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序文
本日は、序文、一話を同時に掲載しております。
今より六百年の昔、水の精霊王フェリアスの加護の元、ファルデリック王国興る。
初代国王イファンは、水の精霊王と繋がり、類い稀なる叡智を授かる。
国、大いに栄えたり。
その後――平穏に幾十年が過ぎ、ついにイファン王没する時が訪れる。
イファンは、残る全ての力を用いて、精霊王に最後の祈りを捧ぐ。
ファルデリックの民が精霊王とその力を求める限り、フェリアスの恩恵を未来永劫賜れる様にと。
ファルデリック王国ニ代目国王アネトは、先王の意思を継ぐ者として、永代に渡り、水の精霊王フェリアスを祀るとし、聖都レセタに聖殿を造り、フェリアスを『大いなる存在』として崇め奉る。
――それから後、ファルデリック王国は、ひた直に繁栄への道を歩み続ける。
『ファルデリック王国史』より
―――しかし、いつしか人は、泡沫の栄華に酔いしれ、信心も失い、人徳を疎かにし始める。
未だ密かに『闇』に蠢く、陥穽の存在にも気づかずに…。