頼りに、
【16】
「輝…」
そこにいたのは
私の幼なじみ。
「また、泣いてる」
そっと涙を拭き取る
その長い指で
その優しさに今すぐ甘えてしまいたい。
その
―優しさ
―不器用さ
―暖かさ
全てに甘えてしまいたい
だけど…
「だ、大丈夫!目にゴミがはいっただけだから!」
笑って返すと
貴方は少し悲しそうな顔
どうしてそんな顔するの?
貴方を巻き込みたくない
ただそれだけなのに
「私…教室に…」
逃げるように扉へ向かう
すると
彼は私の腕を強く握った
「なんで、嘘つくかな…」
「え?」
小さな声は私には届かない
「俺、今日はやくに来た」
「ど…うして…?」
彼は俯いたままで
強く腕を握ったままで
「なんか、やな感じした」
超能力かと思う位
彼の勘はするどすぎた
「俺は…頼れないの…?」
「輝…?」
「何があってもカノンを信じるから…護るから」
「なんで…」
私がそう言うと、
彼は少し顔を赤くして
「俺が…カノンのこと」
「す「コルァ!!」」
「「!?」」
後ろを振り返れば、
「ゲッ…吉丘サン…」
「朝からいないと思ったら…輝〜?」
三組の担任。
[吉丘葵]
「ほら、教室行くわよ!!」
「イデデデデ!!離せェ!!」
そのまま
引きずられていく輝。
不意に握られていた手が、離れる。
(あ……………)
その瞬間
少し涙目の輝は私を見て
「カノンー!!なんかあったらいつでも飛び込んで来いよー!!」
そう、叫んだ。
ニカッと笑った輝は
昔と何も変わらない
腕に残る温もりに触れると
心まで暖かくなって
安心した
「……………うんッ」
ただ、輝が何を言おうとしていたのか、
何故か、
凄く、凄く
気になった
【next】
(キミの笑顔にまた逢えた)
(キミの本当の笑顔にまた逢いたかった)
Sana