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38.盛岡地方裁判所と一本の桜

 大黒災によって、世界人口70億人のうち、約50%にあたる34億人が命を落とした。生き残った者たちは、絶黒時代と大光時代の間に原始的な村社会を各地に築き、百年をかけて人口は3億7千万にまで回復した。大幅な人口減少は各国の協力を余儀くし、かつての国際連合よりもさらに強固な結びつきで、世界195か国すべてが加盟する「大間網羅おおまもうら世界政府」が編成された。地上防衛や地球外遠征を担う民間軍事組織「SUB」は、この世界政府と協力しながら兵士を募集している。


 地球外生命体の攻撃に対する防衛や、高品質のエネルギー源であるラディアントオーアを求めた地球外遠征では、常に人材確保が大きな課題となっていた。繊維獣の襲来が相次ぎ、世論は「余裕を持って宇宙遠征に人員を割ける状況ではない」と見ているからだ。


 岩手県、盛岡城跡公園から歩ける距離に盛岡地方裁判所がある。照陰時代以降、盛岡裁判所は大間網羅世界政府の本部として一新された。本日その東北官庁施設別館にて、繊維獣の奇襲の標的である日本が主催となり、人的資源配分についての共同会議が挙行される予定である。


 四月中旬のまだ肌寒い東北、桜の花びらが舞う庁舎庭園の一角で、小柄な少女が立ち尽くしていた。真っ赤に艶めく癖の強い髪を風になびかせ、少女は瞳を閉じた。長い睫毛に小さな花片がふわりと乗る。


 眼の前に聳え立つのは樹齢約千四百年以上を誇る、日本最古の樹木。天然の盆栽のように巨大な鉢を割って咲く巨木は、生命の息吹に満ち溢れていた。少女は深呼吸をする。官能的な桜の香りを肺いっぱいに満たすだけでなく、その生命力までをも吸収するように。


 自信に満ちた笑顔を浮かべるこの少女の名は、スフェアリーという。


 十五歳という若さで、彼女は一等高等官相当とされる特命中将まで昇進していた。メタ情報科学専学位を持ち、銃器類の戦闘能力の高さに加え、近年は地球外遠征の総司令補佐として優れた才能を発揮している。

 今日の共同会議でも、光源生成選定候補者の戦闘データを発表するという重大な任務を任されている。そして何よりも、


「あの方にも会えるかもしれない、いえきっと会えるわ」


 白い小さな手を胸に置き、彼女はそっと呟く。


 スフェアリーは、グローイングシティ名古屋のひまわり回転街で生まれ育った。父親は日本人、母親はイタリア人で、彼女は遺伝子組み換えで生まれた子どもだった。


 父は違法に遺伝子組み換え技術を使い、ブラックマーケットで改造動物を売ることで生計を立てていた。

 家はまるで違法研究所のような環境で、設備も整っていない。医療すら望めない状態で、遺伝子組み換え技術を開発するのは容易ではなかった。それでも父は、己の欲望のために、自分の娘を実験台にしていた。そんな父の威圧的な態度に晒されながらも、母ティナだけはスフェアリーに愛情を注ぎ、必死に育てていた。


 あの日のことは、今でも夢に見る。忘れられない記憶がある。

 七歳の時、スフェアリーは自室でぬいぐるみに囲まれて一人遊びをしていた。そこに、狂気に満ちた父の眼差しが現れる。左手に持った注射器の針が、ぎらつきながら迫ってきた。その歪んだ笑顔とともに、痛みが体を駆け巡る。あの時、スフェアリーは意識を失ってしまった。


 意識が戻って混濁したまま、ぼんやりと鏡を見つめると、突如として鏡が割れんばかりの悲鳴が響いた。スフェアリーの瞳孔が、まるでヤモリか悪魔のように縦に引き伸ばされていた。


