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聳え立つ巨人。
父親の身長は177センチ。母親は169センチ。妹は168センチ。ウチは長身家族だ。そして私、小泉小春 18歳。高校3年生。身長182センチ。
どうして私だけがこんなにも成長してしまったのだろう。
背が高いからといって、決してモデル体系ではない。足の長さもごくごく普通。運動神経も人並。長身を活かしたスポーツが出来るわけでもない。
私は、無駄に高身長なだけの女子なのだ。
私には同じクラスに七瀬繭という身長150センチの可愛いモテモテ女子の親友がいる。
陰でみんなに『繭ちゃんが巨人に踏み潰されないか心配』と笑い話の種にされていることは、勿論知っている。完全に引き立て役だ。でも、そんな理由で友達を辞められない。身長を気にしていたら、私に友達なんか一人もいなくなる。
そんな繭に、最近彼氏が出来た。同じクラスの香川比呂。カッコ良くて、背が高くて……と言っても私より4センチ低いのだけど。香川くんもモテモテな人で、繭と香川くんは誰の目から見てもお似合いだ。……羨ましい。
私は今後、彼氏が出来ることなどあるのだろうか。