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わりとよくある。

 僕は廊下で待てをされるのが我慢できなかった。新しい担任の後ろについて教室に入る。先生は思惑と少し違ったためか、僕を見て「お、」と漏らした。前振りのようなものをするつもりだったのだろうが、担任はすぐに切り替えて僕の紹介に入る。


「新しくこのクラスに転生してきた羽根羅くんだ。羽根羅くん、自己紹介して」

「初めまして、こんにちは。となりの世界から転生してきた羽根羅です。親(作者)の仕事の関係でこの世界に来ました。割と強くて、あと強いです。大体、勝ちます。ヒロインの方々は仲良くしてください。よろしくお願いします」


 ちょっと緊張していたけど、噛まずに言えた。

 みんなの好奇の視線にさらされながら、僕は同じ好奇の視線をみんなに返した。今までいたところではとても考えられない世界が広がっている。ひどくわくわくして、今にでも走り出したいような衝動にかられた。この有り余るエネルギーを早く発散したい。この世界が僕を歓迎してくれているような気がした。


「羽根羅くんは現実世界出身で、異世界に来ること自体が初めてだそうです。もちろんバーチャルの世界にも来たことがない。なのでみんな、羽根羅くんに優しく接してしてあげるように。あー、あとそれから、羽根羅くんは親御さんの都合でこっちにきている。たまに、親御さんだけ現実に返ったりしていつ動けなくなるかわからないけど、それも多めに見てください。以上」


 僕の新しい学校生活は非常に快適だった。僕のレベルについてこられるのはごく一部で、冴えない現実世界と比べるとバーチャル世界は楽で楽で仕方が無かった。かと言って退屈なわけでもない。それなりの刺激があった。新しい世界で新しいことを発見し、世界の困難に立ち向かう。痛快なストーリーが僕を主人公にした。みんなが苦にしていることをあっさりやってのけてみたり、困り事を助けたりして、僕を慕うヒロインもたくさんできた。

 難しいことは何もない。ただ、僕は凄い、ってことをみんなに見せてやるだけ。感じさせてやるだけ。つまらない作業はいらない。たった一行で、一言で、時間のかかる作業は消え去った。『僕はそれからたくさん狩りをして、レベルが100上がった』。なんて楽なんだろう。

 世界は既に僕を受け入れている。世界は、『たった一人の個人』のためだけに動き出す。

 僕を受け入れることで閉塞したこの世界で永劫続く僕の物語。


 今日もまた幸せを絵に描いたような冒険が幕をあ

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