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04話 「加護を授かる、そして授ける」

 アインが名前を与えられてから、地の文が少しずつアイン目線に切り替えられていきます。

 違和感があるかもしれませんが、今の作者にはこれが精一杯です。

 どうか温かく見守っていただけると嬉しいです。



 魔力蓄積量――魔力が蓄積している量。

 魔力容量は、魔力が蓄積する限界値。

「で、名前を付けて、付けられたけど、何か変わったか?」


 アインは、アルヴァスに率直な疑問を投げ掛けた。


(むぅぅ。

 変化無いように思えるのだが…………ん?

 アイン、我の魔力容量が半端なく増えているではないか!?

 しかも、謎の称号『最高ベスト相棒バディ』なんてついておるし)


「おお!

 良かったじゃないか!

 で、俺の方は?」


(……。

 我の力の一端を使用出来るようになったぞ。 

 『万物創成之法ルシフェル

 後は、同じく謎の称号がついておる。

 はあぁ……。

 我の唯一の利点が能力なのに、存在価値が…………)


「あはは……。

 でも、相互強化になったってことだな?

 ならよしとしよう!

 取り合えず、ここから出してもらえないか?」


(分かった。 

 ちょっと待っておれ)


 そう言うと、アインの周りには複数の魔方陣が浮かび上がった。

 それらは、パキン、パキン、と音をたてて破壊されていく。

 障壁と同時に。


「うおっ!?」


 障壁が完全に解除されると、アインは落下した。

 重力に操られ、頭から地面に突き刺さる。


「ふぼっ!?」


 顔面から首まで、釘のように地面に飲み込まれた。

 痛いなんてものじゃない。

 目や鼻から、砂が大量に入ってくる恐怖。

 計り知れない。


 必死に蟻地獄のような場所から脱出しようと手を付き、体を揺らし、頭をねじろうとした。

 しかし、それは自身をいたぶるものでしかなかった。


「ひぶっ!

 はひへひへぇぇぇぇぇ!?」


 全体重が、頭のみにかかっているのだ。

 首がもげるような痛みが、彼を襲ったに違いない。

 それで、あることを思い付いた。 

 この機会に、能力を使ってみればよいのだ。

 

「能力ってどう使うんだ?」


 アルヴァスに聞いた。

 どうやら、散々暴れまわったお陰で、穴が少し広がったようだ。

 ちゃんと声が聞こえた。


(そなたの魂を見つめろ。

 そして、自身の体の中にある魔力を一点に集中させよ!

 後は、それを具現化するだけだな)

 

「良く分かんないけどこうか?」


 アインの姿は見えないが、瞑想しているようだ。

 頭に血が上ってきたのか、バタバタし始めたが。


(うむ。

 後は、魔力を集中させよ。

 体を流れる魔力を感じとれ!)


「感じとるか……」


 アインは土の中でゆっくりと目をつぶる。

 そして、魔力を頭に集中させる。

 

「うっがぁぁぁ!」


 頭が内側から破壊されそうな衝撃を、必死に耐える。

 次第に、頭が暖かくなっているのを感じる。


《能力使用…………エラー。

 現在能力を使用することはできません。

 外部からの妨害を受けています。

 『世界之開拓者アモン』による抵抗レジストを実行しますか?》


 頭に集中したからなのか、謎の声が響いた。

 アルヴァスと初めて話した時と同じだ。

 しかしあの時は、最初こそ耳鳴りがして、激痛が走ったが、それからは耳から入ってくるようで自然である。

 今回は、さらに強く頭に響き、直接脳に語りかけてくるようだった。

 ぐあんぐあんと揺れて気持ち悪い。

 それによって、更に頭に負荷がかかった。

 

「しないわけないだろ!?

 早くやってくれぇぇ!」


《では、実行に移します。

 対象を確認…………個体名、カミラ。

 サキュバスの女王と判明。

 能力、『淫乱姫之呪縛サキュバス・スペル』を使用している模様。

 現在、抵抗レジストしていますが、このまま個体名、カミラとの一切の能力の繋がりを遮断しますか?》


「そんな…………だけど…………」


 カミラは、アインにとって、命を狙われているとは言えど、一応はここまで育ててくれた恩人だ。

 それだけに悩んだ。

 ここで勝手に繋がりを切ってもいいのだろうかと。


 他人にすれば、どうでも良いのかもしれない。

 しかし、アインには物心ついたとき、両親がいなかった。

 頼ることが出来たのはカミラだけだった。

 一見理不尽でも。

 それは、虐待に見えても。

 育ててくれた事に変わりはない。


 未だに、カミラが命を狙っている事は信じられないが、それでも覚悟を決めなければいけないのだ。


「頼んだ」


《では、実行に移します。

 

――――『世界之開拓者アモン』の名において、我が縛りを解き放たん。

 光は、天に。

 闇は、地に。

 本来在るべき場所へと還るが良い》


「能力が、意思を持っているのか?

 変だが……まぁ、話し相手が増えたし、良いよな!」


 今、自分の命令で行われている事の詳細をアインは知らない。

 カミラの能力を、喰らい、喰らい、喰らい尽くしている本当の悪魔を。

 能力という皮を被った悪魔を。

 彼らは、主の崇高なる意思に従って生きる、ただの化け物。

 能力名に似合わず、目的のためなら手段は選ばない、化け物。





「いやぁぁぁぁぁぁ!」


 


 カミラのような声の悲鳴が響きわたるが、アインは、それを聞くよしはない。

 何故なら、繋がりを断ってしまったから。


 そしてこの日、一つの機構システムが破壊された。

 一人の能力が破壊されたことによって。

 

 

 

◆◆◆◆



「で、能力は使えるようになったか?」


《はい。

 対象の能力は破壊しました故、これからは自由に能力を行使可能です》

 

「破壊?

