私だって軽い攻撃魔法ぐらい……できるんだからねっ
「おいルビア、悪いけど……俺疲れた。少し休ませてくれ」
「何言ってるのルクス、あなたそれでも男でしょ?」
「ださ」
「ほら、アイラだってこんなに頑張っているのに」
「ロアル様を見習いなよ、あんなにずんずん先に行っちゃって、もうここからじゃ見えないぐらいだよ」
「私に出来ないことはない」
俺、山なんか登りたくないよ。
「魔物も比較的出てきてないし、これは自分との体力勝負だね」
「でもなあ、ルビアの転移の魔法でさ、ひょいってしてくれるだけ良いじゃん?」
「何言ってるの、今はできるだけ魔力は温存しておかないと」
「そうだよ?まだ山頂にボスがいるんだから」
「そうだけどよ……俺盗賊だし、体力ねーんだよな」
「あ、鳥の魔物!西の方向から!」
「ほら、こういう時こそ盗賊の真価が発揮されるのよ!」
「仕方ないな、たまには俺のナイフ捌きを見せてやるか」
ピシュ!ピシュ!
ルクスのナイフは的確に鳥の魔物を捉え、闇に葬った。
「やるねえ!けどまだまだいるよ、後ろだよ!」
「まだ、いんのかよ」
◇
「……ま、まあ盗賊の目があれば、鳥の魔物なんか楽勝よね」
「俺一人で……全員やって、やったぜ……」
「今ので大分、魔力を節約できたから、さっきの話……考えてあげてもいいわよ」
「お、それは助かる」
「ルビアに感謝しなさいよ?」
「なんでお前に言われなきゃならないんだ……」
「そんなことより二人とも!ロアルがもう山頂に着いてるかもしれない」
「確かに、ここで手間取りすぎたな」
「ロアル様のことだから簡単にはやられはしないだろうけど……万が一のこともあるよ、山頂に急ぎましょ」
◇
この山のボスとなった怪鳥か……。
しかし剣士の俺には、遠距離攻撃はないんだ。
さすがに積んだか?
ぎゃるるるるるる!
怪鳥は大きな雄たけびを挙げて、風魔法を繰り出した。
バジジジジジジ!
くっ!
「ロアル様!」
きゅるるるるるるる、ピカーーーン!
その瞬間、ロアルの体にバリアが張られた。
「どうやら間一発だったみたいね……」
「早いぞ」
遅かったな。
「おっ、一人でやれたってか?」
「でも私たちにも、経験値分けてもらわないとねっ!」
シュイーーーーーーン、パチパチパチ!
ルビアの雷魔法はあたりにはじけ飛んで、怪鳥にダメージを与えた。
「こいつは私の獲物だ、一人でやれる」
ここは分が悪い、みんな頼んだ。
「そんなこと言ったって今日こそは、俺たちが仕留める番だぜ」
「そうそう、私だって軽い攻撃魔法ぐらい……できるんだからねっ」