 父は、もう人としての一線を越えていた。自分の娘に、爬虫類の細胞を混ぜ込んだのだ。


その悲鳴を聞いた母ティナは、すぐさまスフェアリーを抱えて家を飛び出した。あの暗く、貧しい家から、ひとかけらの愛情も感じられない父から逃げるために。


(いいえ、いま考えるべきことはそんなことじゃないわ、今日の仕事に集中しないと)


 かぶりを振ると、さくらんぼと紅のグラデーションを帯びたツインテールが可愛らしく揺れる。華奢な身体に纏うワンピースはフリルの襟に黒サテンのリボンが飾られ、足元は漆塗りのような黒いバレリーナシューズ。およそ軍人らしからぬ装いは、彼女だけに許された特権だった。陶器のような肌の、手足先だけがほんのりと赤みをおび、まさしくビクトリアンドールだ。


 彼女は知っていた。己の美しさが世界中の異性を虜にすることを、彼女は誰よりもわかっていた。

 その瞬間、かわいらしいピアス形の小型無線機が、ノイズと通信音を奏でる。秘書官との専用回線だ。


「スフェアリー中将、どちらにいらっしゃいますか」

「……第二庭園よ、ヒトマルゴーマル、東北官庁施設別館に定刻通りに参ります」


 深い息を漏らし、彼女は瞳をきりりと開く。

 瞳孔が引き延ばされた黄色の瞳は、華奢で可愛らしい雰囲気に、鋭く妖しい美しさを与えている。底に渦巻く迷いと狂気を潜めて、スフェアリーはいかにも心細げな呟きを漏らした。


「今日は責任重大ですからね、桜を見ながら瞑想していたところだったの」

「お気持ちは御察し申し上げます。ご報告です。アメリカ側の大使に予定外の同伴者が帯同したため、中将の控室が旧弁護士会館二階に変更になりました。場所はお判りになりますか? 」

「ええ、念のため端末に動線を送って頂ける? 」

「入場が開始され、混雑しております。……自分がご案内致しましょうか? 」

「そうね、心強いから、お願いしようかしら」

「サー、馳せ参じます!」


 甘えるように頼れば、部下の声に浮つきを感じ、唇の端が思わず吊り上がる。


(どいつもこいつも知能が低くて、愚鈍な生き物だわ。あたしに従えばいいのよ)


スフェアリーは、見た目通りの可憐な少女ではない。よくよく観察すれば、自己満足で歪む表情が垣間見える。

 母、教師、同僚、特に男に褒められると、全身の細胞が奮い立つほど気持ちが良かった。ぞくぞくする賞賛の感覚、その愉悦にスフェアリーは依存している。

可愛ささえ保てれば全てがうまくいく、美しさはこの世の物事を円滑に運ぶ。それを否定するのは単なる偽善者だ。


 彼女は両腕でぎゅっと自分を強く抱きしめる。そうすると昂る感情が抑えられる、昔からの癖だ。そうしないと正気を失いそうになる。


「ロビー開放、入場開始」

 ピアスに届いた全チャネルへの通信で、少しだけ頭が冷静になった。

 政府の今日の目的は、地球外遠征活動の一時停止を強要することだ。だがその決断は賛否両論だろう。


(保守的なLDCとしては、ラディアントオーア獲得を最優先、遠征を絶対に続行させたいはず。きっと、あのお方もそうしたいでしょう……彼の意向に沿って機嫌を取ることができれば、今日の結末なんて正直どうでも良いわ。獲物がこっちに向いてくれたら、それであたしの目標が果たされる……)


 だが油断はならない。SUBと協働してから、方針が予想通りにいかないことがある。単なる軌道修正なのか、本来のポリシーの変革なのか。


(いつも周りをうろちょろしているあのオンナのせいだわ。……あたしの邪魔しないでよ)


 スフェアリーは苛立たしげに親指の爪を噛む。淑女の仕草ではないが、今は誰にも見られていない。


(そもそも、二つの組織はこれほど正反対の思想を抱いているのに、よく協同できるわね)

