偽り、
【34】-奈side-
それは、
本当にいきなりだった
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俊哉と別れ、家につき
ベッドに横たわっていた
気が付くと窓から覗く景色は茜色の夕日が輝いていた
「夕方か…」
眠りにつく前に何か考え事をしていたけど
何を考えていたのだろうか
ただ、なんとなくだけど
胸が痛いような気がした
『―♪―♪』
メールの着信音がきこえる
私は携帯を探してディスプレイを開く
待受画面には小さなメールのマークがある
それをクリックし、内容をひらくと送信相手は
『俊哉』
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Time|2009/7/20|17:15
From|俊哉
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Sub||無題
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話したいことがあるんだ
今からさっきの公園に来
てほしい
待ってるからさ
俊哉
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正直いって
行こうかどうか迷った
こんな中途半端な気持ちで俊哉に会いたくない
でも
俊哉に会ったらこんな気持ち吹っ飛んで行くかもしれない
2つの考えてが交差して
頭が痛くなってくる
しかし、気付いた時には私は靴を履き
そして玄関の扉に手をかけていた
(大丈夫…大丈夫…)
微かに震える手を握り
少しだけ重く感じる扉をゆっくりと開ける
俊哉に会ってさえしまえば大丈夫だから
大丈夫、大丈夫なのだから
頭では考えていられるのに何故か重くなる足取り
一歩がこんなに重く感じるのは初めてだ
(公園って…こんなに遠かったっけ…?)
たいした時間歩いた訳じゃない
なのに疲労感はいつもの倍あった
公園につくとまだ制服姿の俊哉がいた
(ずっといたのかな…)
「奈乃香」
俊哉は私を見つけると
嬉しそうにニコリと笑い、私の元に駆け寄ってきた
俊哉の笑顔を見たら少し胸がツキンとする
「俊哉、話ってな…」
最後まで言葉を言うことは叶わなかった
私は俊哉の胸の中に、いた
私は訳がわからずされるがままで黙る
「ごめん…我慢できなかった」
俊哉の鼓動がどんどん速くなっていくのがわかる
でも、私は本当にされるがままで
体が熱くなるわけでもなく
鼓動が速くなるわけでもなかった
「俺…奈乃香が好きだ」
「…!」
ずっと望んでいた彼からのその言葉
驚きはしたものの、それ以外は…
「私…私は…」
「…うん」
私は?
当たり前だ
俊哉のことが好き
俊哉が好きで何度も泣いた
俊哉が好きで何度も胸が傷んだ
俊哉が好きで嬉しかった
俊哉が好きでよかった
それで?
今は?
「私は…」
答えなんて
とうの昔に決まってたハズだよ
そうでしょ?
奈乃香
「奈乃香…」
「私…も、好き」
消え入りそうな声で呟いた
それを言った途端
私の中で暗い雲が広がる
心に彼がちらつくのは
どうしてか
「ありがと…奈乃香」
「うん…」
そのあと、俊哉は何度も私に好きだと言った
私はそれに小さく「私も」と何度も何度も言った
その度に彼の顔がちらつくのは…何故だろうか
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俊哉に送ってもらい私は家についた
帰る途中、俊哉は私にずっと笑顔で話しかけてくれていた
それが嬉しくて私も笑顔でそれに返した
家の前でお礼を一つして扉をあけると
シンとした空気が私を冷静にした
「私は…俊哉が好き」
そう
私は俊哉が好き
だから
好きと言って当たり前
なのに
「なんで、泣いて、るんだろ…ッ」
心に響くのは俊哉ではなく
【彼】の声だ
『おはよー』
『どした?大丈夫?』
『みーっけ』
『一緒に帰ろう』
自分で自分がわからない
止まらない涙が
また私を惑わせる
「わかんない、よ、ッ」
私は携帯をてにとり
親友に助けをもとめる
何かが解決する訳でもないのに
自分の情けなさがまた何かを刺激した
「つまり」
――それでも私は
――俊哉が好き
.
.
――だと思いたい
.
『俺、その笑顔大好き』
.
.
『カノンの笑顔』
.
【next】
なんかグダグダですね
…スイマッセェェン!!
展開がいきなりだよ!!
訳わかんないかなぁ…
紗渚は
わかるんだけどなぁ…
よし死のう!(←ェ
でわわノシ(←待て
Sana