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話したいことがたくさんあるの


 ルビア、町に帰ったのか?


 ルビアが見当たらない。

 こっちの方向に逃げたのは間違いないんだけど、探しても探してもいない。

 ……こんな時ルクスがいてくれたら、遠くを見通せるのに。


 大声を出そうにも……。違うことを叫んでしまいそうだし。

 魔物もおびき寄せそうで……。



 そんな……。町が燃えている。


「ロアル!」


「ルビア、死んでたか」

 ルビア、無事だったか。


「ううん、大丈夫だよ。町のみんなは私や他の冒険者たちと協力して別の町に避難させたわ」


「良くない」

 良かった。


「そうだね……。あの後、あの獣人は私を追いかけてきて……。

私は仲間たちと合流して必死に戦ったんだけど……。

斧をみんなに振り回されて、大けが続出だったよ。

でも、幸いなことに少ししたら去っていったんだよ。

何故か、あのダークエルフが止めてくれたの」


「理解できない」

 そうだったのか。


「うん……。また、反対なんだね。

それでここに来るんじゃないかって思ったから、私がここで待ってたんだよ」


「助からない」

 助かった。


「その様子じゃ、ロアルも無事だったんだね。

本当に……生きててよかった」


「そうじゃない」

 そうだね……。


「……王国から連絡があってね。

冒険者が派遣されてきて町の人たちを転移させたの。

今度の町はね、王国により近い大きな町なの。

だからここより数倍は安全だって」


「それは良くない」

 いいね。


「……あのダークエルフは……魔王軍でも相当強いと噂されているらしいわ。

魔王の側近クラスだって。

私も目の前にしたら、その圧倒的な魔力に圧倒されちゃったもん……」


「そんなことはない、私なら勝てる」

 だよな、あれはまだ俺たちでは無理だ。


「……ねえ、転移の魔法で新しい町まで行きましょう。今日はとにかく休まないとね」


「必要ない」

 早く休みたいな。


「……じゃあ話しながら、一緒に歩いていきましょう。

ロアルに話したいことがたくさんあるの」


「いいだろう」

 いや、転移の魔法でひとっとびしたいが?



「私もね、わかってはいたんだよ。前々から……でも中々話し出せなかった」


「違うよ」

 ですよねー?


「でも今日みたいなことがあったから、一度ちゃんと話しておかないとって思ったの」


「……静かに聞こうじゃないか」

 俺も話したいんだよ。


「ロアルはきっと言いたいこと言えないんだと思うの。

それってつらいよね」


「そうだ」

 別に?もう割と慣れたが?


「だからさ、何かいい方法はないかなっていつも考えてた」


「そうか」


「そしたらね、ある日伝説の魔法使いがいるっていう噂を聞いたの」


「知らん」

 俺もそれ思ってたよ。


「普通のスキル鑑定士ならわからないスキルも、その人ならわかるらしいんだよ。

だからその人ならロアルの事、何かわかるかもって」


「……」

 そうだよ、それそれ。


「でもその人に会うまでの間、このままだと不便でしょ?」


「問題ない」

 まあまあ不便。


「紙とか用意してもダメなのかな?たぶん行動も変になるんだよね?」


「問題ない」

 ソウダネ。


「じゃあね、反対ってことでいいのかな?

でもそしたらどれが本物の気持ちかわからないじゃん?

だからね、私は究極の方法を考えたの」


「不完全だ」

 究極の方法だと?


「……どっちも可能性があるなって思えばいいの。

そしたら、まあ何とかなるじゃない?」


「それが出来たら、いいな」

 それが出来ればね、苦労しないのよ。


「だから今はそれでいくことにした。いや、前からそうしてたんだけど」


「悪いよ」

 まあいいんじゃないかな?


「実はね……仲間の、二人にもこの事は言ってあったの。

だって色々と不便でしょ」


「余計なお世話だ……」

 ルビア、そんなにも俺のことを……?


「そういうことだから……ね。ほら、もう少しで町に着くよ。

私たちの新しい拠点。ここからまた新しい冒険が始まるんだね」


~プロローグ完~


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