 スフェアリーはその理由を知りたい。

 LDCにとって、地球外遠征活動は自由意思の象徴だった。それを諦めないというのは敵の思惑に堕ちず、人類らしい営み を続けることを意味する。実際に、資源が枯渇している現在の地球は「エネルギーのぬけ殻」だ。ラディアントオーアと、代替エネルギー源になれるモノの模索が人類存続に文字通り不可欠なのだ。


 一方、基本的に政府側を支持したSUB組織は軍事人材不足論を押し、特に相次ぐ繊維獣の奇襲に備えて、地球外活動に制限をかけるべきと考えている。相反する二つの組織、SUB隊長のクォーツリナ石英博士とLDC隊長のアダマンティヌース金剛が互いに掴みかからんばかりの白熱した議論を交わしていると聞く。なのになぜ今さら仲良くできるのか、彼女は納得できない。


(ダメダメ、動揺しちゃ、いつも通りあたしの魅力を金剛様にちゃんとアピールしないと……)


 スフェアリーがSUB中将として彼に初めて会った六ヶ月前から、彼は標的となった。獲物が己の魅力にひれ伏さない限り、彼女は賞賛を追い続ける、承認に飢えた獣だった。

 その飢えを少しでも満たすべく、いま部下が自分を迎えに飛んでくる。今日の衣装を誉めそやし、責任に震える年下の上司を甘い言葉で沢山励ましてくれるだろう。そうして少しの英気を養うーーつもりだったのに。


「スフェアリーさん! 間も無く会議が始まりますよ、中へお願いします」


 後ろから凛とした声が響いた。振り返らなくてもわかる、クォーツリナだ。難攻不落のアダマンティヌースに魔法をかけた、あのいまいましい女。

だが、表向きの立場は理解できている。スフェアリーは嫌悪に歪んだ表情を一瞬でかき消すと、満面の微笑みを貼り付け、優雅に振り返った。


「ごきげんよう、石英隊長! いま打合せに向かうところでした。今日はかなり緊張しますね……私、実は少しあがり気味なので、いまこの桜から力を分けて貰っていたところなんですよ」

 いたいけな少女然とした声音で告げるが、クォーツリナは一向に介さず、険しい表情を向ける。


「スフェアリー中将、今日の貴女の戦況報告は責任重大です。会議では、特にアメリカとイギリスの代理人の過激な発言が予想されます。熱を浴びた議論になるでしょうが、頑張りましょうね。大事なのは各国の団結心を信じ、見失わないことです。人類の敵を退けるために、一丸にならないといけません。くれぐれも気を引き締めていきましょう」

 クォーツリナは彼女の瞳を見つめる。


「はい、頑張ります! お目通し頂いた通り、光源生成選定候補者に関するデータなら完璧です!」

 スフェアリーは、思わず応援したくなるような可憐な微笑みと共に胸を張る。そうして二人は無言のまま、桜並木をくぐり元裁判所庁舎に向かう。

 しかし、俯いたスフェアリーは密かに怒りの発作に襲われていた。


(どうしてあたしばかり責任重大かのように話を進めるの……トップ責任者はお前だろ……あたしを生贄みたいに矢面に立てず自分でやれよ……)


 彼女は時々こうして強い焦燥に苛まれる。自分は偽物で、演技しかできない他の自分が出てくる。虚偽と強烈な感情の渦に囚われてしまうのだ。

 クォーツリナは彼女の強張った表情に気づき、いたわるように尋ねる。


「大丈夫ですかスフェアリーさん」

「はい、大丈夫です、少し緊張しているだけです……隊長から温かい励ましを頂いているので。百人力ですよ!」


 耳あたりのよい建前がするする口から飛び出て、好ましい部下然とした笑顔もお手のものだった。皆単純で操りやすい。


 クォーツリナの答えは、賑やかな話し声にかき消された。ロビーでは国際会議らしく、さまざまな人種の紳士淑女が、それぞれの言語で思い思いに談笑している。自分の座席に向かうスフェアリーは目尻でアダマンティヌースの姿を捉えた。相変わらず彼は背筋を正し、きびきびと大股で場内を捌いていた。


