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お金を……みんなで使おう!


「それで本当の報奨金はいくらなんですか?」


「何度言われても、1000ですね。怪鳥ならまだ金塊山に何匹もいるはずですので」


「そんなの納得いかないよ!」


「俺たちがあんなに頑張ったのに……」


「ドラゴン一匹の10分の1なんて……」


「もし、数体いる怪鳥を絶滅してもらえるのならば、10000は出しますよ?」


「あんなのを……数体も……やってられるか」


「珍しくロアル様の力をほとんど借りないで倒せたのに……」


「みんな、そんなに落ち込まないで。貰えたのはお金だけじゃないでしょ?」


「経験値は不要だ」

 経験値は得たよな。


「そりゃあ、少しは貰ったけどさ……」


「あんまりだよぉ」



「ちょっとみんなに話しておきたいことがあるの」


「なんだ?俺たちは今、落ち込んでいるんだ」


「そうだよ、これはおスイーツを食べに行かないと体がもたないよ」


「……ふむ」


「えっと……前に話していた、伝説の魔法使い様が王都にいるって噂を耳にしたの」


「お?」


「それは……」


「知らない……」

 そういえば言ってたな。


「それでいつか……。私たちのお金が貯まったらね、王都のほうに行けないかなあ、なんて……」


「なるほど……」


「王都……あこがれの地……」


「すぐには行けない。まだ行くことはできない」

 今すぐ行こう、すぐにでも行こう。


「それでも、なあ……行きたいんだろ?ロアルさんは」


「ロアル様は伝説の魔法使い様に会いたくてって毎日悶えてるって、風のうわさで聞いたよ?」


「半分あってて半分あってない」

 どういうことだよ、それ。半分あってて半分あってないけど。


「そ、そうね……。でも王都にはお金がなくては行くことはできない。

あの地へ行くには相応のお金が必要なの、みんなも知ってるでしょ?」


「はいはい、そーですね……」


「じゃあ私、おスイーツを食べに行ってくるね……」


「お金を……みんなで使おう!」

 お金をみんなで貯めよう。頼む。


「え?」


「お?」


「ロアル?それは、お金は使っても……また入るってことよね?」


「まさか、それって……カジノに行くってはなしじゃねえよな?」


「そんなところに行ってもお金を無くすだけだよ……止めておきましょう、ロアル様」


「そうだ。頑張らなくてもお金は増えるんだよ」

 違う。頑張って、みんなでお金を貯めるんだよ。


「まさか、その手があったとはな……。ロアルさん俺は一生ついていきます」


「……ねえ?ルビア、どう思う?」


「私は……反対」


「だよねえ?いくら運が良さそうなロアル様でも……」


「私はカジノへ行く。みんなには迷惑をかける……」

 俺もカジノは行きたくない。みんなには迷惑をかけられないんだ。


「一人ででも行くってか……こりゃあもう仕方ないな……」


「これは、おスイーツどころの話じゃなくなってきたわね……」


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