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悪い奴は誰?  作者: じいちゃんっ子
プロローグ・異世界編
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剣姫・ミザリー

 

 凄まじい叫び声を魔王が上げた。

 特に何も感じる事無く、消え去る魔王と崩れ落ちるアルトを見ていた。


「畜生!!世界征服が!俺のハーレムが!」


 私の横にいた御主人様が叫んだ。


「大丈夫です。私はナツキ様と共に...」


 私は御主人様が命じていた通りの行動を取る。


「があ!!」


 次の瞬間、御主人様の体が光り輝く。

 その姿が消え失せると私は意識を失った。


「ん?私は一体?」


 どれくらい経ったのか、痛む頭を抑えて立ち上がる。


「え?え?」


 頭の中に先程迄の記憶が甦る。


 私はナツキの命令でアルトを裏切り唇を、体を許した。


 絶望するアルトを嘲笑い...


 最後にアルトを刺した...


 私は叫んだ、ただ叫び続けた。


 私はアルトを愛していた!

 アルトしか愛していなかったはずだ!

 しかし記憶の最後の方にナツキを慕う気持ちが少し芽生えていた。


 あれだけ圧倒的な強さを誇る勇者だ。

 そんな男に言い寄られたら『剣姫』のスキルを持つ私が嫌な気持ちになる訳が無かった。


 だからと言ってアルトを裏切った自分の行動が信じられない。

 地面を転げ廻り、穢れてしまった自分の体を掻き毟る。

 唇や首筋、胸や陰部、あの(ナツキ)に愛撫された所から血が流れるが穢れが落ちた気にはならなかった。


「ん?」


 気がつくと私の前に1人の女性が膝の上に男性を抱えて笑顔で何か喋っている。

 女性の廻りには光りが降り注いでいた。


「あの光はさっきのナツキと同じ..」


 よろめきながら女性に近づく。

 そして抱えていた人を見た瞬間、心臓が抉り取られた錯覚に陥いった。


「アルト...」


「ミザリー?」


 私の声に振り返ったのは聖女アイカ。

 魔王を倒す為に勇者と共に召喚された異世界人。

 どうしてアイカが私のアルトを抱き抱えてるの?


「どういう事?一体何が?」


 更に近づくと、アイカはアルトを力強く抱き締めた。


「触らないで!」


「アルトを渡しなさい!!」


 アイカからアルトを強引に奪い返す。

 血まみれだが『剣姫』のスキルは伊達じゃない。

 アルトは既に冷たく、体は硬直していた。


「アイカ、あなた聖女でしょ!?

 何故アルトを助けないの!?」


 私は叫んだ。早くしないとアイカもナツキと同じ様に消えてしまう。

 そうなったら蘇生魔法を使える人は世界から居なくなる。


「お前が殺したんだ!」


 アイカ泣きながら叫んだ。

 血の出る様なアイカの叫び声だった。


「...私が殺した?」


「そうよ、あなたの刺した傷でアルトは助からない致命傷を負った。

 それでもアルトは魔王を倒す為に魔法を」


「魔法?」


 アルトは魔法を使えなかった。

 だが凄まじい努力で剣を極め剣士の称号を貰い勇者パーティーに入ったんだ。

 神託で『剣姫』のスキルを得て勇者パーティーに入った私とは違う。


「どういう事よ?

 アルトは魔法は使えなかったはず」


「私にも分からない。

 でも魔王を消し去る時に使ったの『死滅魔法』を」


「死滅魔法?」


 聞きなれない言葉に首を傾げた。


「死滅魔法は暗黒魔法の一種、これを使うと永遠に生き返らない。

 魂の救済も無く暗黒を彷徨い続ける...」


「...そんな」


 アイカの言葉に絶望する。

 魂の救済さえあればアルトの魂は転生出来る。

 しかし暗黒世界に落ちた魂は転生は不可能だ。


 それが永遠に続く?

 もういくら転生を繰り返しても2度とアルトと会えない事を知った。


『ミザリー、俺が守ってやるからな!』

 アルトが小さい頃から私に言い続けてくれた言葉が甦る。

 そんなアルトを私は裏切った、

 私がアルトを殺した、この手で...


 アルトをアイカに手渡す。

 少し離れた場所に座り、剣を自分の心臓に押し当てた。


 聖剣で死ねば私の魂も暗黒世界に行けるかも、そしてアルトの魂と私の魂が会えるかも...


「聖剣はもう力を失ってますよ」


 後ろからアイカの冷めた声が聞こえた。


「え?」


「聖剣は魔王を倒す為に作られた剣。

 魔王が死んだ今聖剣はこの世に存在しません。

 それはただのガラクタです。

 詫びながら死んで、生まれ変わって下さい。

 もうアルトには二度と会えませんが、次は人を裏切らない真人間になれたら良いですね。

 さあどうぞ」


 容赦ないアイカの言葉が私の心を抉った。


「じゃあ、どうしたら良いのよ?」


「知らないわよ!」


 私達が泣き叫んでいると目の前に1人の女性が現れた。


「女神...」


 アイカは女性を見ながら呟いた。


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