パラノーマルアクトレス
喫茶マルシアのハヤシライスは、絶品である。
シェフが手ずからフォンドヴォーを作り、デミグラスソースに仕立て上げている。使用される野菜類にこだわりがあるらしく、その味が滲み出たルーは甘みが引き立っているのだ。
オプションでオムハヤシにすることもできる。ここはオムレツも美味というのだから、やってもらわない手はない……と地元の人間は熱く語る。
こくりとエミによる、マルシアのハヤシライスの素晴らしさが語り終わられたところで、インタビューは再開された。河川敷に残されたガラクタは、今頃、アクトレスをまとめ上げる機構が回収していることだろう。
それでパラノーマルの何かがわかればよいが、上手くいった試しはない。
「私がパラノーマルアクトレスになった理由な、あの爆発だ」
なぜ、アクトレスになったのかという問いに、こくりはそう答えた。
「爆発?」と疑問符を浮かべれば、こくりはオムハヤシを頬張りながら頷いた。
「ふぉう……んくっ。その通りさ、愛らしいぬいぐるみが、爆発する様……それに私はこの上なく興奮するのだ」
今日の戦いを思い出しているのか、こくりは頬を上気させた。
「こくりちゃんは変態ですよね」
「んぐっ……エミにだけは言われたくない」
こくりはエミを一瞥すると、インタビュアーに向き直る。口についたデミグラスソースを拭い取って、短く吐息を漏らすと、話を続ける。
「私が武器にするのは、もっぱら爆発物だ。ただし、それらはぬいぐるみの中に仕込んでおきたいというのが、私の矜持であり芸術家としての一線だ」
ぬいぐるみが、大いに爆炎を撒き散らし、四散する。
あとに残るのは敵の亡骸、残骸、欠片だけ……。
その光景に至るまでの過程を含めて、彼女は喜びを感じるのだという。エミは変わらず、「美化の神様」という存在について熱く語る。彼女いわく、パラノーマルというゴミを片付け、地球を清浄化しなければならならしい。
いずれにせよ、この二人の思想を紙面に載せるのははばかられる。
パラノーマルを滅する存在、パラノーマルアクトレス。
彼女たち自身もまた、パラノーマルなのである――と締めくくっておけば、それらしいのかもしれない。
今回のパラノーマルアクトレスたち
▼久河こくり
茶髪に緑の目をした17歳の高校生。
高校では生徒会書記を務め、芸術を愛している
リボンとぬいぐるみを常に持ち歩いているが、ぬいぐるみには爆発物が仕込まれている
そのぬいぐるみを投げたり渡したり、自律(!?)させたりして攻撃する
自己中心的な性格であり、さらに腹黒と質が悪い。
わんぱくな面もあるため、自身に有利になるように自由勝手に動く。
チームを組んでもらえることは少ないものの、本人は気にしていない模様。
▼波唄 エミ(エミリー)
青と黒の髪をした青目の16歳の高校生。
高校では美化委員長(美化委員自体が1名)を務め、美化の研究をしている
八重歯がかわいく、ギターケースを常に持ち歩いているが、その中身は戦闘用の杖である。
泣き虫でよくこくりには泣かされているが、楽天家なため何とかなるさとこくりの側にいる感じ。
電波系なところがあり、美化委員長も存在していない委員を勝手に名乗っている状態。
こくりとだけチームを組むのは、彼女が本当は優しい子だと美化の神様に言われたかららしい。