62.概念のパラドックス存命
耐え難い寂寞を憶えて、ラックーサ、スフェアリーとクォーツリナは泣き崩す。
ソーラルとクセソーティアソは涙目で鼻を啜る。
無言のまま、ぎっしり拳を握って無言で地面を見つめる。
「なぜ、なぜ、クォーツリナさん、アダマンティヌースさん、なぜ繊維獣が死ねないこと、彼らの機体が政府に回収されていること、実験を行われていると言ってくれなかった?
あの時長野にいた時、礫腹収容ところ、あれはクセソーティアソは始めの戦いで倒した繊維獣は死ねない標本だったような。
俺たちは人間を守る側で、全ての情報を知るべきでしょう?死ねないなんて、俺たちの戦い、無駄でしょう、概念を守れたとしても、相次ぎ相次ぎ襲い掛かる金剛石より強度の高い機体に匹敵する力あるわけないでしょう。俺たちは対等な関係であるべきでしょううう」。
ソーラルは鋭い刃となったタケル声で森閑を破る。尻尾はモゾモゾ引き攣る。
「ソーラル君、あなたたちの気持ちは決して踏み荒らす真似を私たちはしないです。
余計な危険からあなたたちを守るために全ての情報を開示しなかっただけです、知らないと嘘つきましたし、弁解するつもりがないが、今でも上層部さえ掌握していない側面が多々ある、すでにライターズの身体と精神的な負荷が多いと思われます……」
空気は加熱する。
「。。。」
クォーツリナの言葉を拾い、アダマンティヌースは太い腕っぷしを組みながら端的かつ丁寧に答える。
「だが、この緊迫した状況下で、
私たちは把捉している情報をできるだけライターズと共有したい思っています、現世界政府のとの制約に反しても、私とアダマンティヌース団長はあなたたちの味方ですよ」。
クォーツリナは付け加える。
「じゃ……まず、アマンティーの愛方、ポーロンはどうやって人間にされたの、だってParthenona Fos のFanosの照射、ライターズのスキルがなければ……」
ソーラルの質問攻めだ。
「四人の努力の結晶だよ。アマンティーを変身させた時に同様に道頓堀の運河で瀕死状態で沈没した繊維獣は発光体となり、水面に浮上した。
それから俺とクォーツリナはなんというか、ラディアントの力を借りて、完全に人間に戻した……
アダマンティヌースは声のトーンを落として、ぶつぶつ言う。
「待って待ってライターズの力、あたしたちの力を借りた?どういうこと?」
スフェアリーは割り込む。
「クセソーティアソくんはさっき目撃していたけれど、俺たちはライターズのプロトタイプと思っても良い。
というかオンソロージーは最初、地球に訪れた際に、光源生成選定候補者の自然発生を待つ予定もなく、早く行動を起こしたいということだった。彼らは言うには繊維獣の来地球は予想以上早まることも考えなければならなかった。
俺とクォーツリナさんは挙手したが、残念ながら、ラディアントエネルギーを蓄える基質、十分に備えていなかった。
この初歩的な俺たちの武器も Parthenona fos ではない。本物の Parthenona Fosは光源生成選定候補者の胸から紡がれるものだ。これは、人工的な武器にすぎない……」
四人は唾を飲み込む。
「つまり、クォーツリナさんとアダマンティヌースさんはライターズの力を部分的に取り扱えるけど、ライターズになれなかったと言うことだね、でもそもそもこのライターズの力ってなに?」
ゴストバイオレットの戦士は四人の代弁者となって、疑問点を挙げる。
「ライターズの力、あるいはエネルギーは要するに、ライターズの強さのコアの部分……光の概念は完全侵食されたのに、なぜラディアントオーアは光を灯すと思う?
きっとそういう疑念を抱いたことがあるでしょう、君たち?……概念の消去は存在論を剥ぎ取ることに等しいよ。
無論その物理的な表現の全てはなくなるはず。なのに微弱ながら劣等でも、ラディアントオーアと羅列太陽系の中に光が存在し続けている……同じく貴方たちの中に収まっている光よ。それはラディアントエネルギー、別名、概念のパラドックス存命……」
アダマンティヌースは解説するつもりだが、
ソーラルはピンとこない顔しながら「概念のパラドックス存命……ラディアントエネルギー……」と呟く。
「平たく言いますね、かなり稀有な現象だけれども、時に概念の侵食プロセスが完全なるものとして収まらないもの、いや正確いうと、その概念を生成し続ける生き物や物体が存在する。光の概念が奪われたとしても、微々たるでも人類が光を生成しているわけ。
その生成能力は逆説的なもので、ラディアントエネルギーと言ます。
現在正確な原因が掌握していないが……ライターズは光の概念を部分的に生成できる戦士ですよ。つまり貴方たちは衰光エラ以前の光をそのまま取り扱えるものです」
クォーツリナは息の根を止める。
「で、そのエネルギーを推進するには、媒介、いや触媒が必須ですね……それこそオンソロージーS、Parthenona Fos 、ファノース、ラディアントオーア、そして、繊維獣の中に……」
(やはり……水森補佐に暴露されたこと……あの石の核のことかな)
「その名前はadamas oraだ」
クォーツリナはライターズの反応を予想してわざと止まる。
「やっぱり、私たちは取り扱っているエネルギーは彼らと同じだったんだ……」
ライターズたちは混乱を隠せない。
皆、別にそれは特別な倫理的な意味合い込めているわけでもない。「少なくとも今の時点……破壊ないし生成、どちらに繋がるのか持ち手次第ですから」
「よく理解したなら、即ちラディアントエネルギーはAdamas oraなどを通じる概念の侵食、生成、修繕に関わるエネルギーと言うことですね」
クセソーティアソはどちらかというと、自問しているように見える。
「その通り、あなたたちはアマンティーに対して慈しみの感情に動かされて繊維獣たちの現実に存在しない新規概念を創造したと言っても過言ではりません……
人類の文明と言えば宿命の変貌が条件付きね。。常に適応しなければなりません。。」
クォーツリナは疑問の残る部分の多さにため息をつく。
「私も質問あります、繊維獣はどこから来ているのか、なぜライターズを狙っているのか」
ラックーサは勇気を奮う。
「それは詳しく俺たちも知らないが、おそらく局所銀河群の外だ、彼らは正常物質を含有していない、
暗黒物質、暗黒エネルギーからなる生命体といえば、今予測しているのはボイド、つまり超空洞ですよ。これは大間網羅世界政府と共有している事実だ。
正常物質の銀河群の間に存在する空っぽなスペースよ。観測している宇宙の生命体とは全然異なる構造をしているんだ。
宇宙における生息領域の拡大に伴い、私たちの銀河の侵略も図るようになったもの。結局、他の生命体と違わない生存戦略をこなす宇宙人だ……まあ人類が持っているものを欲しがる説もあるが、十分に根拠ないね」
アダマンティヌースは紫電の光を放つ目で答える。
あたかも、己の噂を感じ取ったオンソロージーはバズという低空巡遊しながら機械音を上げている。
全員が空のなかでそらを見上げる。
「……」
ただLDC団長アダマンティヌースは返答を言葉にすることできなかった。