6.
顔認証、重量でセキュリティを保つとかいう、トランクルーム。
扉でひとつひとつ区切られた廊下。
その部屋を出てから、続く樅ノ木の凝視。
依杏が、彼を失敗した感じの尾行で、後ろをつけていった時と同じ動作。
情報の寄せ集めから依杏が見たとき、樅ノ木はスーツ姿。
一方で、いまはフード服。
絵卯の後ろから、歩いて来た男も、フード服。その類似点?
絵卯にとっては、割と安全な地区だというが、どうだろう。
海晴地区の治安も信用ならないが、黒敷だって。
同じようなものかもしれない。とか依杏は思う。
電話。
数登珊牙が電話口。
「おとりを用意しては」
「おとり?」
と依杏。
「ええ。そっくりの自転車なんかを」
2時間程度で、結局狭いトランクルームを出て。
もっとすると、2時間半?
依杏は帰り道である。
空中庭園に、五堂忍が殺されたその日に集まった人が、多い。
黒敷で、信用ならなくても「見られるかもしれない」ことは、樅ノ木が散々云っていた「アカリ」の姿かも?
仮にも、黒敷の環境は五堂姓の人を集めやすいようだし。とか。
「正式な捜査とは行きませんがね」
と数登。
「まあ、それはいつもな感じですね」
と依杏。
「で、嫌がらせ対策なわけですか?」
「駐輪禁止がどうなるのかを、見るだけですね。駐輪場へ、自転車を置いておけばいいのでしょう。絵卯さんにおとりの自転車を貸して、あなたは絵卯さんの自転車を借りればいい」
「じゃあ」
と依杏。
「小型カメラとか付けますかね」
「そこは、判断してください」
と数登。
トランクルームで依杏が聞いて分かったのは、散々訊いてきたのに、樅ノ木自身は空中庭園で「アカリ」の姿を見ていない、ということだ。
もうひとつは、絵卯自身も現場で「アカリ」を見ていない、ということ。
五堂忍を殺したかもしれないとされる、架空の人物?
新聞記事によれば、空中庭園で犯人? を見たとされるのは2人だったらしい。
なら、絵卯と樅ノ木は現場に居た6人から、抜けたことになる。
残る4人。
4人のうちの1人は、いま依杏が訪問しやすそうな圏内に居る。のかもしれない。
出勤日かどうかは知らないし。黒敷地区の図書館である。
九十九社はよく、「変な案件」を扱う。
その中で、正式な捜査機関とやり合う? ことはよくあったり、なかったりする。
今回の場合は、まったくない。
新聞記事がいうのは海晴地区であって、そもそも黒敷でもない。
繋がるのは、五堂姓が活動する場所がその2地区という点だけ。
数登が中心で、連絡を取り合う、いわゆる署なる場所は、海晴地区は管轄にしていない。
忍の検死は、既に終わっているという。
既に事後報告で、リアルタイムで動いていない。そもそも。




