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4話

小柄な体格と、あどけなさの抜け切らない童顔。

そして普段からよく笑う(ニヤついている?)のがよく見て取れる目元と口元。


(こいつは相変わらずちゃらんぽらんだなあ)

それがこの声の主、霜村雅歌(しもむら がくが)

の第一印象である。


「私?私は普通にその涙川だけど…。」

「ホントに?にしては随分と思い切った……あ、失恋でもした?」

「霜村ァア!失礼でしょうがァ!」

「痛い!?なんで蹴るの!?あだっ!?なんでそんな正確にアキレス腱を狙ってくるの!?」


となりを囲んでいた女子のグループの中心人物

安積香杏来(あさか きょうこ)がまあ確かに失礼な発言と

態度をとった霜村にローキックという渋めの制裁を加える。

(あの人は気が強そうでちょっと苦手なんだよな)


「あぁ…また雅歌君がいじめられてる…かわいそうに。」

「いやぁ今のはさすがに彼が悪い…かな?」


隣で慈しむように呟く聖人君子こと仙龍を宥めておく。

夏休み前、一学期もこんな様子は何度か見た。

殆ど霜村がなんらかの失言をして、安積香が指摘する。

しかも割と強めに。

幾度もラインギリギリの言動をして見せる雅歌だが、

決して嫌われているというわけではない。

むしろ話題の中心になりやすい人物だ。

簡単に言えば、何をやらせてもできるタイプの人間。

体育や、音楽、会話、日常の些細なことで、

あらゆる才能の片鱗を感じさせる。

底抜けに明るい性格と笑顔、声。

人に好かれる才能。


(僕とは違って、他人に愛されて、愉快に生きることを許された人間なんだなあ。僕は彼のようにはなれなかった。)

天才って奴は苦手なんだ。

強く輝く光ほど、僕の心の底に溜まった沈殿のような

どす黒い気持ちさえも照らしてしまう。


だからなんだ。

いけない。またみっともない被害妄想だ。

こんな気色の悪い癖の所為で、

孤独の壺に陥ってしまったのに。

未だにやめられないでいる。

全く以てくだらない自己防衛だ。こんなもの。


「杏来ちゃん。だめだよ〜暴力は。

 霜村君も悪気はなかったんだから。ね?」

「まあ、本人がそういうなら…。」

「そうだよ、思ったこと言っただけじゃんか。」

「……。」

「なんでもないです。ゴメンナサイ。」


そんな会話が聞こえてきた後、またドアが開いて今度は

担任の酒井が入ってきた。


「おーいお前等席付けー。…よし、はい、おはようございます。」

返事の声がちらほらと聞こえてきた。

「まあ久しぶりの投稿ということでね…っと百山は欠席か。初日からだとちょっと心配だが。……。」


酒井の目が教室を見渡し、ふと涙川に止まる。

何か言うのかと思ったが、案外そのまま通り過ぎていった。

「じゃあまずは連絡事項と、配布物は―。」

「以上。何か質問はあるか?…おっけい。では始業式だから体育館に移動なー。」


はーい。と気の無い返事が幾つか聞こえた後、みんな席を立ち出す。

ふと、横目に酒井と、涙川が体育館へ行く廊下とは

反対に歩いていくのが見えた。

神妙そうな面持ちの酒井と、少し後ろを付いていく

涙川の顔からは、何の感情も、一切感じ取れなかった。


何かあったのか。束の間に色々な想像が働いて

眼前の事に説明をつけようとしたが、あまりにも情報がなかった。



始業式中、その時の涙川の表情が

なぜかずっと頭にこびりついていて、離れなかった。

いつもは眠くなってしまう校長の話の途中も、何だか冴えていてもやもやとした疑問を抱いたまま。

(まあ、僕には関係のないことだ。)

妄想に疲れてきたのでしばらく経ってからそう割り切って、涙川のことはできるだけ考えないようにした。

結局、校歌を歌い終わった後も

教室に帰ってからも、その日は涙川が戻ってくることは

無かった。

予備校が始まってしまう〜。

この小説を書くのをモチベーションに、勉強頑張ります!

(げんげん:勉強してください!!!)

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