四話
移動した世界は綺麗だった。
透度の高い湖に自然な森、おいしい空気。
どれも元の世界ではあまりないものだ。
「あっちに人が立ってる。」
男子の一人がそう言って指した方向には確かに男がいて、その前にわかりやすく立札があった。
チュートリアル1
「・・・書いてるな。」
どの男子がつぶやいたかはわからないがその言葉にみんな頷いた。
俺たちは立札の近くにいる男に近づいていった。
しかし、目の前に立つと話しかけてきた。
「こんにちは。私は最初の試練を与えるものです。」
男が試練の内容を言ってくる。
最初の試練は攻撃だ。
男に言われたところに行くと、カカシみたいなのが何体かいた。
あれに攻撃を当てればいいらしい。
最初の試練は楽々クリアした。
そのあとも、採取の方法、錬金、オークション、モンスターの撃破、剥ぎ取りなどなどあり、最後の試練まできた。
「最後の試練はパーティーを作ることです。最低二人から作ることができ、最高は十四人です。」
一旦分かれることとなった。
パーティー1は俺、瑠美
パーティー2はそれ以外の十三人だ。
悠夏もこっちに入るとか言っていたが回復役が悠夏しかいなかったらしい。
ひとまず、俺はステータスを開きそこから「パーティー」の「メンバー募集」のとこにふれた。
すると、ステータス画面が消えた。
少し待っていると瑠美がパーティーに加わった。
これでクエストは完了したようで、ファンファーレが鳴り響く。
チュートリアル完了のお知らせと報酬の画面が出ていたので報酬をもらって消した。
ここでさっきとは違う音楽が流れる。
表示された文字はレベルアップだ。
「ムー様、レベルアップしましたよ!」
瑠美が少し興奮気味に迫ってきた。
俺は瑠美の頭を抑えて突っ込んでくるのをおさえる。
少しすると落ち着いた。
「それで、これからどうするんですか?」
落ち着いた瑠美が聞いてきた。
そうそこが問題なのだ。
パーティーを組めるのが十四人。
今ここにいる人数が十五人。
「このままでいいんじゃない?」
名前の知らない男子が言った。
「たしかに、知らない人だとちょっと・・・ねえ?」
またも知らない女子が続き、ほかの人もなんとなくな感じでうなづく。
「それなら―」
「悠夏に抜けられると私たち困るんですけど。」
前に会ったギャルみたいな女子の言葉で悠夏がそれよりさきの言葉をつぐんだ。
俺はどうする・・・
一応・・・って言ったら悪いな、瑠美がいるし
俺のステータスがな・・・
隼人は一つ頷くと決心したように、顔から迷いがなくなった。
「悠夏はそのままそっちのパーティーいなよ。こっちには瑠美がいるし大丈夫・・・だと思うから。」
最後の方は少し小さくなってしまったが、まあ大丈夫だろう。
結局最後に悠夏が折れて、このまま冒険に進むこととなった。
「それにしても、最初に貢献ポイントで取った武器とかがアイテムの中に入ってないんだよね・・・。」
暦くんが言った言葉にみんなそういえばと頷く。
その後、みんな不安になりながらも進むと、明らかにワープゲートに見えるものが見えてきた。
そこに、みんな入っていった。
俺と瑠美も少し遅れて入ると、一瞬意識が飛んで意識が戻った時には森の中に立っていた。
もちろん、隣に瑠美がいる。
「大丈夫か?」
大丈夫だろうけど、聞いておく。
「大丈夫です。こんなんで根をあげてちゃあそこでは生きてけませんから。」
瑠美が遠い目をしながらそういった。
若干、生気が抜けている感じがする。
今の会話でわかったと思うが、瑠美もあの廃棄所の人間だ。
そこで、暮らしていたときに助けたことで知り合った。
まあ、俺が出て行く前に引っ越していったんだが。
まさか、ここでアウトは思ってなかった。
だが、ひとつ聞きたいことがあるのだ。
「なんで、お前泣いてたんだ?」
そう、そこなのである。
あそこで暮らしていればこれくらいのことすぐに切り替えれるはずなのに瑠美は泣いていたのだ。
「そんなの、同情を誘ってしばらく保護してもらうために決まってるじゃないですか。確かに私一人の力でも大丈夫かもしれませんけど、もし大丈夫でなかった時の保険ですよ。」
あっさりと、なんお悪びれもなく言う瑠美。
まあ、こんなことでいちいち心を痛めていたら、あそこで生きてたら1週間で心労で死ぬ。
その前に、死ぬ可能性の方が高いが。
「ところで、ムー様はポイントで取ったやつありました。私は全部ありました。」
そう言って、瑠美がポチポチしてると光り出して、それが止んだ時には手に鞘付きの小刀を持っていた。
そして、また光だしそれが何回か続く。
少しあと、そこにはさっきと装備が変わった瑠美がいた。
「この服、Agilityが上がるだけありますね。かなり軽いです。」
そう言って、跳ねたり、回ったりする瑠美。
俺も、ステータス画面でアイテムを開くがメールで頼んだ物が来ていない。
普通に ポイントで取ったのは来ていたので俺も着替える。
どんなのかって?
