なろう小説(異世界、ハーレム、無双系)がいまいち合わないというあなたは、『Future in an oblong box』という作品を読んでから発言すべきだ
『Future in an oblong box』は、なろう系に飽きたあなたの脳みそをガツンと冷えた氷でかき混ぜる、とってもクールなお話だ。
なろう系っぽい要素を盛り込みつつ、今までのなろう系とは違う角度の面白さ、鋭さを持っている。
いい意味で期待を裏切り、なろう系小説の新しい可能性を見せてくれることだろう。
このエッセイの最後にリンクが貼ってある。
あなたはこの作品を読んでもいいし、読まなくてもいい。一話目で投げ出してもいいし、批判してもいい。
最近のエッセイランキングを見ていると、なろう系への批判というか、異世界ファンタジーに対しての疑問とかなんだそりゃ的な話が多かったんですよね。
で、「この流れってもしかして、作品を紹介するいいタイミングなんじゃないの?」と思って、今回このエッセイを書いてみたわけです。
……大丈夫。別に釣りや宣伝だけではなく、なろう系の疑問に切り込もうという真面目なエッセイさ。
さて『Future in an oblong box』(長いので以下『F』)は、私が初めて書いた小説です。
なろう系と呼ばれる小説をいくつか読んでみて、「これって違うんじゃない?」「これはないだろ」と思ったところについて、どうすれば整合性が取れるかということを考えて書きました。
いわば、なろう系小説をメタったソリューションってやつです。
ということで、このエッセイのタイトルは大げさかもしれないけど、嘘ではないのです。
じゃそのあたりを詳しく見ていきましょうか。
あ、ネタバレあるから注意してね?
◇◇◇◇◇◇
私がこのサイトに来て最初に気になったことは、ジャンルが「転生」「転移」「VRゲーム」の三つに固まりすぎているということです。
いきなり最大多数にケンカを売ってしまいました。いいのです、敵は多くて強いほうが燃えてきます。
ここでいうVRゲームというのは、ゲーム内に閉じ込められるパターン(有名どころだとオーバーロードでしょうか)ですね。謎の異世界に閉じ込められる、何らかの不思議パワーが必要なやつらです。
そのへんうまく設定に取り入れられるなら良いのですが、当然のように安易に「転生しました」で終わらせるのは、私はどうも引っかかります。
その点、SAOやクリス・クロスあたりは、現実とヴァーチャルとの折り合いをうまくつけていましたね。
『F』はVRゲームというタグをつけています。実際、この作品は「用意されたゲーム世界に入り込む」というお話です。VRゲームというくくりが一番近いと思って付けたのですが、仮想現実ではありません。
これは遠い未来のお話です。宇宙に飛び出した人類は、適当な惑星を見付けて、娯楽用に改造するのです。
USJの規模を、惑星単位まで広げたものと思ってください。もちろんツアー代金もかかります。高額です。
この設定を基本に置いたことで、いくつかの疑問がすんなり解決していきます。
まず、言葉。”なぜ異世界で言葉が通じるの問題”ですね。
舞台となる惑星では、別の言語が使われています。そのままでは通じません。主人公は現地の言葉を勉強してから行きました。正攻法ですね。
ちなみに翻訳機もあります。オプション料金を取られますけどね。
次に、ゲームっぽい世界が都合よく広がっていること。
企業の人たちが頑張って用意してくれました。未来でも”がばがば中世ヨーロッパ風ファンタジー”は大人気のようです。
遺伝子組み換えモンスターを用意して、現地の人を使った村や城を用意して。ダンジョンも置いときますね。冒険者ギルドも作りましょうか。
そんな感じ。
そして、主人公無双状態。まあ、いつものやつですね。
娯楽ですから、冒険者役の皆さんには楽しんでもらわなければなりません。当然、一般の(現地の)冒険者とは段違いの強さも必要です。
惑星外から来た冒険者は、パワードスーツという科学のチート技を使って、その星のモンスター相手に無双するのです。
さて、ここで無双とハーレムについてもう少し。
ハーレム状態がダメとは言いませんが、叩かれる要素であることも確かです。
人気シチュエーションだからと、皆が安易に連発してしまったせいで、飽きられてしまったのでしょうか?
他にも多くの小説でかぶっている設定、シチュエーションは多々あります。
魔法使いの主人公、女キャラの連発、そして好かれる。王様と仲良くなって直接頼みごとをされる。お前の普通は普通じゃない、などなど。
『F』は、このへんのよく見る要素をほとんど排除しています。主人公は剣士、キャラは少な目、地味目な戦闘と冒険。
ああ、地味といっても、面白さや緊迫感には気を使っていますからね。
ついでにストーリーのほうも、エピソードをホットケーキみたいに積み上げたような構成ではありません。
一本の芯がちゃんとあり、キャラを追うのではなく、きちんとストーリーを追えるようにしてあります。
どうでしょうか、なろう系ソムリエの皆さん。
皆さんの苦手な要素を排除しつつ、なろう系の味は残したお話です。きっと面白いに違いありません。
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