8.
女性関係といえば。
五堂義明の伴侶が、五堂エリカということで。
一方、絢月咲が数登らに見せてきた新聞記事で目立ったのは、五堂義明の女性関係というよりも、絵卯とエリカの姉妹関係という点。
血縁関係はどうだろう?
九十九社としては、以前扱った西耒路署での事件では、そういう感じがあったので。
数登珊牙。
「女性関係で問題がないということは、義明さんとエリカさんの間で、何も問題がないということですね」
樅ノ木有人。
「まあ、そうなんじゃない。とにかく話すぶんには、問題のない範疇だと思うよ。五堂忍は狙われやすかったんだろうが、以前に2回結婚している。確定とは言えないけれど。まあ1~2回だろう」
「1~2回の間で」
と数登。
「面識のある方はいらっしゃいますか?」
「どなたもいないかなあ」
樅ノ木はドアのほうへ回り込んで、タバコを靴で踏み。
「そこまで、忍さんの詳しい話相手になっているわけでもないよ。俺は。遺品整理と関係あるから問題はなさそうな、話題ってだけで。義明さんも、そこまで詳しく話してくれないと思うし」
「なるほど」
車内。
「手向けっていう意味もあるということを、聞いた」
と樅ノ木。
数登。
「手向けですか」
「そう。あの庭園は、道楽ってだけじゃないらしいよ。忍の伴侶は、2人とも亡くなったらしい。五堂絵卯さんが、言っちゃうと片親で育ったってこと」
機動力が出て。
車内が少しずつ、熱気。
「なるほど」
と数登。
樅ノ木。
「絵卯さんとエリカさんは、後妻さんの子だったそうよ」
「前妻さんとのお子さんは」
「さあね。関係がまずかったとは、聞いたことないけれど。手向けだったから、あんな庭園が出来たんだって見ておくのが、自然だと思うけれど。五堂忍が2人、妻を殺ったっていう話には、ならないと思う」
「そうですか。自分で手を下さない、ということもありますがね」
と数登。
樅ノ木。
「物騒なこと、言うじゃない。まあ、一応、忍さんの護衛なので。庭園には何回か行ったことあるけれど、少なくとも殺人の匂いはしなかったと思うけれどね。まあ、説得力ないな。実際、忍さんは死んだわけだし。五堂家の人たちを呼んでおきながらね」
「手向けとして庭園を建てた忍さんご自身が、亡くなった。手向けの対象になった、奥さん2人も亡くなった。樅ノ木さんは、どちらの死にもあまり興味はなさそう。ですね」
「そうかね。あんたの方はあんまり、忍を殺した犯人には、興味なさそうに見えるけれど。まあ、あくまで架空のキャラクターとか思われているしな」
と樅ノ木。




