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悪い奴は誰?  作者: じいちゃんっ子
第4章 変わりゆく日々編
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霞は考える。


日課としている朝の素振りを終え、シャワーを浴びる。

ろくに筋肉が無かったこの体も1年が過ぎた今、ようやく(さま)になってきた。


鏡に映る自分の姿。

瑞々しい肌、少し垂れた瞳...小振りな乳房。


「もう少しどうにかならないのか?」


自然と溜め息が出る。

向こう(異世界)ではこの倍は有ったのに、あらゆる努力を重ねたが成長の兆しすらみせない。


「私は何を考えてる...」


馬鹿な事を、誰に見せる訳でも無いのに。

洗面所に水を貯め、頭から突っ込む。

冷たい水で煩悩を振り払おうとしたが無駄だった。


「おはよう愛花」


「おはよう霞」


駅でいつもの時間に待ち合わせ、ここで私達は人を待つ。

最愛の人、決して叶わない、自らの過ちで殺してしまったあの人を。


「どうしたの?」


「いや別に」


私の視線に愛花が首を傾げる。

いかん、どこを()を見ているんだ?


「おはよう愛花、岬さん」


「おはよう愛花ちゃん、霞ちゃん!」


改札の向こうから聞こえる声、愛しいあの人の声。


「おはよう有人、杏ちゃん」


愛花は弾ける様に有人へ駆け出し、素早く有人に腕を絡ませた。

杏は仕方ないといった顔で愛花を見ている。

嫉妬をしてはいけない、だが胸に冷たい物を感じてしまう。


「霞、どうしたの?」


「なんでもない、おはよう杏、有人」


笑おうとするが笑顔が歪む、上手く笑えない。

100年以上も魂が引っ付いていたのに。杏は嫉妬しないのか?


「ほら、私達も行こ!」


先を歩く有人と愛花に続き、杏は私の腕に自分の腕を絡ませる。

そんな事をして欲しい訳では...


「......」


杏の豊かな胸が私の肘に埋まる。

一体何だ、この気持ちは?


「いよいよ来年卒業か~」


愛花が呟く。

私達は高校3年、後半年で高校を出なくてはいけない。

この世界に来て約1年半、なんて短いんだ。


「でも一緒の大学に行くもんね」


杏は嬉しそうに笑う。

私と杏は有人と愛花の大学に行く事が決まっている。

まだ試験をしてないが鶴野雫(女神シルコゥ様)が何とかしてくれるそうだ。

些かズルをしている気がする。


「高校教師の雫ともお別れだね」


そう言う愛花だが、雫がそうそう有人を諦めるだうか?


「愛花、実はね...」


有人が言いにくそうに口ごもる。


「何?まさか...」


立ち止まる愛花、私の足も止まった。


「お姉ちゃん私達の大学の講師になるって」


「は?」


「へ?」


私と愛花は呆気に取られる。

そりゃ、なろうと思えばなれるだろうけど。


「まあ、仕方ないよね」


あっさり愛花は受け入れたな、複雑な気持ちだろうに。


「霞もね」


「うん?」


何故だ?私は受け入れてるぞ?


「こうして電車通学を許してくれたんだし」


「そうだな」


そう、今こうして幸せな時間を過ごせてるのは雫のお陰だ。

それ以上望むのは贅沢な筈...贅沢な....


「霞ちゃん」


「何だ?」


「我慢しないで!」


「わ!?」


杏は私を抱き締める。

暖かい杏の身体に優しさが伝わる、杏は元魔王なのに。

それにしても杏の胸が、


「何なら妾の秘術を...」


「秘術?」


何だそれは?

それに杏のこの(オーラ)、どこかで感じた事が、


「杏!」


「すまん愛花、冗談じゃ」


愛花の一喝に杏は私を離して笑った。

一体何なのだ?


「もう、霞は私の物なんだから」


「うわ!」


今度は愛花か、一体何なのだ!

私は誰の物でもないぞ!



誰の物でも....

有人(アルト)の物だったのに...

本当はアルトの腕を私も取りたいのに...


「ごめんねミザリー」


「...愛花」


愛花は小さく魔力を込め呟く、有人に聞こえない為に。

杏は気づいて有人の腕を取り、少し離れてくれた。


「いいよアイカ」


「...ミザリー」


「その気持ちだけで十分だから」


「ありがとう、でも無理しないでね」


アイカは更に強く私を抱き締め...

胸が愛花、胸!!


「ごめんなさい」


窒息寸前だった。

今度雫に胸の事を相談してみよう、これ位は許されるかな?

そう考えられる自分が少し嬉しかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  更新ありがとうございます。  夢ではないですよね……  好きではないはずなのに、どうしても気になるミザリーのエピソードから再開で、さらに、嬉しさが増しています。  無理なさらずに、更新な…
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