表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

71/88

第71話:優雅な殺意



ジュッ! ジュワァァァ……!


あチッ!? くそ、こいつら正確すぎるぞ!」


俺は黒い霧で身体を覆いながら、石造りのベンチの陰に滑り込んだ。

ベンチが瞬く間に赤熱し、溶けた飴のように崩れていく。

親衛隊ロイヤル・ガードの連携は完璧だった。俺が動けば即座に3方向から射線が通り、レンが反撃しようとすればシールドで防ぐ。まるで一つの生き物のような統率だ。


「カケルくん! 奴らのシールド、『偏光プリズム』を使ってる! 光学兵器も実弾も、表面で滑って逸らされちゃうよ!」


瓦礫の陰で、白石が焦った声を上げる。

「しかも、全員の脳波がリンクしてる! 誰かが見た映像を全員で共有してるから、死角がないの!」


「視界共有に、鉄壁の守りか。……ゲームならクソゲー認定だな」


俺は舌打ちした。

だが、どんなに完璧なシステムにも穴はあるはずだ。


「おいレン。……さっきの音波攻撃、もう一回撃てるか?」


「あぁ? 効かねぇって分かっただろ。跳ね返されて終わりだぜ」


「いや、ぶつける場所を変える。……シールドじゃなくて、『足元の地面』だ」


俺がニヤリと笑うと、レンも瞬時に意図を理解して口角を上げた。

「なるほど。……お行儀の良い庭園を荒らしちまおうってか」


「行くぞ! 3、2、1……!」


俺が霧の盾を解除して飛び出すと同時に、親衛隊が一斉に銃口を向けてきた。

そこへ、レンが地面に掌を叩きつける。


「踊りな! 【アース・シェイク(地盤振動)】!!」


ゴゴゴゴゴゴッ!!


強力な低周波振動が、庭園の大理石を波打たせる。

どれだけシールドが硬くても、立っている足場が崩れれば意味がない。

整然と並んでいた親衛隊の陣形が乱れ、数人がバランスを崩してよろめいた。


「今だッ!!」


俺はその一瞬の隙を見逃さない。

黒い霧を槍のように鋭く尖らせ、体勢を崩した兵士の懐へ飛び込む。


「シールドの内側なら、関係ねぇよな!」


ズドンッ!!


【虚無・貫通】。

俺の拳が、白いボディスーツの胸部を突き抜けた。

装甲も肉体も、俺の「虚無」に触れれば等しく消滅する。


「ターゲット……沈黙……」


兵士は悲鳴も上げず、糸が切れたように崩れ落ちた。

衝撃でヘルメットが外れ、その素顔が露わになる。

俺は息を呑んだ。


「……こいつ」


現れたのは、整った顔立ちの青年だった。

だが、その目には白石が言っていた通り、光がない。

いや、それ以上に――表情筋が死んでいる。

脳をいじられているのか、それとも薬漬けなのか。


「……こいつらも、下の連中と同じ『人形』ってわけか」


美しい服を着せられ、綺麗な庭で戦わされているだけの、高級な操り人形。

ガランドウの野郎、趣味が悪すぎる。


「1体減ったよ! リンクにラグが出てる!」


白石が叫ぶ。

共有ネットワークの一角が崩れたことで、残りの兵士たちの動きが一瞬鈍ったのだ。


「畳み掛けるぞ! アリス、敵の位置を教えてくれ!」


「右から2人、お花の影! 左の噴水の上、1人!」


アリスの正確なナビゲート。

俺とレンはアイコンタクトを取り、左右に散開した。


「ヒャッハー! 泥遊びの時間だぜぇ!」

「掃除の時間だ。……片っ端からゴミ箱へ送ってやる!」


俺たちの猛攻が始まった。

一度リズムを崩された親衛隊は、もはや野良犬マッド・ドッグス以下の烏合の衆だった。

美しい庭園が、黒い霧と衝撃波によって更地へと変わっていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