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第四話

ブクマ50件いきました! 皆様のお陰です。ありがとう存じます。

 あの時の私は、いつも楽しくなかった。誰かを傷付けて、私も傷付いていた。自分が悪いのに、泣いてばかりいて、自分だけが不幸だと思っていた。

 けれど、そんな私はもういない。私は変わったんだ。私は、私を不幸だと思わない。

 自分に誇りを持っているから――――………。




 ◇◇◇◇◇




「……りん! ……香凜!」


 誰かが私の名前を呼んでいる。前世の私を……。声のする方に手を延ばしてみるけど、全然届かなくて、私は少し泣きそうになる。





「……アリーヤ様!!」


 気が付くと、私の手はマーティン様に握られていた。どうやら、夢うつつになっていたようだ。私はマーティン様に手を離して貰って、なんとなく顔に手をやる。

 すると、顔は涙で濡れていた。

 どうやらここは、私の屋敷の、自室みたいだ。


「……マーティン様、ご心配を掛けて申し訳ありません。えっと、何があったんですか?」


 私がマーティン様の方をアメジスト色の瞳で見て言うと、マーティン様は、文字通り顔を曇らせた。

 ……何か言いにくいことでもあったのかしら?


「……実は、誰かがアリーヤ様に攻撃魔法を仕掛けたのです。それは、上位黒魔法でとても強力なものでした。」


 ……え、待って。何が強力なの? 私、何処も怪我して無いわよ?


「攻撃魔法と言っても、相手を怪我させるものではありません。」


 ……凄いわね。私が思ったことを言ってくれたわ。

 でも、相手を怪我させない攻撃魔法ってなんだろう。精神を破壊するものとか……他に何があるのだろうか。


「それは、強力な睡眠魔法でした。」


 ……え!? 睡眠!? それって攻撃魔法に入るの?

 私が首を傾げていると、マーティン様は補足してくれた。


「何故睡眠魔法が攻撃魔法かと言われているかと言うと、相手が眠った隙に攻撃をするからです。それと、一応言いますが、アリーヤ様は、睡眠魔法をかけられただけでなく、攻撃もされてましたよ。」


 ……えぇ、嘘!? いつ?

 私が混乱したのを見てか、マーティン様はまた説明した。


「忘れたのですか? アリーヤ様は気絶する前、何かに弾き飛ばされ、床に倒れたじゃないですか。」


「え? あぁ、あれね。」


 すっかり忘れてた、という感じに言うとマーティン様は呆れたように溜め息を突いた。

 ……うぅ、だって、仕方がないわよ。

 なんて、内心言い訳していると、ドアがノックされた。その音を聞いたマーティン様は、ドアに素早く視線を向ける。

 ……そんな警戒しなくても大丈夫だと思うけど。

 そんなことを思いながら私は返事をする。


「はい、どうぞ。」


 ガチャリとした音とともに入って来たのは、ヴィクトリア様だった。


「アリーヤ様、気分は如何(いかが)ですか? 授業中に攻撃魔法を仕掛けられたと伺いましたが……。」


「えぇ、大丈夫です。心配して下さってありがとう存じます。」


 私はついついアッシュブロンドの髪を弄りながら言ってしまう。だが、ヴィクトリア様はそんなことは全然気にしていなく、ただ良かった、とだけ呟いた。思わず、私はヴィクトリア様の顔をまじまじと見てしまう。

 ……何でそんなに私のことを心配できるのだろう。あんなに嫌がらせをしたのに。……それより、そろそろ一人になりたいな。

 其処で私は、一人芝居をすることにした。


「こほこほっ。」


 さりげなく咳をした。その瞬間、二人は信じられないものを見た、というような顔をした。


「アリーヤ様!! 大丈夫ですか!?」


「え? えぇ、だ、大丈夫よ?」


 ヴィクトリア様の剣幕に驚きながらも答えると、ヴィクトリア様は心底安心したという表情をした。

 ……何がいけなかったのかしら。

 セリーヌがいれば、二人に帰ってもらうようにお願いしたのに。そう思っているとセリーヌが本当にやって来た。

 ……セリーヌ、凄いわね。エスパーなのかしら?


「ねぇ、セリーヌ。私、少し疲れてしまったわ。」


 微笑んで言う私。すると、セリーヌは何か察したようで、ピンクスピネルの目を細めて言った。


「分かりました。マーティン様、ヴィクトリア様、アリーヤ様はお疲れのようです。お帰り願えませんでしょうか?」


 最後には微笑みも忘れずに。

 ……おおぅ、流石だ。

 マーティン様とヴィクトリア様は一度、私の方を見た。


「申し訳ありません。私としたことが、アリーヤ様の体調に気付けなくて。それでは、失礼致します。」


「わたくしも失礼させて頂きます。今日は本当にありがとう存じます。」


 二人は、お別れの言葉を言って帰って行った。チラッとセリーヌの方を見ると、セリーヌはドアの方をじっと見つめている。

 ……それより、この後何をしようかしら? 自室から出来る限り出たくないのだけれど……。そうだわ! このままずっと、引きこもりライフを送りましょう! 本を読んだり、色々自由にやるのよ。



 そう決意した私は、いそいそとベッドに潜り込んだのだった。

やっと屋敷に戻りましたね。(笑)どんなお話になるかは私にも分かりませんが、次回は屋敷でのお話です。

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