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第23話:ノイズの予兆

平和な日常は、長くは続かない。

それは約束事だ。


翌日の深夜。

俺たちはアリスの悲鳴で叩き起こされた。


「――嫌ッ!! やめて、入ってこないで!!」


アリスがベッドの上で頭を抱え、錯乱していた。

レンが飛び起きて抱きしめるが、震えが止まらない。


「どうした、アリス! 怖い夢でも見たか!?」

「……違う、夢じゃない……!」


アリスは涙で濡れた顔を上げ、虚空を――いや、ここではない「どこか」を見つめて叫んだ。


「……来る! こっちに向かってる!」

「誰がだ?」

「……『もっと強いノイズ』! ……蔵木なんかじゃない、もっと冷たくて、鋭い……」


アリスの瞳孔が開く。

彼女は受信してしまったのだ。

都市の雑踏の中から、明確な殺意を持って俺たちに近づいてくる「何か」を。


「……『掃除屋スイーパー』……そう呼ばれてる」


アリスがガタガタと歯を鳴らす。


「……3人いる。……今、山のふもとの結界を抜けた……!」


「なっ……早すぎる!」


白石が叫び、監視モニター(彼女が修理した廃材)を見る。

何も映っていない。

だが、アリスの感覚は機械よりも正確だ。


「レン、迎撃準備だ」


俺は即座にジャケットを羽織った。

日常パートは終わりだ。


「3人か。……ちょうどいいハンデだ」


レンがヘッドホンを首にかけ、獰猛な笑みを浮かべる。

だが、その目は笑っていなかった。

ようやく手に入れた「静かな夜」を壊された怒りが、彼の周りの空気をビリビリと震わせていた。


「白石、お前はアリスを連れて隠れろ。……俺たちが時間を稼ぐ」

「……ううん」


白石が首を振った。

彼女はまだ名前を持たない。けれど、その瞳には確かな色が宿っていた。


「私も戦う。……もう、守られるだけの『透明人間』じゃないから」


俺たちは武器を取った。

廃墟の入り口、闇の向こうから、プロの足音が近づいてくる。

組織が放った、本気の処刑人たちが。

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