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キミがくれた  作者: 紗渚
57/57

決めた、

【57】







.





.





暑かった夏は去りかけ

秋風が吹くようになってきた


爽やかな風とは裏腹に

私の気持ちは淀んでいた


放課後の教室

そこは私と華だけがいる



「奈乃香?…具合でも悪いんか…?」



私の顔を心配そうに覗く華

それに私は

なるべく笑って返す


納得してないその顔は

私の嘘に気が付いてる証拠



「大丈夫だよ…」



どうしても弱弱しくなってしなまう


華は黙って優しく

私の頭をなでる


それに胸のあたりが締め付けられて

勢いで華に抱き着いた


すると華は

抱きしめ返してくれた

頭を撫でていた手を背中にまわして



「………」



小さな子どもをあやすように

優しく、やわらかく撫でてくれた


でも、涙は出なかった

泣きたかったけれど

今にも泣きそうだったけれど


もう枯れてしまったかのように


私の瞳から涙がこぼれることはなかった




===================


なんでかな

いつも、いつもそうだ


私のそばにいた人は

風みたいにやってきて

風みたいに当たり前にそこにいて


そして


また風みたいに

去っていく


今、私のそばにいる人もきっとそうだ

また、風みたいに…


自分が悪く考えすぎてるって

そんなことはわかってる


わかってるけれど

どうしようもない


怖い、怖い、怖い、こわい


怖くて、それに立ち向かうのも怖くて

私は怖がりだから



だから、…


決めたよ、どうするか



======================


『それでいいの?』


『いいよ、』


=============



「明日はついに遠足だからな!遅刻すんなよお前ら!」


「せんせーサボっていいですかぁ」



深井くんがダルそうにそういう



「ダメに決まってんだろ?俺もできることなら家にいたい、娘とあそんでいたいがな」


「なんやねん、このダメ教師」


「せんせーこの女がせんせーのことダメ教師とかいってまーす」


「何いうとんねや!!亮輔!!」


「うーわー殺されるー、助けて美倉サンー…?」



私の後ろに隠れた深井君が不思議そうな顔をしている

その顔に笑顔で返す


すると不思議そうな顔だった深井君は

一気に不機嫌になった



「ふ、深井君?」


「……なんでもないよ」


「で、でも…」


「また今度言う…」



そう言って席に戻る深井君



「……?」



明日…

ついに明日は遊園地へ向かう

あの場所へ


明日、明日


決めたからね

大丈夫





















『その先に待っているものは』






















(終止符の『。』か)

(続いていく『、』か)






【next】

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