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第十六話

最初と最後はアリーヤ視点で、真ん中はハル視点になっています。

 ねぇ、エドマンド様、ハル。早く帰ってきて。寂しいよ……。




 ◇◇◇◇◇




 僕は隣国に来ていた。アリーヤ様の命を助ける為に。チラリと横を見ると、エドマンド様は少し息を詰めて真っ直ぐ前を見据えている。君が本気で好きになった男。僕には勝ち目が無い。けれど、君の役に立ちたいんだ。だから、君の為なら僕はどんなことでもするよ。例え、危険な目にあっても……。


「……ハ、ハル。ケフェティの実はどこにあるのだ?」


 少し疲れた感じで言うエドマンド様。まぁ、無理も無いだろう。アリーヤ様の屋敷を出たのは夕方4時くらい。そこから休まずにここまで来たのだから。多分、夜中の12時を回っているだろう。

 エドマンド様のことも考えると、少し休んだ方が良いだろう。だが、ここは王都では無い。王都に着くには後半日くらい掛かるだろう。エドマンド様には悪いが、ここで野宿するしか無い。


「……エドマンド様、今日はここで野宿しましょう。」


「っ!? そなた何を考えているのだ? アリーヤの命が……」


 貴方にアリーヤ様の体の何が分かるんだ。僕は思わずエドマンド様の言葉を遮る。


「エドマンド様、物騒なことを言わないで下さい。アリーヤ様は大丈夫です。……取り敢えず今日はもう寝ましょう。」


 僕はそう言うとさっさと寝床の準備をする。エドマンド様に寝床を進めて僕も横になる。本来なら、どちらか寝ている間はもう一人が見張りをしなければならないのだが、今日は見張りをしなくても良いだろう。僕もエドマンド様もかなり疲れているのだ。それに、例え夜盗が来ても僕達なら十分やれるだろう。僕はそう思って眠りについたのだった。




 ◇◇◇◇◇




 ……アリーヤ様、アリーヤ様。何処へ行くの。行かないで。そっちへ行ったら駄目だ。そっちへ行ったら君を助けられない。

 僕は必死でアリーヤ様を止めたんだ。じゃないと、アリーヤ様を助けられない気がして。それなのに、それなのに…………


 アリーヤ様は一度も後ろを振り返らずに行ってしまったんだ。


 僕はそれでもアリーヤ様の名前を叫び続けた。



「……アリーヤ様つ!!」


 ガバッと起き上がって周囲を見回す。辺りはまだ少し薄暗くて、横を見るとエドマンド様がスースーと寝息を立てていた。僕は思わずホッとする。良かった。僕の上げた大声でエドマンド様が起きなくて。

 腕時計を見ると5時くらいだった。大体、四時間くらいしか眠れてない。けどこれ以上は寝れないな。

 僕は取り敢えず()()をする。エドマンド様が起きたら朝食はどうしようか。バカにしているわけでは無いが、王族であるエドマンド様に庶民が、平民が食べるような固いパンが食べれるのだろうか。


 まぁ、そんなことはどうでも良い。一番大事なのはどうやってケフェティの実を取るかだ。『実』と言ってる位だから森にあるようなイメージだが、ケフェティの実は実は王都にある。王都の奥深く底に……。


 だが、どうやって採れば良いのか分からない。正確な場所も分からない。つまり、右も左も分からない状態だと言うことだ。だから、王都に着いたらまず図書館に寄る。其処で、ケフェティの実について詳しく調べてケフェティの実を採ろう。


「……ハルか?」


 エドマンド様の声で思考が途切れる。横を見ると、エドマンド様が寝ぼけ眼を擦りながら此方を見ていた。


「……エドマンド様、おはようございます。朝食なんですが、固いパンで我慢して頂けると嬉しいです。」


 無表情で淡々と告げる僕。すると、エドマンド様は目をパチパチとさせた。……何かおかしなことを言ったのだろうか。


「……我慢? そなた、私を何だと思っているのだ? 固いパンも食べ物じゃないか。私は全然食べれるぞ。」


 驚いた。まさか、王族であるエドマンド様がそんなことを言うなんて思わなかったから。少し見直した。

 僕達は例の固いパンを黙々と食べる。お世辞にも美味しいとは言えないが、兎に角食べた。


「朝食もとったことですし、そろそろ王都に行きましょう」


「……あぁ!」


 こうして僕達はいよいよ王都へと向かうのであった。




 ◇◇◇◇◇




 ねぇエドマンド様、ハル。貴方達は今、何をしていますか? 二人が居なくなってから一日が経ちました。少し寂しいけど、二人が帰ってくるのを私は待ってるよ。




 ◇◇◇◇◇




 ここは乙女ゲームの世界。だけど乙女ゲームの世界とは少し違う。ヒロインであるヴィクトリア様の性格や攻略対象であるエドマンド様達の性格も皆ゲームとは違う。何より、『悪役令嬢』である私の性格も全然違う。だから、ここは乙女ゲームの世界とは少し違う。『私達の世界』なんだ。

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