それは―
「なんか、やばいですね。なんというか・・・そう!魔王って感じです。あ、でも持ってるの刀に脇差、銃に・・・って銃あったんですね、それに多いです。何個装備してるんですか?装備枠両手しかありませんでしたよね?」
次々と質問攻めしてくる瑠美。
「いや、なんか例の初期メン限定職業の一つで装備マスターって言って、何個でも装備オッケーらしい。防具もできるけど・・・上に着るのかな。着心地悪そうだからしないけど。」
防具を重ね着して雪だるまみたいになった自分を想像して苦い顔をする隼人。
ちなみに装備は瑠美が言ってない武器は他に両手剣とクナイ99本セットだ。
防具は龍皮の服(黒)、龍皮のズボン(黒)、龍皮の靴(黒)、龍皮の手袋(黒)、龍皮のインナー(黒)、龍皮のマント(黒)だ。
装飾品はまだつけてない。
「さっきさっと見て気づいたんですけどこれ装備するのに筋力必要ですよね?それなのにそれだけ装備して普通の顔してるムー様・・・やばいです。」
キラキラした憧れの目で見られる。
俺はため息を吐いて、自分のステータスをまた見た。
nama:武藤 隼人
male:男
age:16
HP~3055 / MP~97
ATT~4973 / DEF~377 / MIN~2729 / INT~5367 / AGI~222 / RES~155 / END~867 / DEX~557 / EYE~4.1 / JUN~2808 / CHA~288 / LUC~19 / POW~3078 / MEM~57406 / BRA~1000
どう見ても高い。
これが普通ではないと思う・・・。
MPが低いのはあっちの世界ではないからだろう。
防御が微妙なのはそれこそ防御が4桁になったらその肉体は絶対人のではないと思う。
まあ、何よりステータスの種類が多い。
何個かRPGやったことがあるがこんなに多いのは見たことない。
しかも、わからないのが何個かある。
「ふむ、ATTってATTACKのことだったんですか。なるほど、これが高いと物理攻撃のダメージが増えると。」
瑠美がなんかよくさも説明を読んでいるかのような独り言をし始めた。
「なんで説明っぽいんだ?」
俺はすぐ聞くべきだと思い聞いてみる。
「え?そんなのステータス画面のわからない場所押したらそこの説明出てくるからに決まってるじゃないですか。」
当然のように言う瑠美。
俺もさっきみてわからなかったところを触れてみる。
RES‐resilience‐
回復力、または回復速度のことこの数値毎秒の速さでHP、MPを回復する。
最大でHP、MPの数値が小さい方の300分の1の速さになる。
本当に出た。
ほかにもわからないとこを触れてみた。
MIN‐mind‐
知力。魔法攻撃のダメージが増える。
知能の数値。
END‐endurance‐
持久力。この数値が高いほど長時間力を行使することが出来る。
数値が高いほど疲れづらい。
JUN‐juncture‐
瞬発力。瞬間的に出す力が上がる。
この数値が滝ほどとっさの判断ができるようになる・・・かもしれない。
CHA‐charm‐
魅力。目指せハーレム王!
