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悪い奴は誰?  作者: じいちゃんっ子
第4章 変わりゆく日々編
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雫は悩み続ける。

「まだまだね」


深夜、1人リビングで手に集めた魔力を確認してタメ息。

こんな魔力では思った通りに行かないのは明確。

やはりこの身体では魔力の回復は儘ならない。

所詮は人間の身体、女神である私の器には弱すぎる。


「このままって訳にはいかない」


焦りが募る。

この調子ではギリギリになってしまうかもしれない、アルト達が亡くなるまでの時間と、私の魔力回復のタイミングが。


今アルト達は幸せな生活を送っている。

愛花達は大学生に、私も教師を辞め、皆が通う大学講師の職を得た。

アルトを中心とする私達、なんて充足された日々なんだろう。


しかし始まりがあれば、終わりもある。

気づけばこの世界に転移して3年ちょっと、人の一生は長くて100年。

アルト達が亡くなるまで後70年位か、女神の私からすれば一瞬の光、まばたきの様な物。


これ程悩むなんて、私らしくない。

元の世界では全てを(つかさど)っていた私からしてみれば愛花や霞、杏の事など取るに足らない事なのに。


『何とかしたい』

私達が死んだ後、愛花の魂はこの世界に残る。

これは決定事項。

そしてまた生まれ変わるのだ、この世界で新しい人間として。


問題はアルト(有人)(ミザリー)そして...


(魔王)よね」


アルト達が死んだら3人(有人、霞、杏)の魂を持って異世界に戻り、時間を巻き戻す。


魔王は強い。

特にツゥ・ブアーンは私の知る魔王の中でも規格外、現地の人々だけでは倒せない。

だから前回、異世界から愛花と...


「誰だったかな?」


とにかく勇者と聖女を召喚しなくては勝てないと踏んだのだ。

結果、私は失敗した。

魔王討伐では無い、勇者の選択にだ。


何も考えて無かった訳では無い。

しかし私は勇者に傀儡のスキルを与えてしまい、ミザリーはアルトを裏切る結果を招いてしまった。


考えているのはツゥ・ブアーンが倒された直後に時間を戻す事。


「一か八かだけどね」


魔王が倒されたら、その時点より前に時間を戻す事は出来ない。

魔王とは世界を変える存在。

女神の私が出来るのは神託を与え、人が滅ぼされるのを防ぐ手助けをする事。


私がやろうとしているのは魔王ツゥ・ブアーン()が倒された直後に3つ魂をこの世界の物と入れ換える事。


一つの世界に二つの魂は存在出来ない。

倒されたツゥブアーンとアルト。

そしてミザリーの魂は消滅し、杏と有人、霞の魂と入れ替わるだろう。


「暗黒世界から杏と有人、同時に救いだす」

前回は見つけるのに手間取ったが、次回は直ぐに見つける事が出来る筈。

2人の魂は私にとって掛け替えの無い大切な物なのだから。

うまく出来るかは分からない。

だけどやるしかないのだ。


「そして杏の転生だ....」


だだの転生では無い、人間に転生させる。

魔物から人間への転生。

それは禁忌、神への冒涜。

私は女神の力を奪われて上級神に天界で幽閉されるだろう。


何年か?100年位?

いや1000年は覚悟した方がいいわね。

でもやる。

それが私の出来る償いなんだから。


「...霞」


上手く生まれ変わったら、アルトの傍にツゥ・ブアーンも居るよ。

ミザリー頑張ってね。

3人の行く末をこの目で見れないのは残念だけど。


「...せめて有人の子供を」


馬鹿な事を口走る。

しかし最近は抑えられなくなってきた。

この世界に私が居た、そして恋をして、子供を残した。そんな証しが欲しい。


「...シルコゥ様」


不意に扉が開き、思い詰めた1人の女性が部屋に入って来た。


「霞、どうしたの?」


スウェットの上下に身を包んだ霞。

こんな夜更け(午前2時)に危ないじゃない。

まあ彼女なら大丈夫か、元剣姫だし。


「お願いがあります」


「お願い?」


真剣な眼差し、これは真摯に聞かなくては。

何しろ杏と愛花に続いてだ。


「...はい」


霞は俯いて、呼吸を整えている。

一体何を言うつもりなの?


「...胸」


「胸?」


胸とは何だ?胸が苦しいのか?悩みが深そうだ。


「胸を大きくして下さい....」


「は?」


真っ赤な顔の霞。

その訳を聞いて心が解れて行くのを感じる私だった。


霞の願い?

もちろん断りました。

そんな事に貴重な魔力は使えませんから。

愛花に頼みなさい。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 女神や魔王も含めた複雑な人間関係がどうなっていくのかやっぱり気になります。 [一言] 更新本当にありがとうございます。 お忙しいことと思いますが、無理なさらずに執筆なさってください。
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