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第十九話

大変お待たせ致しました! 遅れてすみません!(‐人‐)

 あの時の私は、『愛情』と『友情』を吐き間違えていたんだ。あの人に『愛している』と言われて、私も『好き』だと勘違いしていたんだ。

 貴方には沢山心配を掛けて、沢山傷付けた。でも、私は貴方の元を放れたことを今でも後悔していないよ。




 ◇◇◇◇◇




 二人が隣国へ行ってから大分経った。時計の針は夜中の12時を回ろうとしていた。その時、ガチャバタバタと玄関から音がした。まさか、と思って自室のドアを開けようとした刹那、ドアが勝手に開いた。


「ハル、エドマンド様!」


 私は二人の元へ駆け寄る。するとエドマンド様が私を抱き上げる。


「アリーヤ、ただいま戻ったぞ」


「お帰りなさいませ、エドマンド様」


 私達は軽く唇を合わせる。毎回唇を合わせる度に思うけれど、どう反応すれば良いのか分からないのよね……。前世の私は恋愛経験などあまり無かったし。


「エドマンド様、アリーヤ様に逢えなくて寂しかったのは分かりますけどアリーヤ様の魔力の塊を溶かすのが先ですわ」


 ヴィクトリア様が私の腕を引っ張ってエドマンド様から私を降ろす。おそるおそるエドマンド様の顔を見ると、少しムッとしていた。


「エドマンド様、取り敢えずケフェティの実を飲めるように調理しましょう」


「……あぁ」


 ハルはヴィクトリア様をフォローする。というかなんかエドマンド様とハル、仲良くなってない? まぁ、仲が良いのはいいことだ。うん。


「ハル、わたくしも手伝いますわ」


 すかさずヴィクトリア様が手伝いを名乗りあげる。それじゃあ、エドマンド様と一緒……? え、結構気不味いんですけど。

 私があたふたしているうちに、ハルとヴィクトリア様はケフェティの実を調理しに行った。あぁ、待ってよぉ……。


「アリーヤ」


 エドマンド様が私の名を呼ぶ。エドマンド様は椅子に座っており、手を広げていた。おそらく、こちらに来いということだろう。……分かりました、行きます。


 目の前につくと、エドマンド様は私の腰を抱いてフワリと持ち上げる。気が付くと、私はエドマンド様の膝の上に座っていた。

 うわっこの体勢恥ず……。


「エ、エドマンド様……」


 私がエドマンド様の名前を呼ぶと、エドマンド様の顔が近付いてきた。思わず顔をスッと背けてしまう。そして、顔を下に向けた。


「アリーヤ……?」


 顔を上げられない。エドマンド様の困惑する声が聞こえる。


「あ……も、申し訳……」


「私が悪かった。そなたは謝らなくて良い」


 そう言って頬笑むエドマンド様は少し悲しそうだった。あの時、私は何故拒んだのだろうか。自分でも分からない。だけどあの時、一瞬だけハルの顔が思い浮かんだのだ。そして気が付くと、私はエドマンド様の口づけを拒んでいたのだ。


 こんな私がエドマンド様のフィアンセで良いのだろうか。


「エドマンド様、私……」


「アリーヤ様、エドマンド様出来たよ!」


 大きな音と共に放たれた元気な声。ハルだ。後ろからはヴィクトリア様が着いてきていた。

 なんかお似合いだな……。そう思ったのと同時に胸がチクッとした。なんでだろ。


「アリーヤ様、これ飲んで」


「え、えぇ」


 真剣な眼差しで私を見つめるハル。今度は何故か胸がドキッとした。……気のせい、気のせい。鳴るな、私の胸。いくら貧乳じゃないからってでしゃばるな。

 私はハルからグラスを受け取って一気に飲み下す。


「うげっ……」


 なんだ、これは。最初は甘くて美味しかったが、途中から辛くて不味くなった。本当に効くのかしら、これ。


「あっ……」


 その時、心臓の周りのものが溶けるような感覚がした。魔力が溶けたのだろうか。


「エドマンド様、ごめん。アリーヤ様、手をちょっと貸して」


 ハルはエドマンド様に謝ってから手を差し出してきた。多分、手を握れということだろう。私はハルの手をそっと握る。

 それにしても、先程エドマンド様にごめん、と言ったのは何故だろうか。よく考えた末、私はあることに思い立った。


 私はエドマンド様のフィアンセ。フィアンセがいる私が他の殿方といるのはもっての他、手を握るのは尚更駄目だ。だからハルはエドマンド様に断りを入れたのだ。


「……やっぱりアリーヤ様の魔力が増えている」


「え?」


 私は首を傾げる。それはどう言うことだろうか。


「それは、元あった魔力が解放されたということでしょうか?」


 ヴィクトリア様が顎に手を添え、瞳を下に落とす。……か、可愛い。同性の私でも見惚れるわ。と、話が脱線したわね。

 ええと、ごほん。なんの話だったかしら?


「うん。でも魔力の流れに異常が無いか確認しただけだから大丈夫だよ」


 そう言ってフワリと頬笑むハル。


 この時、私は本当に幸せだった。健康な体になって、大切な人もいて。


 だから、だからまさかあんなことになるなんて微塵も思わなかった。皆の表情が、能面のように剥がれ落ちるのをただただ、見ていることしか出来なかった。

やっと『ケフェティの実』編、終わりました。このあとは少しほのぼのを入れて、シリアスな感じの書きたいと思います。これからも引きこもりをよろしくお願いします!

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