LUC‐luck‐
運。この数値が高いと幸運になる。
例、モンスターが落とすアイテムがレア度が高いのが落ちやすくなる。
MEM‐memorize‐
記憶力。この数値が高いと多くの魔法を記憶できる。
魔法は記憶しないと使えなのにで多くの魔法を覚えるためには必要。
BRA‐bravery‐
勇気。大切だよね。
これがないと、ボスが相手の時ステータスが下がったりすることも・・・。
途中、適当な説明もあったが大体わかった。
それにしても、俺のステータスは以上に記憶力が高い。
記憶力がいいとは思っていたがここまでとは思わなかった。
そしてLUCKが低い。
「あ、これほかの人に見せることが出来るみたいです。」
そう言って、瑠美が何かをタッチすると留美の前に画面が現れた。
それを手で移動させて俺に見せてくる。
nama:竜堂 瑠美
male:女
age:15
HP~2048 / MP~41
ATT~1583 / DEF~137 / MIN~1835 / INT~41 / AGI~106 / RES~95 / END~391 / DEX~369 / EYE~5.8 / JUN~2350 / CHA~236 / LUC~68 / POW~268 / MEM~6 / BRA~720
多分普通よりステータスが高いのと、視力がいいのはいいんだが・・・
「脳筋すぎるだろ。」
「言わないでくださいよ!頑張って見ないようにしてたんですから!記憶力6ってなんですか!6って!そんなに馬鹿ですか!」
言い終わったあと、はあはあ荒い息を吐きながらうなだれる瑠美。
ちょっとキャラ崩壊している。
俺は自分のもできないかと考える。
そして見つけたのは左下にある目みたいなマークだ。
触れてみる。
なんか変わったような気がする。
瑠美のを見せてもらったので俺も見せてみた。
「なんですか?自慢ですか・・・私と違って記憶力いいですね。」
なんか、選択をミスったみたいだ。
その後、瑠美を落ち着けて今後どうしようか話し合うことにした。
「とにかく、歩いて街探しましょう!」
さっきとはうって変わって元気な瑠美。
元気とはいっても空元気だが。
俺はそう心の中で苦笑しながら、歩き出した。
そして、それは降ってきた。
「あぁぁぁぁぁーーー!!!」
それは、俺の前の地面に刺さった。
「「・・・・・・・・・・」」
無言になる俺と瑠美。
前に刺さったそれはもがいてやっとのこと抜けることが出来た。
「ぷはー、やっと抜けれたぜ☆」
しかもなんかいい笑顔だ。
その時、脳内にチリンと音がした。
メールが来た音だ。
ステータスを開き、メールを確認する。
「汝の願い通りのものを用意した。受け取れ。」
読み終わると同時に報酬確認の画面が表示される。
俺は迷わず受け取りを押すと、右手に鎖が巻き付いた。
そして、もう片方の端は伸びていきさっき落ちてきたそれの首に巻き付き首輪になった。
「あっれー・・・なんか首輪が、ってなんで!?私契約してないよ!」
俺はステータスの所有のとこに触れる。
画面が変わり、そこに文字が書いてあった。
くーちゃん(奴隷契約)
Lv.∞
HP~53 / MP~53
ATT~53 / DEF~53 / MIN~53 / INT~53 / AGI~53 / RES~53 / END~53 / DEX~53 / EYE~10 / JUN~53 / CHA~5353 / LUC~5353 / POW~53 / MEM~53 / BRA~53
はっきり言って、弱い。
体力が1秒で回復するのは、ちょっとおかしいがまあいい。
視力以外ほとんど53ってほんとゴミだろ。
魅力と運が高くて戦えないし。
そう思いながら見ていると、名前の横に何かあったので触れてみる。
すると、説明が出てきた。
くーちゃん。本名はひ・み・つ♡
種族:神
クールタイム0秒、出現タイム∞秒
自由に世界に出し入れできる。
もどると、HPが全回復。
はっきり言おう。
すごく使える。
要は、くーちゃんをHPが0になったそばからまた出せばいいのだ。
ステータスがゴミなのは多めに見るしかない。
そう決めて、ほかの報酬を確認する。
まずスキルだ。
ステータスのスキルを開くとかなりの数があった。
「ちょっと、取りすぎたかも・・・」
しかも、こんなにあったらどれが新しいスキルかわからない。
それにスキルの説明を見てところ、前の世界での特技や長所などがこちらの世界でスキルになることがあるらしい。
まあ、ひとまず見ていくことにする。
Skill
《創作》、《暗殺》、《略奪》、《精技》、《状態異常耐性》、《完全記憶》、《効率化》、《家事》、《料理》、《観察眼》、《隠蔽》、《隠密》、《気》、《科学者》、《天才》、《火属性魔法・初級》、《水属性魔法・初級》、《地属性魔法・初級》、《風属性魔法・初級》、《武器攻撃・初級》、《移動系魔法・初級》、《空間魔法・初級》、《回復魔法・初級》、《付加魔法・初級》、《調教》、《神化》
魔法系から後ろがポイントで所得したもので、《神化 》が最強スキルらしい。
神化
神化する。
意味がない説明だった。
まあ、気をとりなして次は職業を見てみる。
ん?ひとつ変なのがあるって?
いや、それは気のせいだ。
Job
・旅人・暗殺者・盗賊・科学者・ハーレム王・天才・忍者・武士・異世界人・英雄・仙人・魔法使い・魔王・勇者・人間・神の主・化け物・怪物・神・調教師
また変なのがいくつか・・・。
それより、魔王と勇者は一緒にあっていいのか?
それにしても、多い。
ステータスにスキル、職業、これに称号もある。
称号は今回はもう疲れたので見ないでおく。
まあ、ひとまず冒険を始めるか。
こうして、冒険が始まった。