 東北官庁施設別館の中は、そう言われなければ元法廷とは気づかないだろう。

楕円形の部屋の内装はこの時代に合わせて金属とイチイ材の斬新な組み合わせから改装され、近未来感と厳かさを上品に両立させていた。百九五国の参加者それぞれの席には、木製に金箔でしたためた名札は置かれている。部屋の天井では、贅沢にもラディアントオーアをそのまま彫り込んだシャンデリアが、きらきらと豪奢に輝いている。まるでこの世界が光を失ったと思えないほど眩い。


 しかし、その贅を凝らした趣向とは反対に、空気が次第に重苦しく張り詰めてくる。

 カツン、と会議の始まりを告げる木槌が鳴り響いた。


「ご静粛に、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます」


 部屋の中央にそびえ立つ黄金の演壇で、江野岡宗人首相が厳かに口を開く。

 同時に、参加者の目前にあるデバイスが起動する。拡張現実の一種、ライトペルソナだ。それぞれの国の文化に応じた服装、肌色に上書きされた日本首相のホログラムが、同時通訳つきでリアルタイムに生成される。文化の相違を超えて意思疎通を目指した高度AIのなせる業だ。


 ソンブレロと口髭、日本人顔に合わないメキシコバージョンの総理のホログラムは、参加者の注目を浴びて仕方がない。同じく眉間に赤いビンディがついている女性化したインドバージョンも人気だった。あちこちで面白いバージョンが見られ、隠しきれない忍び笑いのおかげで、空気が少し和ぐ。


「照陰時代の始まりであった西暦二九五一年の夏、地球外の敵が我々の光の概念を奪い、百年の凪に幕を下ろしました。皆さんは考えたことがありますか?  水が奪われたら我々人類は、たちまち滅亡に至るのです。いまだにラディアントオーアから照らす光に慰められ、光はまだ存在する、奪われていないと妄想に浸けている人も多々います。しかし、断言します。それは幻にすぎないのです。私達はもう元の生活には戻れない。生き物として降格したのです。光の概念が侵食されたからこそ、この正体不明のミネラルに必死に頼っています」


 誰もが、ラディアントオーアで造られたまばゆいシャンデリアに目を移す。


「奇跡は何度も起きるものではありません。もし次に概念が滅亡すれば、連綿と続く生の流れを断ち切ることになるでしょう。そのため我々人類のあらゆる叡智と経済力を合わせ、争う時がきました。繊維獣、あの忌むべき無機質な宇宙人を何としても退けなければなりません。ご存知の通り、光源生成選定候補者の凄まじい力が、希望の一縷を我々に与えてくれました。但し戦士は現在三人しか居ません。尚、奇襲の現場は何キロもの人口稠密地帯を巻き込むこともありえます。森林、湖など過疎地帯に関わった攻撃は二件が認めたとしても、秋葉原の新新電気街エリア、高密度の住宅街、つまり一般市民の居住エリアが無差別に狙われる可能性も十分に考慮しなければなりません。一般市民を庇護しながら、光源生成選定候補者のバックアップをしていただく兵士が数多く必要となっています。もちろん待遇は保証致します。今日は憚りながら、日本のためではなく人類のためにご協力をいただきたいのです。戦闘型と探求型も含め、SUB兵士になれる人材の派遣についてご検討ください」


 部屋にざわめきが広がる。気が荒くなった参加者が、マイクも通さずに反駁する。


「日本に俺達の人材を送っても、次に母国が奇襲されたらどうなる!?  あなたの国は援助を保証してくれるんですか」

 いくつものライトペルソナが江野岡の目前に出現し、お互いに割り込んでいる。

「どうぞご静粛に」


 クォーツリナは席を立つとぎらりと光る目で各国の代表者を睨めつける。


「SUBとLDC、日本と他国、人類のために力を合わせ、まず敵を撃退しない限り、概念の侵食を防ぐことはできません、私達は今日最善策を捻り出すためにここに集まったのです」


