強敵、
【22】
「どこ…」
見慣れた町並みを走る
全ては大切な親友のため
二人を見つけたらすぐに殴りとばしてやろう。
私は強く拳を握りしめ
全速力で走る
どんなに苦しくなっても止まるもんか。
二人を見つけるまで、
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「ハァ…ハァ…」
こんなに小さな町、
一体二人はどこに行ったんだろうか?
ふと馴染みの公園を通りすがる、すると
「…いた」
すぐに怒鳴りに行こうと決めていた体は、何故かくるりと反転して
いつの間にか私は木の影に隠れるようにしていた。
「三上…さ」
二人の会話が聞こえてくる
私はそれに耳を傾ける
「俺と奈乃香のこと、知ってるのか?」
「そりゃ、ねぇ」
もちろんあの事件のことだ
「俊哉くんって…」
「?」
「カノ…奈乃香のこと好きなんでしょ」
「!?」
いきなり確信をついてくる
「その反応は、図星?」
「よく…わかんねぇ」
「へぇ…」
二人の間に少しの沈黙
「三上こそ、そうなんだろ」
確かめるように言う俊哉
それに輝はニコリと笑い…
「好きだ」
「…」
「お前みたいに甘い考えでカノンを好きじゃない」
先程までの爽やかな笑顔は消え、真剣な眼差しで俊哉を見る
それに圧倒されたかのように黙りこむ俊哉
「カノンが…」
苦虫を噛むような表情をしたあと、輝は自重気味の笑顔を浮かべ
「誰が好きでもいい」
「ただ、彼女を護りたい」
一言も発しない俊哉
どちらの勝ち?
そんなもの一目瞭然だ
「だから…」
―早く気づけばよかった
―そう、思ってる?
「俺だって…奈乃香が好きだよ。」
【next】
(敵はあまりにも強敵)
(それはどちらも同じ)