私は右手を下ろす。

 今殺したら殺人犯になってしまう。

 誰にも知られず殺せる自信はあるが、殺す時はミザリーと一緒と決めている。

 私はバカから離れて1人倉庫を出た。


「どう愛花、見つかった?」


 2年振りに会うクラスメート達、懐かしさで胸が一杯になる。


「どうしたの?」


 涙ぐむ私に友達は心配そうに集まってきた。


「埃っぽかったの、大丈夫よ」


 なんとか冷静に振る舞おうとする、でも声ご上ずってしまった。


 その時倉庫の扉が再び開く。

 バカ(ナツキ)が私を見て絶句している。

 私は平然を装う。


「あら遅かったのね」


「ひ、久し振りだなアイカ...」


 バカは警戒しながら手を上げた。

 何の真似だろう、魔法でも使うつもりか?

 余りの滑稽さに笑いを禁じ得ない。


「何よ笠井君、呼び捨て?で何が久し振りなの?5分前まで倉庫に居たでしょ?」


「は?」


 私の言葉にバカは安堵の溜め息を漏らした。

 憎らしい、早く殺したい。

 ニヤつくバカの隣をすり抜けた。


『必ず殺す』


 すれ違いざま魔力が少しでもあれば聞き取れる小さな声で言った。


「川上さん何か言った?」


 やはりバカに魔力は無い。


「いいえ」


 いつでもバカは殺せる。

 早くミザリーとアルトを見つけなければ。

 私はミザリー達を見つけ出す事に全力を尽くすのを決めた。



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