 会場に沈黙が降りた。


「仰ることはわかります。ただ、敵愾的な姿勢を示しても何も生まれません。問題点一つ一つに着眼頂きたいのです。まず、日本があなた達の国から自己犠牲を強いることはありません、お互いの資源を共有し合う提案です。皆さんご存知の通り、LDC組織は国際的な活動をこなす軍事組織です。昨今の出来事を踏まえて、世界政府に全面的な協力を誓っています。昔の認識齟齬は過去のことです」


 滔々と述べるクォーツリナに、


「つまりオンソロージーの反乱は起きないと、百パーセント保証できますか」

オーストラリアの代表者の反駁が、再び会議室にざわめきを広げる。


「世界政府はあの宇宙人の罠に掛かっていてると誰もが知っています。人類を救うために反乱組織を築き上げないといけないと思っているものはここに潜んでいるもの。その反政府組織は日本のLDCから発症している疫病だ。昔の話だとしても、その反発の熱りは本当に冷めたなのか、君達は証明できるんですか」

 フランスの代表が割り込む。


「LDCが反逆し、私達の貴重な人材と経済力がただの悠長な宇宙旅行のために使うというわけですか? 」

 アルメニア代表者は唱える。


 元々LDC組織は、光の概念の侵食はオンソロージーに起因したのは事実だ。反乱軍に動きかけるため、LDC兵士達はSUB部隊に潜入し、隠蔽調査を繰り返した。クセソーティアソはそのうちの一人だった。


 LDCの正体と本来の目的が曝け出された時から、政府側とLDCの間の亀裂は大きくなった。

だが危機が切迫し、石英幕僚長と金剛隊長の直々談判もあり、石英幕僚長と金剛隊長の友好的な関係に導かれた結果、妥協点を見つけたのだ。

 手を組む様になったこの二つの組織は「人類の光と希望のために」という御旗の下で、共に闘うことを誓った。

 LDC隊長とSUB幕僚長はかなり親しい関係だとしても、LDCの兵士達はSUBを信じきっていない。逆もまた然りだった。長年の因縁に遡る傷はすぐに治るわけでもない。


「我々の滅亡の危機が迫っている今、政治思想のニュアンスはどうでも良いです」

 クォーツリナの語気が強くなる。

「現在この会議室にはオンソロージーを信用できない方もいます。この事実は日本に限ったものではありません。しかし、単刀直入に言います。それは些末な事です。別に己の考えを持つこと自体は有害なことではありません。但し、その意見と感じ方が違っても私達は同じ空の下で生き残るために戦っています。お互いの思想を認め合い、援護活動に力を入れるのです。現在日本のLDC組織は銀河街の宇宙遠征を当面中止にすることに対して異論がありません。私は、アダマンティヌース金剛の誠実さを信じております。概念侵食となる戦闘現場の援助に特化した軍隊の増兵は必要となり、私達はそのスキルを身につけるプログラムもあなた達の貴重な同胞に提供させていただきます。もしあなた達の国にグラウンド・メタが発生した場合に速やかに対応できるようになります。尚、兵士の移動をベースにする国境なき特別護衛兵士団をこれから作りあげる予定です。戦闘力に余裕がない今、日本人だけではなく世界の皆さんを守るためにどうにか力を貸してください」


 クォーツリナはそう言うと、深々とお辞儀する。間髪をいれずにアメリカ大使が立ち上がった。


「こちらからも質問よろしいですか。SUB幕僚長は今まで語った人類の希望となる光源生成選定候補者……ラ・イ・タ・ー・ズの実績がそれほど優れているようであれば、どうして全ての兵士を地上に引き留める必要があるのでしょうか……不透明な部分があまりにも多いため、より詳細にご説明いただけますか」


「ご指摘ありがとうございます。はい、まさにその予定でした。スフェアリー中将」


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