 ぶっ壊したのか?

 あちゃー……」


 さらっと危ない事を言ったと思ったら、破壊ですと。

 こりゃ、使い道を考えなければいけないだろう。

 下手すると、自分さえも喰われてしまうかもしれない。

 初めての能力使用は、かなり危険なものとなった。


「取り敢えず、ここから出してくれ」


 そうアインが言うと、アインの周りの砂がまとめて吹き飛ぶ。

 今まで身体が支えられていた物がなくなったので、当然バランスを崩し倒れる。


「お、おわぁぁぁ!?

 痛ってぇ……。

 てか、お前って誰なんだ?」


 これは、素直に知りたいだけだった。

 今まで、心から信用できる仲間という者が存在しなかったのだ。

 それだけに、話す事ができるのは嬉しいのだろう。

 

《私は、『万物創成之法ルシフェル』の核です。

 アイン様の命を実行するだけの、ただの傀儡でございます》


「お、おう、そうなのか……。

 傀儡とは言わんでも、友達には…………なれないか」


《では、実行します…………完了。

 アイン様の命により、友となりました。

 これからは、よりスムーズに目的を実行することが出来ます》


「そういう意味では無いんだがなぁ。

 後、お前にも名前を付けよう!

 名前が無いと不便だしな」


《私には、もったいないお言葉です。

 ですが、ありがたく頂戴致します》


 名前が欲しいのか、欲しくないのか、良く分からない核だった。

 照れるように話していた。

 本当に能力なのだろうか?

 若干の恐怖も感じる。


 名前は……。

 ルシフェル、ルシフェル、ルシフェル……。

 男っぽいから、ルシフェル男。

 ルシフェ男、ルシ男、ルシオ!


「では、能力名からとって、ルシオはどうだ?

 性別は分からないが、多分悪くは無いと思うぞ」


《ああ、力がみなぎってくるようです!

 ここまでとは……。

 配下達も喜んでいるでしょう!》


 先程とは口調が変わった。

 やっぱり自我あるでしょ?

 なんかおかしい。


「配下?

 お前は能力じゃないのか?」


《ええ、そうです。

 私は能力でありながら、実体を持っています。

 名付けをして貰いましたこのルシオは、核となるところ。

 そして、肉体は遠隔操作にて飛ばしております。

 邪魔物を倒した時、幾度か配下になりたいと言う者達がいまして……。

 ということです。

 もし良ければ、肉体はそちらにおいておきましょうか?》


「良いのか?

 宜しく頼むぞ!」


《はい》


 そう聞こえたと同時、暴風が辺りに吹き荒れた。


「うわっ!」


 手で顔を覆い、弾丸のように舞っている砂ぼこりを防ぐ。

 やがて、風が落ち着いた。

 それは、一点に集中したからだった。

 

「ん?」


 それは、徐々に細くなっていき、集束した。

 そこに現れたのは、巨大な羽の生えた、金髪の美形の少年。

 身長はアインと変わらぬほどで、百七十ほど。

 すらりとした体は、モデルのようだ。

 纏っているのは、一枚の布に穴を開けて、それに袖を通したようなもの。

 それでも、裸よりはましだった。


「お初に御目にかかります、ルシオでございます」


「宜しくな!」


 そう快く挨拶をした。


《ですが、こっちの方で話したいです》


「いや、別にどっちでもいいが……」


 癖が強い仲間を増やすことができた。


 ちなみに、


「加護ってついてたりするか?」


《はい。

 なにやら、『破壊者デストロイヤー』という能力が増えたそうで。

 魔力容量も増えた気がしますね。

 さっき、内容はアルヴァスさんに教えてもらいました》


「破壊者とはまた物騒な……。

 てか、アルヴァスて俺以外とも話せるんだな。

 てっきり、俺だけしか話せないのかと思ってたよ」


 アルヴァス、彼も謎が多い龍である。


(そなたが名付けしたから、ファミリーネームも継承されたのだ。

 ファミリーネームが付いてる者とは話せるようだな)


「おわっ、聞いてたのか!?

 てか、そんなの知らないし。

 まぁ、頭のすみにでも置いておこうかな」


 ファミリーネームとは、魂の繋がりを表すようである。

 これから、大事なものとなりそうだ。



◆◆◆◆

????


「何?

 カミラが死んだだと!?

 役立たずめ……。

 これでは、余の天下が崩れてしまうではないか!」


 彼は荒い息を吐き出し、持っていたグラスを握りつぶした。

 周りで待機してる側近らしき者が、破片を片付けようとする。


「余の視界に入るな、ごみくずどもが!」


 彼が指をならすと、砕けた硝子の破片と、側近らしき者が一瞬にして消えた。

 無情にも、彼の能力によってであろうが。

 

「開拓者よ、今に見ておれよ……。

 必ず――――必ず、打ち倒してみせようぞ!」


 開拓者、それはアインのことであろう。

 座っているきらびやかな玉座から立ち上がった。


「この世界は――――――余の世界は、永久に滅ぼさせはせん!」


 手に持っていた杖を掲げ、声高々に宣言した。



 これにより、開拓者であるアインへの。

 進行作戦が開始した。


 感想などを下さると、とても励みになります。

 ブクマなど、毎度ありがとうございます!

 これからも、期待に応えられるように精進し続けます。

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