雨が降る、
【6】
「俊哉」
そこにいたのは
俊哉のもってる[それ]を預けたはずの相手。
「海晴…」
「何、まだ信じてないの?」
「でもよ…」
「幼なじみの事。信じられない?」
幼なじみ…。
あ、今気付いた…
私、ハメられたんだ…
「違う、それは海晴ちゃんが、」
必死に言おうとする
でも
「私が悪いことにするの?最低だね。そうでしょ、俊哉?」
海晴ちゃんの本性がどんどんでてくる
「あ…あぁ…」
怖い
「信じてよ…」
タスケテ
「違う…」
ヤメテ
「ゴメン…奈乃香…」
「……………!!」
何かが、私の中ではじけた
はじけた糸はそのまま
落ちた
「もう、いいや」
「奈乃…」
ふいに彼は私の手を握る
まだ、仲直りしようとしてくれるんだね
優しいな、俊哉は
だけど、私がやったと思ってるんでしょ?
今、君が握ってる手に
温もりは、ない
「離して」
「俺は…」
「離してよ」
信じてくれないんでしょ?
「あ…」
「俊哉、なんて…」
心とは違う言葉がでてくる
こんな事が言いたい訳じゃない
だけど、胸の中の溢れる気持ちがそうさせる
「嫌い」
「奈乃………」
「大、嫌い……、ッ」
頬に涙が零れる
走り出す。誰もいない所へ
彼の声が、
聞こえない所まで……
「奈乃香!!どこへ…!!?」
もう何も聞こえない
華の声も皆の声も
彼の、声も…
「俊哉…アンタ…なんちゅう事を…」
走っても走っても
涙は止まらない
胸の痛みも和らがない
「、そっ、か…」
これが好きってこと
何故こんな時になって気が付いたのかな
どうせなら気が付きたくなかった。知りたくなかった
何故?
何故、今教えてしまうの?
ずるいよ…神様は…
「好き…好き…すき…ッ」
何度、声にだしても収まらなくて
逆にどんどん膨らむ想い
止められない
止まらない
でも止めたくない
「信じ、てよ…ッ」
屋上に
雨が
降ってきた
【next】
どんどん盛り上がってきました(´ω`)
でわ次回またお会いしましょう(^-^)ノシ