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キミがくれた  作者: 紗渚
32/57

嫉妬、Ⅱ






前回の【嫉妬】とリンクしてます(^^)






Sana

【32】-奈side-









下駄箱で夢のような瞬間

彼が一緒に帰ろうと言ってきて、どうしようと迷っていた




「奈乃香?」




すぐにでも頷けばいいのに動揺してしまい

階段の上に視線をそらす


するとそこには輝と先輩が話していた


一瞬、輝と目が合った

私は何故かそれから目をそらし、逃げるように彼に返事をした




「帰ろう」

「う、うん!」




早くここから逃げ出したくて、とっさに彼の手をとり学年門をくぐった







―――――――




「…乃香ッ」


「……奈乃香ッ!」

「へっ!?」




いつの間にか公園の前にまできていた。




「な、なに?」

「手。痛いよ」




俊哉は小さく笑いながら手元を見た




「あ………」




私はここに来るまでずっと俊哉の手を強く握りしめていた




「ッごめん!」




バッと勢いよく俊哉の手を放し

握りしめていた手を胸元において逆の手で握った


今さら、握っていた手が熱をもちはじめる


それどころか手だけでなく頬まで熱くなっていく




「いいんだ。でも少し疲れたし休みたい」

「じゃ、じゃぁ公園のベンチでいいかな」




私が聞くと俊哉は小さく頷き、私より少し前を歩いた


そして、少し距離をおいて二人ベンチに座る




(今しか、今しか謝るチャンスない…!!)



「あ、あの!」

「ん?」



「わ、私…」



(あ、あれ…)




今言うと決めたハズなのに

いざ、俊哉に言うとなると何故か口が動いてくれない




「あの、ね、ッ」




唇が震えてくる。

目に涙がたまってくる


涙は耐えきれず零れ落ちていく


止めようとすればするほど止まることはなく、逆に溢れていく




「…奈乃香…」

「…ッ…ック…」




ふいに彼の手が私の瞼に触れる

かと、思ったらいきなり腕を引かれ、


気が付くと私は彼の腕の中だった




「……と、し…?」

「……………」




俊哉は黙ったまま目を伏せたまま私を抱き締めている


胸に安心感と不安感が同時にくる



―何故


―どういう事


―期待、


―してしまうから








―ヤメテ、




(…?…ヤメテ?)




今、何故私は拒絶をした?

少しだが拒絶感を覚えた




(…あ)




「…俊哉」

「ん…?…あぁ、ごめん」




離された身体は物足りない気もしたけど


ホッとしたような気もした




「奈乃香、俺…ごめん」

「いいってば」



「違くて、」

「?」



「今まで、信じられなくて…奈乃香を傷つけて…」

「え……!!」




違う、謝らなくちゃいけないのは私だ


あの場から逃げ出したのは私で


貴方と向き合うのを拒んだのも私




「俊哉は…謝らなくていいの…」

「奈乃香…」



「ごめん…なさい」

「ううん。いいんだ」




俊哉は私の手を握り笑った

私も握り返して笑った




『明日になれば笑い話に変わるよ。だから――は俺と一緒にいれば大丈夫だ』




頭によぎったのはあの人の言葉


そうか、もうすぐ、貴方の『あの日』だね




「それで、奈乃香に聞いて欲しいことが…」

「うん?なに?」




彼の顔を見ると真っ直ぐな瞳。

なんだか見ていられなくなって反らした


しかしその先にあったものは…




(輝…?)




先輩と2人で帰っていた


先輩は少し頬を染めて輝の隣を並んで歩いていた




(…ぁ……)




あの場所は昨日の私の場所

小さい頃からの大切な場所




心になにかポッカリと開いた感じがする




「奈乃香?」

「へ!?」



「聞いてた?」

「…ごめん…もう一回お願いしてもいい?」



「いや、そんなに大したことじゃないし」

「そう?」



「うん。帰ろうか」

「そうだね」




―――――――――

―――――

――


「ふー………」




家につき自分の部屋に入りベッドに飛び込んだ


今日1日に起きたことが頭の中で一気に巡る


俊哉の事で頭がいっぱいだ

…なのに、どうやっても輝の姿がちらついてくる


あの時の輝を




「なんなの…?」




俊哉で沢山だった頭の中はだんだんと輝で沢山になってくる


ますます分からなくなってしまう


この、気持ちって




「…なんなのよ…」









.










.






【next】


(言葉も行動も)

(全てが気になってしまう)


(何故?)

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