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第64話:黒きヒレの強襲



バババババッ!!


錆びついた船体を、重機関銃の弾丸が叩く。

海上の「船の墓場」は、一瞬にして硝煙と水飛沫に包まれた。


「ヒャッハー! 陸のネズミどもが、巣穴から出てきやがったぜ!」


波間を縫うように接近してくるのは、3隻の高速艇。

船首には鋭利なブレードが装着され、甲板にはモヒカンやガスマスク姿の男たちが鈴なりになっている。

海賊『ブラック・フィン』。

アクア・ポリスの汚れ仕事を引き受ける、海のハイエナたちだ。


「させない!」


高所にあるクレーン室から、ナギのライフルが火を噴く。

ズドンッ!

先頭のボートの操舵手が頭を撃ち抜かれ、ボートが大きく蛇行した。

だが、止まらない。副操舵手がすぐにハンドルを奪い、ロケットランチャーを構える。


「沈めちまえ! 屑鉄ごと海の藻屑だ!」


シュルルルル……ドガァァァン!!


ロケット弾が居住区の入り口に着弾し、爆風が子供たちの悲鳴をかき消す。


「ッ! やりやがったな!」


俺は甲板を蹴り、海面へと飛び出した。

足場は不安定な浮きドックや、海に浮かぶ瓦礫のみ。だが、今の俺には関係ない。


「レン! 水面を狙え!」


「任せな! 水の中なら音はよく響くぜ!」


レンが海に向かって両手を突き出す。

音響爆雷ソニック・チャージ】。

放たれた衝撃波が海水を叩き、水中で炸裂した。


ドボンッ!!!


巨大な水柱が上がり、その衝撃で高速艇が木の葉のように宙に舞う。

乗っていた海賊たちがバラバラと海に投げ出された。


「な、なんだ!? 機雷か!?」

「いや、衝撃波だ! 能力者がいるぞ!」


混乱する海賊たち。

その隙に、俺は一番近くのボートへと着地した。


「お邪魔するぜ」


「テメェ! 何者だ!」


慌てて銃を向ける海賊たち。

俺は低い姿勢から足払いをかけ、同時に船底に手を触れた。


【虚無・船底消失】


ゴガッ……!!


船底の装甲板を一瞬で消し去る。

当然、そこには大穴が空く。


「うわあああっ!? 水が! 沈むぞ!!」


一気に浸水し、傾くボート。

俺はその反動を利用して、隣のボートへと飛び移る。

次々と船を「食い荒らす」俺の姿は、彼らにとって悪夢そのものだろう。


「化け物だ! こいつ、船を消しやがる!」


残った最後の一隻、リーダー格らしき男が乗る大型ボートが、慌てて回頭しようとする。


「逃がすかよ。……ナギ!」


俺の合図に、クレーン上のナギが呼応した。

彼女はライフルのスコープを覗き、引き金を絞る。

狙うのは人間じゃない。ボートのエンジンタンクだ。


ズドンッ!!


「ぐわぁぁぁッ!!」


エンジンが爆発し、黒煙を上げてボートが停止する。

俺は海面スレスレの足場に着地し、黒い霧を纏った手で海賊のリーダーの胸ぐらを掴み上げた。


「……よう。ここらで一番えらい『鮫』はどいつだ?」


「ひ、ひぃぃッ! 助けてくれ! 俺たちはただの雇われで……!」


男は失禁しながら命乞いをする。

圧倒的な暴力の前では、海賊の威厳など微塵もない。


「勝負あり、だな」


戦闘開始からわずか数分。

俺たちが制圧した海賊船の残骸が、プカプカと波間に漂っていた。

居住区から様子を見ていた子供たちや老人たちが、恐る恐る顔を出す。


「す、すげぇ……」

「あのブラック・フィンを、たった3人で……」


どよめきが広がる中、白石が「カケルくん!」と手を振って走ってきた。

ナギもライフルを下ろし、信じられないものを見る目でこちらを見下ろしている。


「……とんでもない連中を拾っちまったみたいだな」


ナギが呆れたように呟く。

俺は海賊のリーダーを放り捨て、ニヤリと笑って親指を立てた。


「これで取引成立だろ? さあ、楽園への行き方を教えてもらおうか」


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