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……敵に背を向けるな



「それで?今度はどういうことなんだ?」


「お洋服、おっようふく」


「町が燃えてしまって、みんな着替えとか無くなっちゃったじゃない?だから……」


「そ、そうだな……確かにそれは問題だ」


「可愛いお洋服があるかな?私に似合いそうなの」


「私たちは迷ってはいられないの。そうだよね、ロアル?」


「迷いなく進む、覚えていてくれ。本心だ」

 さっきの言葉は忘れてくれ。本心じゃないんだ。


「そうだよね、ロアル様!だから新しい洋服を買って気持ちを一新しなきゃ」


「そうは言ってもな……女物の服は、俺わからねえぜ」


「……ルクス、何か勘違いしてない?」


「なになに?ルクスは私のほうを見て、何を想像してたのかな?」


「なっ……」


「……ここに来たのは、燃えてしまった町の冒険者たちに服を寄付するためだよ。

彼らにはとてもお世話になったからね。……私たちの服なんてものは二の次ね」


「そ、そうだったのか……。そうとも気付かず、俺は……」


「考え方が悪魔」

 考え方が天使。


「そうだな、俺は悪魔じゃない。自分のお金を助けてくれた仲間のために使うのは、惜しくない……」


「そうだよ。あの時、私たちを必死で助けてくれたんだから、できる限りのお礼はしなくちゃね」


「でもアイラ、お前さっき服見て浮かれてただろ?本当に知ってたのか?」


「……」


「どうした?」


「そんなこと知らないもん……」


「まあまあ二人とも、ごめんね。私がちゃんと説明してなかったから」


「私も知っていた」

 俺も知らなかった。


「え?」


「え?」


「……敵に背を向けるな」

 仲間にお礼はしなきゃな。


「そうか……。ここで俺たちはまだまだやれるって魔王軍たちに思わせなきゃならねえ。

服を整えてな」


「その為には私たちが、ここで洋服を寄付して……まだまだやれるぞって魔王軍たちに思わせなきゃ」


「じゃあ、そういうことだから。みんなのお金を少々いただくわね」


「えー」



「……もうすっかり夕方じゃねえか」


「なんだかんだ、楽しかったね……。私今日みんなと町を回れて良かった……」


「いろいろ町を見て回ったけど、ここならこれからも何とかやっていけそうね」


「いや」

 そうだな……。


「ロアル、何か気になる事でもあったの?」


「真面目に言うと……前のほうが良かった」

 不謹慎だけど、前より住みよい町だと思った。


「そう……だね」


「確かになあ……あの町は俺たちの色んな思い出があるからなあ」


「ここもいい町だけど、なかなかすぐには慣れないよね……」


「それでもさ……」


「ロアル様が朝から何度も言ってた……」


「あの言葉か……?実は俺も今の自分の心に結構響いたぜ」


 ……俺なんて言ってたっけ?


「迷いなく進む」


「迷いなく進む」


「迷いなく進む」


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