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ポラディアスの星  作者: 千代乃
二章
13/15

道中①

「それで・・・本当のところ、どうしてミシェル様のお誘いにのられたのですか」

馬車にのりこみ、しばらくしてリジーは口を開いた。

わたしは窓の外を眺めながらとぼけた。

「本当もなにも。せっかくのお誘いをお断りする理由はないもの」

「・・・」

リジーは黙りこんだ。

わたしは彼女に視線を移した。城に来たばかりの彼女は、十三歳になったばかりだっのに、いまや二十歳の女性に成長している。リジーは赤茶けた髪に、同じく赤みがかった茶色い瞳の持ち主で、健康的な、均整のとれた体つきをしている。ずいぶん長いつきあいになるので、彼女に対してはとても親しみがあるのだが、このように二人きりになると、ときどき不安になる。わたしの考えていることや、隠していることは彼女にはお見通しなのかもしれないと。

「・・・少し気になることもあるから、お会いしておこうと思ったの。でも大したことではないのよ。わたしの勘違いかもしれないし」

わたしは沈黙に耐え切れずに口にした。

「そうですか」

リジーは短く返した。わたしに信用されていないと感じたかしら?と不安になるが、これ以上口をひらいたら、すべて正直に話してしまいそうだった。

「そうだわ。叔母様のつぎにね、イザベラのところにもいくでしょう。会うのはとても久しぶりだわ。実のところ、それが一番の目的かもしれないわね」

リジーは私が必死に話題をそらそうとしているのに気付いたのか、しかたがないという風に表情をくずして微笑んだ。

「そうですね。きっと、イザベラ様もお嬢様のことを心待ちにしておりますわ。お二人は、本当の姉妹のように仲良しですものね」

そう言ってふと黙った。

「リジー?」

わたしは声をかけるが、リジーは窓の外に視線を向けて返事をしなかった。

わたしも気が付いた。馬車の速度が落ちている。








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